小説 : 鼻から花火

ある蒸し暑い夏の日、かみのの部屋では藤次との小説制作が行われていた。

かみの：「藤次、君も信じられないことを聞いてくれ！突然なんだ、鼻から花火が噴き出し始めたんだよ！」

藤次：「なんてこった、それはどういうことだ？」

かみの：「分からないんだ。ある日、部屋を片付けてたら古びた箱を見つけた。それを開けたら、なんか不思議な花火みたいなものが出てきたんだよ。それがね、そのまま鼻から噴き出してさ。」

藤次：「信じがたいが、それは素晴らしい素材だ！これを小説にしよう！」

かみの：「そうだな、自分だけが体験してるわけじゃないんだから、他の人にも知ってほしいんだよ。」

藤次とかみのは、鼻から花火の現象についてのアイディアを交換しながら物語を練り上げていった。

しばらくして、かみのの下の階に住むかなことわたるが遊びにやってきた。

かなこ：「かみのさん、かみのさん！花火見たい！」

かみの：（微笑みながら）「ごめんね、かなこちゃん。今はちょっと花火は無理なんだよ。でも、いつかきっと見せてあげるからね。」

わたる：「はい、花火見たい！」

かみのと藤次はかなことわたるに自分の体験を優しく説明し、子どもたちの無邪気な笑顔に心が温かくなるのを感じた。

物語は進むにつれて、かみのの鼻から花火が増えていく様子や、彼の心の中の変化が描かれていく。藤次はそれを巧みにストーリーに組み込みながら、読者に独特の臨場感を味わせていくのだった。

かみのの体験に興味津々なかなことわたるは、彼の話を真剣に聞きながらも、物語の不気味な展開に引き込まれていった。

小説はめぐみの一人称で進み、かみのの鼻から花火がもたらす予想外の展開を読者に味わわせる。そして、気味の悪いオチへと向かっていく物語が、読者の心に深く刻まれるのだった。

かみのと藤次は物語を続けながらも、部屋の雰囲気が次第に異様なものに変わっていくことに気づいた。薄暗い部屋に、鼻から噴き出す花火が怪しく光を放ち始めた。

かみの：「藤次、これは…」

藤次：「何だこれは…おかしい、本物の花火じゃないはずだ」

すると、鼻から噴き出る花火が突如として異形の姿へと変化し、部屋中に恐ろしい幻影が舞い始めた。

かみの：「これは…何だ、こんなひどい幻影は…」

藤次：「かみの、冷静になれ！これはただの幻想だ！」

だが、それは既に手遅れだった。かみのは狂気に包まれ、幻覚と現実の区別がつかなくなっていた。

かなことわたるは恐怖に顔を歪め、かみのの異変に驚愕する。小さな二人は手を握り合い、無様に泣き出してしまった。

藤次は必死にかみのを制止しようとしたが、部屋はますます不気味な光に包まれ、物語の世界と現実が交錯していく。

物語はクライマックスに達し、かみのの心の中は混沌としていく。彼は自らが書き上げた物語の世界に囚われていったのだ。

藤次は心配そうにかみのを見つめながら、彼の手を握った。

藤次：「かみの、しっかりして！君の中にある恐怖に負けるな！」

かみのは藤次の手に力強く手を握り返し、自らの心の中に立ち向かう覚悟を決めた。

かみの：「ありがとう、藤次。君の言葉が力になるよ。」

藤次はかみのの目を見つめ、心からの支えを送った。二人は固く握手を交わし、共にこの狂気の物語から脱出することを決意した。

その決意により、かみのと藤次は現実と幻想の狭間を彷徨いながらも、物語の世界から抜け出す方法を見つけだす。

物語の中では、読者もかみのの狂気に引き込まれ、絶望的な状況に胸を締め付けられながら、彼の脱出を願うことになるだろう。

かみのと藤次の逃避行は困難を極めるが、お互いの絆と創造力がその力となり、彼らは物語の世界から解放されていくのだった。

【結末】

かみのと藤次は共に物語の世界から脱出し、現実の部屋に戻ってきた。かみのの鼻からの花火は止まり、部屋は静寂に包まれた。

かみの：「藤次、無事に戻れた…」

藤次：「そうだ、君は強い。どんな狂気の中でも立ち向かえる強さを持っているんだ。」

かみのは藤次に感謝の気持ちを込めて微笑んだ。

かみの：「これで物語も完成だね。この経験を活かして、次の物語を書こう。」

藤次：「その言葉に賛成だ。僕たちの創造力には限りがない。」

かみのと藤次は再びペンを手にし、新たな冒険を始めることを誓ったのだった。