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【簿記入門】簿記初心者がまず知っておきたい勘定科目を一覧で紹介します!

こんにちは。
クラウンコンサルティング株式会社で、
管理部 兼 広報を担当している、つのだ(@tsuno_bgent)です。

 前回は、簿記の基本的なことを解説しました。勘定科目とは、経営活動の中で発生したお金の流れについて「何に使ったのか?」「なぜ入金があったのか?」などを表すための項目です。例えば、商品を販売してその代金が入金されてきた時の勘定科目は「売上」、本を買ってお金を払った時の勘定科目は「図書新聞費」などです。今回は、簿記初心者でも知っておきたい勘定科目をご紹介します。

勘定科目を設定しよう

 勘定科目の設定には法的なルールはなく、基本的は自由に設定することができます。とはいえ、初めて勘定科目を設定するときは悩んでしまうことでしょう。設定する際は、以下の視点をもって設定してみましょう。

1)目的で決める

 勘定科目は、モノではなく目的で決めます。つまり、取引の内容よりもその取引が何を目的として行われたか、どのような結果をもたらすかによって勘定科目を決定しましょう。具体的な例としては、以下のようなことが挙げられます。

・商品の購入する
商品を購入する目的は、その商品を販売して利益を得ること。その場合の勘定科目は「仕入」になります。
・物品の購入
事務用品などの物品を購入する目的は、事業運営を円滑に行うこと。その場合の勘定科目は「消耗品費」や「備品」などになります。
・サービスの購入
広告代理店に広告を依頼する目的は、商品やサービスの販売を促進すること。その場合の勘定科目は「宣伝広告費」になります。
・公的費用の支払い
税金を支払う目的は、法律を遵守すること。その場合の勘定科目は「法定福利費」や「租税公課」などになります。

2)企業の規模・業種・形態による

 企業の規模や業種、事業の形態によって勘定科目は異なってきます。例えば、製造業とサービス業では必要な勘定科目が異なる場合があります。具体例としては、以下のようなことが挙げられます。

・企業の規模による違い
大企業では、経営活動を詳しく表現するために多くの勘定科目を設定する傾向があります。一方、小規模な企業では、手間を省くために勘定科目を大まかに設定する傾向があります。
・業種による違い
業種によっては、その業種特有の勘定科目が存在します。例えば、製造業では「材料」「仕掛品」「製品」などの勘定科目が必要となります。また、建設業では「未成工事支出金」「完成工事未収入金」などの勘定科目が必要となります。
・事業形態による違い
個人事業主と株式会社では、資本の部の勘定科目が異なります。個人事業主の場合は資本の部には「資本金」しか出てきませんが、株式会社の場合は資本金以外にも「繰越利益剰余金」などが出てきます。

3)一般的に広く使われている勘定科目を使用する

 一般的に広く使われている勘定科目を使用することが推奨されます。これにより、他の人が見ても理解しやすくなります。以下は、国税庁のHPに記載されている勘定科目の具体例です。

出典:国税庁ホームページ 帳簿の記帳のしかた

4)勘定科目は継続使用する

 一度設定した勘定科目は、項目ごとの期間比較が可能となるため、継続して使用することが推奨されています。これにより、経理の処理が一貫性を持ち、事業の振り返りや分析がしやすくなります。また、税務調査での印象も良くなるため、同じ勘定科目で継続的に使用するべきです。

5)青色申告では自由に設定できるのは6個まで

 青色申告では、経費の勘定科目は基本的に18個が設定されていますが、それに加えて、空白の欄の6個まで自由に追加することができます。

 追加する勘定科目は、事業の特性に合わせて設定することが推奨されています。例えば、ライティングの仕事をしている場合、「新聞図書費」や「取材費」などの科目を追加することで、経費をわかりやすく管理することができます。また、車での移動が多い事業の場合、「車両費」という科目を追加して、ガソリン代、自動車保険料、自動車税、車検代などの車に関する経費をまとめると管理がしやすくなります。

まず知っておきたい勘定科目一覧

簿記初心者が、まずは知っておきたい勘定科目は、以下のようなものがあります。

1)資産に分類される主な勘定科目

【流動資産】
・現金

手持ちのお金で、その場で受け渡しをすることができる金銭のこと。
・預金
銀行口座のこと。(保有する口座によって、”普通預金” ”定期預金” ”当座預金”などが使われます。
・売掛金
商品やサービスを提供して、後日支払われることが約束された金額のこと。これは、顧客が商品やサービスを受け取ったが、まだその代金を支払っていない状況を指します。
・商品
販売目的の商品のこと。
・有価証券
他社の株式や債券のこと。売買を目的とする1年以内の短期保有のもの。

【固定資産】
・建物
所有している建物の金額のこと。
土地
所有している土地の取得原価のこと。
・車両運搬具
所有している自動車などの金額のこと。
・投資有価証券
他社の株式や債券のこと。子会社や関連会社の株式や1年を超える長期保有のもの。

2)負債に分類される主な勘定科目

【流動負債】
・支払手形
仕入代金の支払いとして振り出した約束手形などの手形のこと。
・買掛金
商品を仕入れた際、後日支払いを約束した金額のこと。これは、商品を仕入れたが、まだその代金を支払っていない状況を指します。
・未払消費税
決算日において確定した消費税の金額のこと。決算時に、受け取った消費税と支払った消費税の相殺を行って消費税額を確定します。
・短期借入金
返済までの期間が1年以内の借入金のこと。

【固定負債】
・長期借入金
返済までの期間が1年を超える借入金のこと。

3)資産に分類される主な勘定科目

・資本金
会社設立時や増資時の出資金のこと。
・元入金
個人事業主が事業を開始する際に用意する元手のこと。法人でいうところの資本金にあたります。

4)収益に分類される主な勘定科目

・売上
商品やサービスを提供することにより得た、売上金額の総額のこと。
・受取利息
預金や貸付金について受け取ることのできる利息のこと。
・雑収入
本業以外の活動から得られた、他の勘定科目に該当しない収益のこと。
・固定資産売却益
所有している土地や建物、車両運搬具などを売却した時に、帳簿価格より上回った差額のこと。

5)費用に分類される主な勘定科目

・仕入
販売目的で購入した商品などの仕入金額の総額のこと。
給与手当
従業員へ支払われる給与のこと。
福利厚生費
従業員への福利厚生費のこと。
外注費・外注工賃
本業に関して外部に仕事を発注した経費のこと。
旅費交通費
通勤交通費や移動交通費、出張費、宿泊費、ガソリン代、高速代などのこと。
通信費
電話代、切手代、インターネット接続費用などのこと。
荷造運賃
宅配便運賃などのこと。
水道光熱費
電気、ガス、水道代などのこと。
広告宣伝費
広告や宣伝のために使った費用のこと。
交際費・接待交際費
取引先への接待や、手土産代、お中元・お歳暮代、仕事上の冠婚葬祭への参加費、ご祝儀、香典代などのこと。
消耗品費
10万円未満の備品、パソコン、コピー代、文房具、オフィス家具などのこと。
減価償却費
固定資産を使用可能年数にわたって費用化したもののこと。
新聞図書費
業務上で使用した新聞、雑誌、書籍、DVDなどの購入費用のこと。
支払手数料
銀行振込手数料、銀行時間外手数料、両替手数料などのこと。
支払報酬
税理士、弁護士などの報酬のこと。
地代家賃
事務所の家賃や駐車場賃料などのこと。
保険料
事務所の火災保険料などのこと。
・修繕費
車やパソコン、複合機などの修理費用のこと。
租税公課
収入印紙代、事業税、自動車税などのこと。
支払利息
借入金の利息などのこと。同じようなもので”利子割引料”というものがあります。確定申告では”利子割引料”が使われています。
・貸倒金
売掛金や貸付金などの回収が出来なくなった損失のこと。
雑費
どこにも属さない経費のこと。

個人事業主特有の勘定科目

  個人事業主特有の勘定科目として「事業主貸」と「事業主借」というものがあります。個人事業主は、事業をしている自分とプライベートの自分が常に密接しています。そのため、事業として使った費用なのか、プライベートで使用した費用なのかを明確に区別するための勘定科目です。

事業用資金をプライベートで使用した場合「事業主貸」

 ”事業主貸”とは、事業用資金を、事業に関連しない個人的な目的で使用した場合に使用します。例えば、事業用口座から生活費を引き出した場合や、個人住民税の支払い、家賃や携帯電話料金など、事業とプライベートを兼用で使用している場合のプライベート使用分などが該当します。

■家事関連費とは?

事業とプライベートを兼用で使用している費用のことを「家事関連費」といいます。これには、自宅兼店舗の家賃や水道光熱費、携帯電話料金などが含まれます。家事関連費は、必要経費と家事費(生活費)に分けられます。必要経費は事業のための支出(例:仕入れや給料、販売管理費)であり、家事費は生活のための支出(例:衣食住、娯楽、教養などの生活費)です。
家事関連費を必要経費として計上するためには、事業に使用した金額を算出する必要があります。そのことを「家事按分」といいます。家事按分は、明確な計算式があるわけではありません。しかし、使用面積や時間、日数などを基準として、合理的な説明が出来ることが重要です。

具体的な家事関連費の例としては以下のようなものがあります1:
・建物費用(自宅兼店舗、事務所)
家賃、更新料、減価償却費(取得価額)、借入金利息(住宅ローン)、固定資産税、火災保険料、修理代など
・水道光熱費(自宅兼店舗、事務所)
電気代、ガス代、水道代
通信費(家庭事業兼用)
電話代、インターネット代
・自動車費用(家庭事業兼用)
駐車場代、減価償却費(取得価額)、割賦利息(割賦払い)、自動車税、自動車保険料、車検代、修理代、ガソリン代など

プライベートの生活費を事業用に立て替えた場合「事業主借」

 "事業主借”とは、プライベートの生活費から事業経費を立て替えた場合や、資金を移した場合、事業以外の所得が事業用口座に振り込まれた場合に使用します。例えば、生活費から事業用口座に振り込んだ場合や、事業用口座に利息が入金された場合、固定資産等の売却額の入金等がこれに該当します。

まとめ

 勘定科目を適切に使用することで、事業の収支を正確に把握し、適切な税金を納めることが可能になります。会計ソフトなどを利用すると、これらの作業を効率的に行うことができます。

・勘定科目の設定は自由だが、自分の事業に合ったものを設定しましょう。
・1回決めた勘定科目は、継続的に使用しましょう。
・勘定科目は一般的に使用されてるものを設定しましょう。

今後も、皆さんのお役に立つ情報を発信していきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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