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阿寒湖の盛大なお祭り 第74回まりも祭り

阿寒湖にはさまざまなお祭りが行われます。
その中でも規模が大きいのは『まりも祭り』
毎年、10月8日~10日の3日間に渡って行われます。
『まりも祭り』はマリモを迎える儀式から始まり、マリモを護る儀式、そしてマリモを送る儀式と続き、その儀式には北海道中のアイヌ保存会の方々が集まります。

まりも祭りの日程は以下の通り。
今年は雨天のため、最終日のまりも行列とまりもを送り儀式は中止となりました。

まりも踊り行進

阿寒湖在住の皆さんがまりも踊りをしながら阿寒湖温泉街を練り歩きます。

まりもを迎える儀式とタイマツ行進

阿寒湖からまりもを迎入れ、まりもとともにアイヌコタンまで行進します。
行進は夜のためタイマツの灯りで歩くのですが、200人以上のタイマツの灯りは壮観です。

アイヌ民族舞踊の共演

北海道各地から集まったアイヌ保存会方々による古式舞踊の披露が行われました。
アイヌ文化は文献に残す習慣がなかったため、風習や思想を踊りや唄などで語り継がれています。
同じ題材の踊りでも地方によって踊り方や歌が違ってくるのも、文化の特徴です。

アイヌ古式舞踊〜サロルンリムセ(鶴の舞)〜
鶴の動きをまねて踊るサロルンリムセ(鶴の舞)
アイヌ古式舞踊を代表する踊りです。 親鶴が子鶴を見守り、徐々に成長し羽を広げて 飛び立ち踊る様を表現しています。

アイヌ古式舞踊〜フッタレチュイ(黒髪の踊り)〜
フッタレチュイ(黒髪の踊り)は、嵐の日などの強い風の日にエゾマツなどの松が揺れる様子を表す踊り。 長い黒髪で松の木の枝が揺れているのを表しています。 激しい動きで体力が問われる踊り。体力を測る踊り比べにも使われたそうです。

アイヌ古式舞踊〜クリムセ(弓の舞)〜
クリムセ(弓の舞)は、山奥に狩りに出かけた若者が鳥を射ようとしたところ、その鳥があまりにも美しすぎて矢を打てなかった。 何度射掛けても打てない。 その様子を母親に話したところ 「もしかしたらカムイだったのかもしれないね」と。 それが物語になり、踊りとなったといわれてるそうです。

アイヌ古式舞踊〜アトゥイソ(船こぎの踊り)〜
アトゥイソ(舟こぎの踊り)は、『アトゥイ(海)』「ソ(面)』 海の情景を表した踊り。 波が来ている様子や、海へ漕ぎ出す船の様子、そして、船に乗っている人たちの無事を祈り、海に対する感謝の気持ちも込められている踊りです。 踊り手の数に決まりはなく、誰もが楽しみながら踊れる踊りです。 歩きがない踊りで、一見単純そうに見えますが、体力がいる踊りだそうです。

アイヌ古式舞踊〜チカプウポポ(鶴の舞)〜
アイヌ古式舞踊には鶴の舞が代表的ですが、地方によっていろんな舞があり、呼び名もさまざまです。

アイヌ古式舞踊〜エムシリムセ(剣の舞)〜
エムシリムセは、刀を打ち合わせ、足を強く踏み鳴らすことで、その場を清め悪いものを追い払います。
エムシ(剣)はアイヌの男性の正装アイテムの一つ。 強い力を持つものと考えられていて、儀式などで重要な役割を持っています。エムシは錆びているのが当たり前となっていて、それは錆びたエムシで切られた魔物は二度と再生できないと考えられているからです。

アイヌ古式舞踊〜チヤクピヤク(アマツバメの踊り)〜
チヤクピヤク(アマツバメの踊り)は、4〜6名で輪を作り、ツバメが激しく飛び交っている様子を表した踊りです。 リズムが良く、踊り唄がかわいくて、観てる方もウキウキします。

アイヌ古式舞踊〜シカタクイクイ(情景の踊り)〜
シカタクイクイは様似(さまに)地方に伝わる情景を表した踊りです。 シカタは東風のことで、東の風にのった雪が舞うように降ってきて、その雪が松の枝につもり、枝が重くたわんでさらに雪が落ちる様子を踊りにしてたものだと言われてます。

アイヌ古式舞踊〜イオマンテリムセ(クマの霊送りの踊り)〜
イヨマンテとは、熊の魂をもともといた天上の神々の国へ送り返す伝統儀式です。 アイヌの人々にとって、熊はキムンカムイ、山の神と位置づけられる存在です。イヨマンテリムセは熊の魂を送るとき、または送ったあとに踊られてきました。

アイヌ古式舞踊〜バッタキ ウポポ(バッタの踊り)〜
バッタキ(バッタ)ウポポ(歌)は、昭和初期に十勝地方にバッタが異常発生し、作物に甚大な被害を及ぼしました。その様子を後世に残していこうと作られた踊りだそうです。

アイヌ古式舞踊〜エムシリムセ(剣の舞)〜
帯広地方の高校生による演舞。 小さな頃から踊りを習っていて、エムシリムセは男性にとって大切な踊りの一つです。

アイヌ古式舞踊〜ポロリムセ(輪踊り)〜
「ポロリムセ」とは、大きな輪踊りという意味。儀式や祝宴の後に踊るこの踊りは、祭りのラストにふさわしい踊りでした。 歌詞には言葉の意味がない掛け声もあり、これは踊り歌には神と人間が一体となって喜びを分かち合い、神 に呼びかけるという意味が込められているそうです。

今回のまりも祭りでは12の舞踊の披露がありました。

「私たちが踊るのは義務感からではなく、楽しいから踊るんです。この楽しさを伝え続けていきたい。そう思っているんです。」
帯広の方の言っていた言葉がとても印象的でした。

伝統芸能は披露する場がないと続けていけないですしね。

私はまりも祭りのこの舞踊の時間を毎回楽しみにしているのですが、それはアイヌ保存会の方々がとても楽しそうにしていること。
形式ばった雰囲気がなく、近所の人に語りかけるような話し方がいいなって思ってます。

今回、動画を作るにあたり、その踊りの由来を調べました。
アイヌ文化は、文字を持たない口承文化なので文献が残っていないので資料的な歴史はないのですが、これからはこうやって文字や映像を残していくことも大事なんじゃないかと思います。

踊りや儀式の中にある意味。
この意味を残すことが大切なんだなと。

自然信仰は日本人に根付いているもの。
その意味を大切にしていきたいですね。

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