私の不妊治療⑱「キラキラ妊婦」

妊婦ってキラキラ映るもの?
幸せそうには見えるかもしれないけれど
私はあんまりキラキラしたイメージを持っていない。

もちろん不妊治療真っ最中のときには、すごく羨ましかった。
不妊治療の地獄など味わいたくなかったし、
味わわずに妊婦になれた人は妬ましいほど。


でもそれがイコール
妊婦は輝かしく、人生で一番キラキラしてる!
のようには思わないし
どうにかなって欲しいとも思わなかった。

姉たちが妊婦の時も見ていたけれど
それで苦しそうという印象がついたわけでもない。
「妊娠はゴールではない」と思っていたからか…?
理由は自分でもよく分からない。


ただ不妊治療の沼から抜け出せず、
今もなお地獄を歩く人にとって
妊婦はどう映っているのか
心配になることもある。


不快な思いをさせてはいけないと思う反面
何が不快かは人それぞれで
治療中の自分が見ていた妊婦と
他人が見ている妊婦はまた違うのだと思う。



実際妊婦になってみて思ったこと。

妊婦は楽ではない。
…個人的には想定内だけど、想定外の苦しみだと悩む人もいるだろう。

いつも不安がつきまとう。
陽性を初めて見た日は数十分泣き続けた。
それはその時の私を救うと同時に
それから始まる不安の日々も意味した。

症状が何も感じられない間は
お腹のなかですくすく育ってくれているだろうかと怖くなる。
その先も
心拍を見せてくれるだろうか。
5体満足だろうか。
このまま無事生まれてきてくれるだろうか?
このコロナ禍で要らない負担を負わさず生かしてあげられるだろうか?
もし胎内で何かが起こった時私に気づけるだろうか?
守ってあげられるだろうか?

陽性を見てから実際に我が子を抱くまで約8ヶ月半
心配は絶えず。

食べたいものが食べられない
身体のあちこちが痛い
直ぐに気分が悪くなる
出来ていたことが出来なくなる

それでも
お腹に弱い命を宿し、守れるのは自分だけ。

普通のメンタルでいるなんて無理なのかもしれない。


私は悪阻は軽い方だったと思うし、それ以後も心身の不調は少ない方だと思う。
でもたとえ酷くても、
強く望んで授かった命で
不妊治療とは違って確実に歩を進めているのだから
不妊治療中のメンタルとは比にならないとも思う。

妊婦にどんなことが付随しても
我が子に会える日が近付いていることが幸せだ。

私はね。



でもきっとこれも人それぞれ。
不妊治療の苦しみを当事者しか分からないように、
妊婦の苦しみも人それぞれで
他人には分からないだろうね。


「妊婦もうやめたい」なんて私は全く思わないし、
「そんな馬鹿なことがあるか」と感じるのが正直なところ。
でもそう吐露する人が何に苦しめられ
どんなに壊れそうかは私には分からないし、
不妊治療中の人が理解できるものでもないだろう。


嫉妬や不安が渦巻く中で
お互いの負担を知った気になってはいけないと思った。



排卵し受精し分割が進み着床し、子供が生まれるまでって
何故こんなに長く苦しいものなのか

その苦しみを微塵も感じないという人がいるなら
流石に私もすごく羨ましい。


次回「避難」


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