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マダガスカル語入門1 概要


 マダガスカル語(マラガシ)の文法についての日本語資料が乏しいので、勉強がてら投稿していこうと思います。素人による独習の備忘録のため、内容を保証するものではありません。間違いなどありましたら指摘していただけると幸いです。マダガスカル語は現地ではMalagasyを呼ばれるため、ここでもマラガシと表記します。

 マラガシはアフリカ東部に浮かぶ島国マダガスカル共和国において主に話されている言語で、フランス語とともに同国の公用語となっています。マダガスカル人の祖先は東南アジアのマレー諸島からマダガスカル島に移住したとされ、マラガシもオーストロネシア語族マレー・ポリネシア語派に分類されています。

 以下に、マラガシのイメージをつかむための非常に大雑把な説明を紹介し、詳細については次回以降に各論として投稿していこうと思います。

文字と発音

 マラガシには独自の文字はなく英語などと同様のラテンアルファベットが用いられますが、c, q, u, w, xの5文字は使いません(外来語は例外です)。  

 基本の母音はア、イ、エ、ウ、オの5種類であり、子音の発音もローマ字読みに近いので、発音については日本語者にとってはあまり難しくありません。声調などもありません。
 ※二重母音、二重子音などもありますが、それらは後の記事で説明します。

基本の語順

 日本語がSOV型(主語+目的語+動詞)、英語がSVO型(主語+動詞+目的語)という語順であるのに対し、マラガシはVOS(動詞+目的語+主語)となります。つまり「私は パンを 食べます」という文章が、マラガシでは「食べます パンを 私は」の語順となります。この点は日本語話者にはかなり馴染みにくい点といえるでしょう。

単語の活用

 「私の〇〇」のような表現をする場合、日本語や英語では名詞の前に「私の」"My"など所有・所属を意味する単語を置きますが、マラガシでは名詞の末尾(接尾辞)を変化させることで表現します。例えば「名前」はマラガシでanarana(アナラナ)ですが、それぞれ以下のように変化します。

  • 私の名前:anarako(アナラク)

  • あなたの名前:anaranao(アナラナオ)

  • 彼の名前:anarany(アナラニ)


動詞・形容詞

 マラガシの動詞の原形は、一部の例外を除いてmで始まります。

  • 話す:miteny

  • 働く:miasa

  • 持っている:manana

この語頭のmをnにすると過去形、hにすると未来形を作ることができます。

  • 話した:niteny

  • 働く予定だ:hiasa

日本語や英語と異なり語頭の変化は日本語話者には馴染みがないが、規則自体はシンプルで覚えやすいと思います。

なお、マラガシでは動詞と形容詞の明確な区別はなく、動詞と同様に変化します。

  • 病気である:marary

  • 病気だった:narary

  • 病気になるだろう:harary


指示詞

 最後にもう一つ、紹介したい面白い文法が指示詞です。指示詞とはいわゆる『こそあど言葉』で、「これ」「それ」「あれ」「どれ」や「この」「その」などのことですね。
 
 マラガシで「これ」はityといい、「これは机です」という文章は "Latabatra ity."となりま(latabatra:机)。では「この机」はというと、"ity latabatra ity"となります。名詞の前後をityで挟むことで「この」という意味になるということです。これは他の言語にあまり見られない、面白い特徴ではないでしょうか。


以上、本当に大雑把なマラガシ紹介でした。
より詳細な内容については次回以降紹介していきたいと思います。
マラガシ学習仲間が一人でも増えますように。


ツノメ


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