尾瀬のゴールデンウィーク
4/21に登山口に通ずる道路が開通し、実質的な開山となった尾瀬。
ゴールデンウィークは尾瀬における最初の繁忙期です。
お客様が目当てとするのは尾瀬ヶ原の散策と、4/21〜5/6まで登山道が開放されている至仏山の登山と山スキーが恐らくメイン。
至仏山については前回の記事で少し触れています。
湿原を散策したい観光客と至仏山に登りたい登山者の山小屋周辺では両方が入り乱れます。
特に天気の良かった5/3〜5/5は賑わいました。
ゴールデンウィーク前は登山者とスキーヤー、ボーダーに限られていたので、
本格的な観光客を迎えるのはゴールデンウィークが初でした。
観光客が大勢入ってくると、中には山小屋の人間としては「おや?」という方も少なくなく、例えば
・地図の居場所を思い切り勘違いしている方
→登山口から北に歩いてきているのに、東に向かっていたと勘違いしていました。
標高も全然違うので地図を見ればすぐわかる違いなのに…
一歩間違えれば遭難です。(というよりも地図を大幅に読み違えている時点で遭難)
・木の棒を拾ってストック代わりにしている方々
→尾瀬国立公園内では石ころ一つ、葉っぱ一枚持ち帰りや移動させてはいけません。
木の棒を動かすのは言うまでもなく…
グループ全員が木の棒をついてる方々もいて、なんだかなーという感じでした。
これは尾瀬の関係者の広報不足が否めませんが。
・山小屋への到着が17時を過ぎる方々
→尾瀬とはいえ16時までの到着は山のマナー。
遅い時間は視界不良、気温の低下やクマとの遭遇率も上がるため、危険が跳ね上がります。
百歩譲っても遅れる旨を連絡してほしいものです。心配ですから。
・スニーカーでくる方たち
→ 雪を被った木道の合間で踏み抜けば
靴はびしょ濡れになるかもしれませんし、怪我もします。
木道で滑れば骨折くらいはしてもおかしくない場所です。
他にもジーパンやスカートで来ている方も…
山の人間からすると「正気か?」という感じです。
雪が溶けきった夏ならまだわかるのですが、
ゴールデンウィークはまだ残雪の山。
今年は雪解けが早かったから良かったものの、まだ1m近い雪が残っていたら皆さんどうしていたんだろう、と不思議に思います。
少し話は逸れますが、ゴールデンウィークの終盤では、私が散歩している最中に偶然にも救助に関わる事態もありました。
雪道で、ちょうど雪で隠れていた沢に落ちた方がおり、肩から上は雪の上に出て引っかかっていましたが、すぐ下は沢で足は浮いている状態。
なんとか安全な雪の上まで引っ張り上げて、事なきを得ました。
残雪で沢や木道の隙間が隠れているため、
まだまだ危険な時期だと実感する機会でした。
GWということで、どこか観光に行こう、と尾瀬が候補に上がる方もいるのでしょうが、
知識不足の人が大変多い。
調べれば簡単にわかるものの、水芭蕉や木道のイメージが先行してしまうのでしょうか。
それともわかっていて来ているのでしょうか…。
尾瀬に関わる方の広報の仕方も不十分だな、とも感じます。
木の棒の件もそうですが、登山口での注意喚起が非常に少なく、あっても目立ちにくいところに。事故が起こってからでは遅いんだけどな、
と心配になります。
尾瀬は他の自然の景勝地である長野の上高地や青森の奥入瀬渓流といった場所の散策路に比べると、より登山道に近い状態。
登山口の鳩待峠から尾瀬ヶ原までは標高差約200m、距離にして3.3km、
下り1時間、上り1時間20分のコースタイムが設定されています。
標高差のほとんど無い上高地とも、
散策路の脇をバスが走っている奥入瀬渓流とも異なるのです。
今年は幸いにも今日までニュースになるような事故は無かった模様ですが、
この先も観光客、登山客に限らずルールやマナーを守って、尾瀬で、山で、良い思い出を作って帰ってほしいものです。