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生きてるあいだに宇宙旅行がしたいのよ

わるぐちやぐちを言いたいわけじゃないんだけど、ある意味とっても学びになったのでその話しをしてみる。

ウチの両親はありがたいことに83歳にして超元気で、郊外の小さな町に古い庭付き一戸建てに暮らしている。
どんな暮らしなのかというと、
母は毎日趣味の洋裁でクリエイトしつつ友達とフラダンスそれからカラオケ教室へ通い、毎月2回は地元仲間でゴルフコンペにも参加していてスコアは常に90台いう腕前。
3階建ての家の階段も駆け足で登ってしまうほどの仕上がりなんですよ、いやー彼女には到底かないません。
父のほうは5時に起床して毎朝自転車とウォーキングを1時間こなしマッサージチェアで30分メンテした後は、趣味の庭づくりとDIYをし必要なものをネットオークションで探して買ったり売ったりするのが楽しいらしい。

そんな二人から時々電話があって話しを聞くのですが、その内容はいつも決まっていて、母親は基本的に昨日あったこと(面白かったこと、腹が立ったこと)若しくは新しくクリエイトした作品(LINEで画像を送信してくる)についてでして、それがけっこうおもしろい。
父親は概ねPC画面に変なアラートが出たか、変なメールが届いたとか、タブレットやスマホの操作について、要するにワタシをサポセンだと思っていて、耳の遠い父親にいつも大声でサポートする感じでおもしろい。
(だいたいへんなとこタップして慌てている)

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もう一方の二人、義理の両親は89歳で義母は脳梗塞きっかけで自立困難になってから、市内で有名な(まるでホテルのような)24時間完全看護老人施設に暮らしはじめ、義父は同じ市街地の古くて広い一軒家に一人住まいになり、義父はずっと前から足腰が弱くて一人だけで何処へも行けないし生活が困難なので、義母が施設に入ってからは義父の介助をするためにワタシたちが近くに引っ越してきたってわけで、よくある話しです。
こうなる直前までは、義父の介助や世話、家事は全て義母がやっていて、義父からしたら彼女は妻で家政婦で現在唯一の友達でもあったと思う。
要するに二人とも自力で生活したり、好きにに出かけたり、身体を動かしたりができなくなってしまったわけです。

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ウチの両親の話す内容は、昨日今日あったことか明日やりたいこと行きたいところといったような『未来の話し』が多いのに対し、義理の二人はちょっと違う。
特に義父は病院以外は出かけないしほぼ人と会わないので、昔話ばかりする。
義母は一見ホテル暮らしのようでも、彼女からしたら義父に家を追い出されたと勘違いしていて恨み節を語るようになった。義父の住む屋敷は元は義母の実家を建て替えたものだからかも。

ウチの父親は70代の間、認知症になった祖母の介護を一人で引き受け老老介護の末看取ったのをきっかけに、田舎の土地建物を早々処分したり、身の回りの整理をするようになった。その甲斐あって家は物が少なく片付いていて、田舎の老人の家とは思えないほどで娘としては心配が少なくて助かっている。
母が言うのは
「お父さんはすぐ捨てるのよ・・・」
なかなか捨てられない人が多いのに貴重だと思うよ。

義父の広い家はというと、ドッサリある。
衣類は大昔のスーツやドレスから着物まで大量に、昔の家なので客用布団と座布団が3つの押入れいっぱいに詰まっていて、18畳のダイニングキッチンの壁一面食器棚で鍋や食器も種類と数がやたら多いし穴が開いた洗い桶まで置いてある、それから得体のしれない置物や重くて使ってない大物家具などで一つ部屋が物置化してつぶされている。
戦後の人なので持ち物は捨てられないと話していて、
「とにかく私が死んだら、息子が好きにしてくれ」
と言う、ちょっと無責任に聞こえるんだけど、高齢者がよく使う言葉だったりする。

全く考え方の違う二つの高齢夫婦がワタシのすぐ近くにいる。
そこで学んだこと。
できれば長生きなんかしたくないけど、してしまうのだったら老人になっても自力でいろんなことに挑戦したいしおでかけもしたい。
だったらそのために、身のまわりを片づけて身軽になって、ちょっとだけ筋肉つけて身体メンテして、ちょっとでも貯蓄して、少ない友達を大事にして、新しい知識を身につけて、今できる範囲で毎日準備怠らないようにしようと決意したという話よ。

生きてるあいだに自動運転と宇宙旅行がしたいのよ。だから今よりずっと健康な老人にらなくちゃいけないわ!

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