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息と贔屓(いきとひいき)

京極夏彦の『鵼の碑』にちょっと出てきたので日光東照宮陽明門で見られるこの龍の彫刻について。

作品内でも言及されていたが実はこの彫刻上と下で違う。上は「龍」だが下は「息」という神獣となる。龍には髭があり、息の鼻は上唇の上にあるという違いがある。ではこの息とは何かというと、「贔屓」ではないかと思う。贔屓とは「えこひいき」などとも使われるが、その語源は龍が生んだとされる九頭の神獣、竜生九子の内の一つ「贔屓」による。

現在では「ひいき」と読まれるが元は「ひき」であったようだ。東照宮の彫刻では顔しかないので分からないが、その姿は亀に似るという。中国などでは贔屓は石柱の土台などに彫られているが、東照宮の彫刻では親である龍を背負っている姿を表しているのではないかと思う。

そう考えると龍の顔は老いて息の顔は若く造形され、また息の視線が若干上向きなのも理解出来る。(了)


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