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【旬杯スピンオフ企画】しゅんしゅんぽん~二次創作~へ応募します☆彡(ショートショート)

「ママ―、アイスクリームどこー?」

「冷凍庫の引き出しに入ってるでしょー。」

「無いよー。」

「ソフトクリームがあるはずよー。」

「あ、あったー。」

咲子(さきこ)は、小さな手を冷凍庫の中から
出して、ソフトクリームを手にしつつ、
台所で食べ始めた。

「つめたーい。」

母、信子(のぶこ)は、
まな板の上の玉ねぎを切っている。
具だくさんの味噌汁を作るところだ。

「良(りょう)ちゃんと遊びたいなー。」

「家の近くでなら、いいわよ。
 でも暑かったらすぐに帰って来なさいね。」

「うん。」

と、咲子は隣に住む良ちゃんに
会いに出かけた。

真夏の太陽が厳しい。

団地のコンクリートが
その熱を存分に吸収しているように
感じられる。

信子は、エプロンを身に着けることを
忘れていたことに気が付いた。

「ああ、ま、いっか。」

冷蔵庫の残り物の野菜を
たんたんと切ってゆく。

冷房は点けているが、
少し汗ばむような気がした。

戦後とはいつまでだったか蝉時雨

十六夜さん川柳より

信子の実母が亡くなって、
七回忌が過ぎていた。
60代で亡くなった母。

忘れることは無いが、
日々の生活の忙しく、
心の片隅に記憶が追いやられている。

団地の葉桜が沢山生い茂っている。
芝生の空間に沢山の日陰。

せっせと茹でた鍋に材料を放り込む。

日常は、まるで昔と変わらないかのように
進んでいる気がした。

テレビは点けっぱなしだが、
あまり見ていない。
暗いニュースばかりで、
見る気がしない。

一瞬、けだるさがよぎったけれども、
手は休めなかった。

台所の仕事に集中する。

夫と別れて丸4年。
今日はパートは休みで、
娘も日曜日を満喫している。

「男なんて、みんな一緒~♪」

鼻歌でも歌うかのように、
ふきんで台所周りを拭いていた。

遠くから聞こえる感じがしたが、
おそらく団地の木々から鳴いて
いるのだろう。
蝉のしわしわと聞こえて来た。

夏の昼下がりは、
家に居るとけだるい時間帯を思う。

今、この瞬間を生きることしか、
信子には考えられなかった。

娘だけは幸せでいてほしい。

暑さにぼんやりとする頭で、
信子は鍋から立つ湯気を感じていた。

人生って騒音みたい

そんな事も思いつつ、
鍋を見つめている。

「良ちゃんと遊んできたー。」

咲子が、早々と帰って来た。

「お外、暑かったでしょ。」

「うん、でも面白かった。
 良ちゃん、蝉捕まえたよ。」

「へぇ、それはすごいね~。」

「網でバッと捕まえた。
 蝉、面白いね。」

「咲(さき)、蝉、平気なんだ。」

「うん、ちょっと触ったよ。
 羽のところ。
 良ちゃん、家に持って帰ったよ。」

「そう。良かったね。
 あ、手洗っておいで。」

「うん、ソフトクリームで、
 ベタベタする。」

見ると、口の周りもソフトクリームが
付いている。

「お口も、ついでに洗っておいで。」

「はぁい。」

洗面台のある方へ小走りに駆けつつ、
咲子は返事をした。

「そろそろかな。」

信子は、手慣れた手つきで
鍋蓋を持ち上げると、
湯気がいっそう上がって、
具沢山の味噌汁の出来上がるのを
確かめた。

「最近、手抜きね。」

「ママ、テレビ変えていい?」

「ええ、いいわよ。」

咲子はリモコンを使って、
好きなチャンネルに合わせた。

料理番組が丁度していた。

「ママ―、これ食べたいー。」

「ん~?」

信子がテレビを見やると、
茄子の焼いた料理で、
ショウガ醤油を味付けしていた。

「あぁ、ほんとおいしそうね。」

「ママ、作れる?」

「今晩のご飯は、これにしよっか。」

「わぁ!やった!」

咲子は手を上げて喜んだ。

真夏はこれから。

信子は元気を出して、
食器棚からテーブルにお椀や皿を
出し始めた。

青空や飛行機雲が引いていく君と僕とのボーダーライン

こたろうさん短歌より

(おわり。1450字)

☆彡

(あとがき)

こんにちは。^^
旬杯、お世話になっております。
つる です。

今回も、『ぽん』があることを
今日知りまして、
応募作品を組み合わせて、
ミニ小説(ショートショート)を
書いてみました。🍀

小説とつかずはなれずのような、
応募作品を合間に挟んだ構成です。

日常的なお話にしたかったのでした。☆彡

引用させていただきました、
十六夜さん、こたろうさんへ、
恐縮しつつ、感謝しつつ
使わせていただきます。m(_ _)m

ちょっとした読み物に
いかがでしょうか。^^

みん俳に関わるみなさまへ
改めて感謝申し上げます。
ありがとうございます。🌳

つる かく 🌼

#しゅんしゅんぽん

しゅんしゅんぽん企画記事

十六夜さん川柳

こたろうさん短歌


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