特別買収目的会社(SPAC)が流行るかも?

何かまた米国から新しい錬金術というか、金融手法というべきか、黒船がやって来ているようです。

黒船と言っても、今日の日本は鎖国体制にはありませんので、当然のこと過去に日本の開国を求めてやってきたペリー艦隊とは違います。

聴くところによると、なんというか新しい金儲けの手法らしきもののようです。ということで、大変だぁ〜てい変だぁ〜と大騒ぎする必要はなさそうですが、その正体を知り得る範囲内で詳らかにして置きたいと思います。

ということで、特別買収目的会社(SPAC)とはなんぞや?というと…

→未公開会社の買収を目的として設立される上場会社。

…ということらしいです。もう少し細かく言うと

→特別買収目的会社のSPACはスパックと呼称し、英語のSpecial Purpose Acquisition Companyの頭文字を取っているんだそうです。

で、さらに詳しく見てみると…

→SPACは、企業買収のみを目的として上場される会社で、スポンサーと呼ばれる設立者が投資家から資金を集め、24ヶ月以内に買収対象となる未公開企業を探し出し、株主総会の承認を得て合弁する形で買収しなければならないというルールがある。

こうしてスタートアップ企業は、SPACと合弁することによって短期間で上場を果たすことができる。

…ということらしいです。
よくよく見てみると、SPACは企業買収のみを目的とした、いわばペーパーカンパニーなので、当然、日本では許されてはおりませんが、海の向こうの米国では、その上場がブームになっているってんで、こりゃまた日本では"想像"もつかねえ、"創造"したくても始められねえようなことをやらかしてくれているな〜とアングロ・サクソン民族の逞しさに恐れ入っているところでございます。

なんでも米国では、新規株式公開(IPO)という既存の仕組みよりも優れているってんで、昨年新規上場したSPACが248社と過去最高だったそうで、今年はというと、もうこの春の段階で既に250社を優に超えているとのもっぱらの噂で、とうとう米国証券取引委員会(SEC)が、投資家にリスクもあると注意を喚起し始めているようなんです。

ここで何がリスクなのか?が気になるので少し確認しておこうと思います。

→SPACは、スポンサーと一般投資家との間に利益相反が起きる可能性が高い仕組みとなっている。

ということらしいのです。
ここで、なぜ利益相反が起きるのか?について気になるので少し調べてみました。

→SPACの調達額は数億ドルに上るが、スポンサーはわずか2万5000ドルを出資するだけで、上場後の持ち株比率が20%になるよう設定されるのが一般的なんだそうで、スポンサーはあまり成長期待の持てない会社であっても合弁が実現すれば利益が見込みやすいわけです。よって取引を何としても成立させようとする強い動機に繋がるわけです。結果、2年間の期限が迫って来るに従い、スポンサーが焦り、無理をしやすい構造になっているとも言えるわけです。

一般投資家を保護するための一定の措置もあるようですが、なんせ、一般投資家とスポンサーが得られる情報には圧倒的な差があります。

仮に未成熟な未公開企業を無理やり買収するようなケースが出てくると公正な金融取引が侵害されるに留まらず、将来が期待されるスタートアップを喰い物にするような事態も考えられなくもありません。

実際に20年6月にSPACとの合弁で上場したニコラが、上場後に技術の誇大広告の疑惑が浮上し、株価が急落。他にも虚偽記載が発覚し損をした株主が会社に対して集団訴訟に至るケースなども起きています。

まあ、物事には常に表裏があるものだと思います。ましてや人間の為すことですから、大なり小なり良し悪しは常に在るんだろうと思いますね。

ということで、一旦発生したこのSPACの流れは当分続くんだと思います。日本にも本格的にやってくると思います。

日経新聞電子版4/5付朝刊記事曰く…

それでもSPACが注目されるのは、未公開企業も投資家も伝統的なIPOのプロセスに満足していないことの表れ…と。
更に…
1.上場を目指す企業にとってIPOでは、投資家が集まるが、値付けが幾らになるか見通しが難しいが、SPACでは交渉で調達できる額が決まる。
2.一般投資家もIPOに比べて少額投資が可能でアクセスしやすい。
専門家の話として、日本の市場がリスクマネーの供給機能を適切に果たしていくためにも、日本版SPACについて議論すべきと結んでいる。

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