冬季休業中の山小屋の無断使用の件
最近、山界隈で話題になっているのが冬季休業中の山小屋である三俣山荘、および水晶小屋の無断使用の件。
北アルプスの山小屋はロープウェイ駅から程近い西穂山荘を除いて、全ての山小屋が冬季休業をします。
それはただでさえ自然環境の厳しい北アルプスの山中で、さらに環境が厳しくなる冬の営業は困難を極めること、
そしてもちろんそんな場所にお客さんはほとんど来ないからです。
その間は雪が侵入しないように、あるいは動物たちが入ってこないように、見出し画像のように全ての窓に冬囲いをして、山小屋を、閉鎖します。
冬季小屋という形で建物の一部や別棟を開放して、無人ながら泊まれるようにしている小屋もあります。
今回の一件はその冬季小屋ではなく、
閉鎖しているはずの山小屋に何者かが侵入をして無断で使用したということです。
私自身山小屋が冬季休業している状態の時に山に入ることはしないので、
休業している山小屋の扉を、
無理矢理こじ開けて入ろうとする人の気持ちや考え方というのは、
ちょっと共感しづらいのですが。
よほどの猛吹雪に見舞われて、死に物狂いで戸を外したのでしょうか。
もしかしたら悪意を持って壊していったのでしょうか。
冬季休業中の山小屋に無断で侵入するなどという話は、私が山小屋に勤めてからは聞いたことがありません。
(起きていたとして、公にしていない可能性もありますが)
それが突然、三俣山荘と水晶小屋の同じ系列の山小屋が2件同時に?
なんだか不思議な話です。
色々と推測は尽きませんが、
なぜこのようなことが起こったのかは、
実際に侵入した当事者でないとわからないことなので、
「なんて酷いことを」という感想よりも、
「そんなことも起きるんだ」程度でとどめておきたいと思います。
実際に山小屋の小屋締めを経験した身からすると、冬季休業中の山小屋に侵入するのは並大抵のことではないと思っています。
窓の鍵を壊したり、ピッキングしたりして家に侵入するのとはわけが違います。
どのようにして閉めているかは、
このような事件が起きている以上、公言するのは控えますがけっこうガチガチです。
人の素手の力だけでどうこうできるものではありません。
それから私が山小屋で聞いた話ですが、
小屋締めした際に、「最後にどこから出てきたかを話すのは控えろ。」と聞いたことがあります。
侵入されたら困るから、と。
その時は、そんなこと起きるのか?
と半信半疑でしたが、
実際に起きてしまったので、山小屋で聞いた話は正しかったんだな、と思った次第です。
もちろん最後に出てきた所も、処置をしているので、簡単に入れる場所があるわけではないのですが…
冬季ってやはり、基本的には山小屋が休業するような山は入ってはいけないと思っています。
入るにしても天候や雪の状態を十分に把握したうえで、想定しうるあらゆる事態を自力で対処できるスキルがある、
それが大前提ではないかと。
今後このような事件が起こらないことを祈ります。
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