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読書百編

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日々読んだ本の、まとめや感想を綴って行きます!
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記事一覧

【なぜサブマリンは、サブマリンなのか?】読み終えた後にそう感じた作品。 現代の生活の中で誰しもが抱く衝動や欲動。それは潜水艦(サブマリン)のように表面に表れず、静かに心の奥底で動いている。人によっては、その衝動や欲動が水面へと表れる・・・あぁ深い。潜水艦ぐらい深すぎる伊坂幸太郎。

【江戸川乱歩:芋虫】読むのにマラソン並の体力使います。

【備忘録】白洲次郎 占領を背負った男

白洲次郎という人物を初めて知ったのは、TikTok。着こなしも風貌も"イケおじ"ということで紹介されていたが、まさしくその通りで、私は不純な動機から白洲次郎という人物を深ぼるようになった。 「吉田茂の右腕」「歴史の黒子」「プリンシプル」と白洲次郎を象徴するキーワードはたくさんあった。その中でも「白洲次郎の青春」というキーワードに引っかかり、初めて白洲次郎について読んだ本はキーワードの通りの本。そこから、今回の「占領を背負った男」に辿り着き、太平洋戦争終戦後から日本国憲法が作

愛する人が嘘をついていたと知った時、改めて愛することはできるのだろうか。

2022年に映画化もされた、平野啓一郎さんの【ある男】。映画を観る前に原作をと思い、手に取った1冊。平野さんの小説を読むのは、この本が初めてだが、もともと【自分とは何か 「個人」から「分人」へ】という「本当の自分」に対する考え方の本を読んでおり、この主義が反映されている作品はずっと読みたいと考えていた。 あらすじ感想本当の自分とは 幼少期に深い傷を負い、過去を変えたい、昔の自分を捨てて、別の誰かとして生きていたい。そんな風に切望するほどの経験はないが、確かに別の誰からの人

透明な夜の香り 〜千早茜〜

なんだろう…面白くて共感できる作品はたくさんあるのに、そのどれとも違う読後感。他の作品も心動かされ、余韻がすごい作品もあったが、その類とは別の興奮と余韻がある。 あらすじ感想執着と愛情 冒頭で記載した感情になったのは、この作品に描かれている主人公たちの深く暗い部分に触れたからだろうか。それとも、マイノリティな立場の人達の感情等にのめり込んだからだろうか。シーンがより鮮明に思い出され、何度も何度も読み返したくなるストーリーだった。 本作については、作者である千早茜さんのイ

老人ホテル

著者原田ひ香さんを知ったのは「三千円の使い方」、お金の話は友人にはしずらいこともあるため、フィクションでも同年齢で同じような状況の話を読めるのは嬉しい。 調べてみると他にもお金のテーマで書いている作品を見つけて、それが「老人ホテル」だった。 あらすじ生活保護を受給する大家族で育った天使は、キャバ嬢時代に知り合った投資家の綾小路光子と再会する。訳あり老人たちが長逗留するビジネスホテルにひっそりと暮らす光子の指南で、極貧人生から抜け出そうと、生きるノウハウを学ぶことになるが…

パラレル同窓会

藤子・F・不二雄ミュージアムに行った際に、企画展が「SF短編原画展」が開催されており、その中で一番気になった作品が「パラレル同窓会」。 気になりすぎて、気になりすぎて図書館でパラレル同窓会が収録されているSF短編集を見つけた時は興奮してしまった。 ミュージアムにて、藤子・F・不二雄は「アニメや漫画は大人になって読み返しても何か気づきがあるのでなければならない」と言っており、その言葉がすごく印象的だった。確かにドラえもんは大人が見ても感動できるし、色んな事に気づかせてくれる

夢をかなえるゾウ3~ブラックガネーシャの教え~

夢をかなえるゾウはいつ読んでも読みやすい。そして、最後は感動を持ってくるのでより良い。今回は備忘録として、ガネーシャの教えと、特に心に残ったものを記載しておく。 ・自分の持ち物で本当に必要なものだけを残し、必要のないものは捨てる 持ち物にも気持ちにも余裕がないと、新しいことを吸収したり気付けないのは本当だと思う。それに持ち物や部屋が汚いと、朝起きた時に心がどよ〜んとなってしまうのは否めない…仮に物が多かったとしても、その物に対して「ずっと欲しくてやっと手に入れた」「これって

コンカツ -石田衣良-

高校生の時、英語の先生が「本は読むべきだ。特に石田衣良さんの作品は。」ということを言っているのがずっと心に残っていた。 記憶に残ってはいるものの、全然読んでおらず、今回初めて手に取った。「なぜ、もっと早くに石田衣良さんの作品を読まなかったのだろう。」これが最初の感想だった。今回読んだ”コンカツ”は、1日で読みえおる程読みやすく、共感でき、そして惹き込まれる作品だった。 あらすじ感想”コンカツ”の中で、いくつか心に響いた言葉があった。 主人公の1人である彩野が「自分のタイ

西洋菓子店 プティ・フール -千早茜-

食を通して人との繋がりを表現されるのが特徴の千早茜さんの作品。以前は『さんかく』というご飯系の食が出てくる本を読みましたが、今回はフランスケーキなどがたくさん出てくる『西洋菓子店 プティ・フール』を読みました。 また、この作品は直木賞(中堅やベテラン作家による短編~長編の大衆小説に与えられます)を受賞しているとのことで、ずっと読みたかった作品です。 あらすじ Groseille(グロゼイユ) グロゼイユ、和名では”赤すぐり”と呼ぶようです。グリ科スグリ属の低木になる果

お探し物は図書館まで

2021年の本屋大賞で2位を獲得した「青山美智子」さんの本。 これから仕事どうしようかな、そう考えていた時に出会った。 何度読んでも、状況によってグッとくる章が違うし、そして何度読んでも感動できるのいい。 朋香 二十一歳 婦人服販売員 少し働くことが慣れてきた社会人。「仕事をする目的」「自分には何ができるか」という点に悩んでいる。 また、仕事で東京に上京し、地元の友人からは「東京で働くなんて凄いね!」なんて言われ最初はいい心持ちだったが、段々と「特に何か成し遂げている訳

「喜嶋先生の静かな世界」

初めて「森博嗣」さんの作品を読んだ。 ミステリーを主に執筆されているようだが、たまたまBookOffで自伝的小説を見つけたので、表題の作品から入門することにした。 (そもそもだが、著者がどういう考えや価値観を持っているか、どのような経験をしてきてたのが、凄く気になるタイプなので、この作品はドンピシャだったと思う。) タイトルにもある通り、「喜嶋先生」が自分の強い信念を持って生きている姿がかっこよかった。知る人ぞ知る偉人。頂上にたどり着いた人だけが理解できる、その人の本質。か

赤と青のエスキース

初めて青山美智子さんの本に出会ったのは『木曜日にはココアを』という本。読んだ後にふっと心が軽くなって温かくなる。今回の『赤と青のエスキース』は、本屋対象でずっと注目されていたため、気になっていた本。1人旅のお供で読了した。 本の中で気になった言葉を書き留めていきます。 ■金魚とカワセミ 昔を思い返して余韻に浸るのはいい。でも、昔に囚われるのはよくない。『あの頃の私がいるから、今の私がいる』そう思えるように、日々を生きていきたい。何も変わらない毎日かもしれないけど、美味し

木曜日にはココアを

仕事に疲れていたので、何か心が温まる本が読みたいと思い手に取った一冊。 ■のびゆくわれら ”これがしたい”だけではなく、”こういう人と一緒にいたい””こういう雰囲気に触れたい”それで自分の居場所(仕事)を探していくのもありだと思わせてくれる言葉だった。 ■半世紀ロマンス 脳ある鷹は爪を隠すではないけれど、私が理想とする人間像ってこういう人のことを言うだと。 ■ラルフさんの一番良き日 ただ”これだ”と感じた。「自分が感じること」で仕事を動かしたい、そう思った。