記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

『クイーンズ・ギャンビット』

40/100


実は2日ほど前に観終えているのだが、何を書いたらよいか何も思い浮かばず、そしてそれはどちらかと言えば悪い意味で、なのだが、そんなわけでこの2日間よくよく考えを巡らせて考えてみたが、やっぱり結論としては「あんまおもしろくなかった」でした。

とにかく王道。そう言ったそばから「王道ってなんだろう」とも思うわけだが、いうなれば要するに水戸黄門遠山の金さんのような。「天才少女が孤独に苦しみながらときどき挫折もしつつなんやかんやでがんばって大成功するが、そんなことより『ひとりじゃなかった』という大切なことに気づいてありがとうって思う話」であり、もうこれ以上でもこれ以下でもない。本当にこれだけの内容を7話かけて描いている。すごく薄く。物語ありきの物語。ベスが飲んだくれて目の下に隈取したあたりでもう結末が見えるし、薬やめても天井に盤上(韻)が見えるのも知ってた。別に何でもかんでも意外性求めてるわけじゃないのだが、ベスこそがまるでチェスの駒みたいに無機質で、躍動感に乏しく、ゆえに説得力に欠ける。

評価は高い作品なので、あの徹底したオーソドックスさにも十分な価値があるのだろうとは思うが、私には全然合わなかった。

ただし、養母とボルコフには心が動かされた。養母の悲哀は痛いほど伝わってきたし、ボルコフなんてほぼ無表情でほぼ喋らないのだが、ソ連という国でチェス一本で生き延びてきた自身のあらゆる歴史を、その佇まいと目線だけで語り尽くしている。私にはこのふたりだけが、この物語のなかで唯一「生きているひと」に見えた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?