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クリスマス会

先日、母が入居しているホームのクリスマス会があった。

私たち家族も招かれての賑やかな会だった。

私の席は、母の隣に設けられていた。

皆でクリスマスソングを歌い、母たちのハンドベルの演奏も聴かせてもらった。

ハンドベルの演奏の前には、「練習なんかしてたかしら?」と言っていた母だが、いざ本番となれば皆さんと仲良く演奏できていた。

認知症のある母は、クリスマス会のことも今一つぴんときていないようだったが、同じ入居者の方から色々教えて頂きながら、うまくホームの生活に馴染んでいる様子がうかがえた。

運ばれてきたクリスマスのディナーも彩りが綺麗で美味しかった。

ちゃんとデザートのケーキもついていて、クリスマスらしい雰囲気が味わえた。

入居者の食事が終わると一人一人の食後の薬が運ばれてきて、介護職員の方がお薬を飲むお手伝いもして下さる。

まさに至れり尽くせりである。

最後にサンタクロースの衣装を着た職員さんが母たちにプレゼントを配って下さった。

驚いたのは、そのプレゼントの中身が人によってみんな違っていたことだ。

どうも、前もって然り気無く母たちに何が欲しいのか職員の方が聞き取って下さっていたようだ。

寒がりの方にはレッグウォーマーが。

母には、手帳や明るい色のタオルが入っていた。

クリスマスカードには母たち、一人一人の名前が綴られている。

ただでさえ日々の業務に忙しいであろう介護職員の方々が、お仕事の合間にプレゼントの用意をされ、クリスマス会の会場の設営、歌や楽器の演奏までこなされていたのだ。

厨房では、食事を私たちの分まで作って下さって…本当に頭が下がる思いがした。

この会に出席するまでは、母のことをホームに入れたことについて罪悪感を拭いされないでいた。

でも、こうした暖かなおもてなしを受けて、また母たちの様子を見て、私は母をこのホームに入居させたことは間違っていなかったとの思いを強くした。

人と関わりながら、何かをすることはやはり、本人にとって刺激になるし、皆さんが楽しそうにされている姿を見ると、まだまだ人生捨てたものではないと思えた。

その夜は、介護されている方々への感謝の気持ちを胸に帰宅した。

すっと私の気持ちが楽になったのは、この時からだ。

今でも母から、いつ家に帰れるのかという電話はかかってくるが、大分回数は減ってきた。

電話に出る度に「そこにいた方がやることがあるし、楽しいでしょう?」と母に声をかけている。

お正月には母を外食に連れ出す予定である。

最近、仔犬を飼いだした。

コロコロとして可愛いメスのポメラニアンだ。

先住犬たちとうまくやれるか心配だったが、オスばかりの中で元気いっぱいに走り回っている。

母に仔犬を見せたら喜ぶだろうなぁと思うと自然と顔が綻んでくる今日この頃である。

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