スターリンクが山小屋にやってきた
スターリンク(Starlink)
どれくらいの人が知っているでしょうか。
スターリンクは、かのイーロン・マスクさんが率いるスペースX社の衛星インターネットサービス。
このサービスを利用すると、空が開けた場所ならどこでもインターネットを利用できるようになります。
どこでも電波が入り、ネット回線が通じている都市ではあまり関心を引く内容ではないかもしれませんが、
電波の届かない山小屋にとっては待ちに待ったサービスなのです。
日本では2022年10月からサービス開始したそうです。
昨年から耳に入っていましたが、
開始して最初の夏山シーズン、
一体どれくらいの山小屋が導入するだろうか、
と思っていたらどうやら多くの山小屋が取り入れた模様。
その一つの動きとして、
KDDIとWi2がスターリンクを使用した「山小屋Wi-Fi」というサービスを開始しました。
ホームページによると以下の山小屋で既に導入が開始されているそうです。
白馬村八方池山荘、白馬岳頂上宿舎、天狗山荘、冷泉小屋
塩見小屋、仙丈小屋、北沢峠こもれび山荘、西駒山荘、蓼科山荘
真砂沢ロッジ、剱澤小屋
各山小屋毎で直接スターリンクと契約をしている山小屋もあり、
合わせるとさらに多くの山小屋がスターリンクの恩恵を受けていることになりそうです。
かくいう私も現在スターリンクの恩恵を大きく受けている一人。
私は現在北海道の大雪山の山奥で生活しています。
ここは人が集まる集落まで車で40分という場所で、これまでずっと電波の入らない場所でした。
今年からスターリンクが導入され、職場兼宿舎の周りではネットが使えるようになりました。
これまではSNS一つ更新するにも、
車で30分ほど走って電波の入る場所まで行く必要がありました。
現在は下界と同じように不便なくネットを使うことができます。
それだけでも山奥と下界の距離が縮まった印象を受けます。
ちなみに私のパートナーも現在、北アルプスの奥地の山小屋で働いています。
こちらもスターリンクが導入されて、連絡が取れるようになりました。
北海道・大雪山の山奥と北アルプスの山奥という、
日本の極地とも言えるような場所にいる私たちですが、スターリンクのおかげで頻繁に連絡を取ることができているのです。
私が山小屋で働き始めた数年前には考えられなかったことです。
個人的な恩恵だけでなく多くの登山者にとっても恩恵がありそうです。
これまで現金オンリーだった山小屋の支払いもQRコード決済が可能になったり、
北アルプスの奥地でワーケーションが可能になったり…
登山道の最新状況の発信も頻繁に行えるようになって安全面にも効果が期待できそうです。
山小屋の可能性を大きく広げる革命になりそうです。
一方でこれまで「電波が無い」ことに価値のあった山奥もいよいよ消滅か、といった寂しさもあります。
ネットなしの不便な状態を経験してきた私の上司も、仕事の上では喜んでいますが、手放しで喜んでいるわけではなさそうです。
電波が無かったら無いなりの豊かさもあります。
今後、電波の空白地帯がさらに少なくなってくる山小屋、どのように変化していくのか、
電波の無い時代を知る一人として、
興味深く見守りたいと思います。
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