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【発達障害】 一人の時間がないと死んじゃうタイプの人間がグループホームに入居したら地獄だった


我輩は発達障害の女である。
20代半ばのとき、半年間だけグループホームに入居していたことがある。
一人の時間がないと死んじゃうタイプの私にとって、グループホームでの生活は地獄だった。


※ 当投稿は他の入居者さんのプライバシー保護のため、フェイク多めに入れています。



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そもそもグループホームとは

障害者が支援を受けながら、少人数で共同生活を送る住まいであり、法律で定められている福祉サービスの一つである。
グループホームには、入居者の他に家事や介助を担うスタッフがいる。
グループホームを運営する会社が住居を所有しているところもあれば、一戸建てやマンションを借りながら運営している会社もあり、グループホームによって様々である。


私個人としてはグループホームに入居する必要性を感じていなかった。
高校卒業して地元を離れてからずっと一人暮らしをしており、死なない程度にはどうにか生活を維持できていたからだ。

周囲に「一人暮らしている」と言うと、だいたい驚かれたり心配されたりしていたが(笑)
食生活は悲惨で、惣菜を買うのも調理をするのも面倒だから、ゼリーやジュースを夕飯代わりにしていたが(笑)
そんなんだから栄養状態が悪くて口内炎がよくできていたが(笑)
洗濯物を溜め込んで「やばい!明日着る服がない!」なんてこともしょっちゅうだったが(笑)
各種料金支払いもしょっちゅう停滞していたが(笑)

側から見ればめちゃくちゃかもしれないが、自分ではどうにか自活できているつもりだった。



そんな私がもろもろの大人の事情により(笑)半年間グループホームに入居することになった!!!



入居したのは住宅街にある一戸建てのグループホーム。
一見普通のファミリー向けの家で、側から見るとグループホームとは分からない。
定員は6名で、入居者もスタッフも女性のみというところだった。

リビング・浴室・トイレ・冷蔵庫・Wi-Fi等は共有だったが、個人の個室はあった。就寝するのは各々の個室。

シェアハウスのような場所をイメージしていただきたい。

我輩の個室


入居初日、なぞに自撮りした





そのグループホームはまだオープンしたばかりで入居者は揃っておらず、入居者は私を含めて3名しかいなかった。


自分以外の入居者は、結菜さんと千春さん。


結菜さんは高校卒業したばかりの19歳の女性。
日中は障害者雇用で飲食店のパートをしているという。
結菜さんはコミュ力が高くおしゃれな女の子で、正直どこになんの障害があるのか私には分からなかった。
結菜さんは、イマドキの若者らしくバーコード決済を使いこなしていたし、TikTokやInstagramといったソーシャルネットワークサービスも使いこなしていた。
洗濯や自室の掃除も自発的にできていた。
会話もふつうにできた。
例えば、一緒にバラエティ番組を見ているとき。私は芸人さんのテンポの早い会話や高度な冗談を理解できないことが多くて、スタジオがドッと笑いに包まれていても「何が面白かったんだろう?」とポカンとしていることが多いが、結菜さんはトークの流れを理解できているようで笑っていた。ときにポカンとしている私に、何が可笑しかったのかを解説してくれた。

はて、結菜さんは一体何の障害なのだろう。
ごく軽度の知的障害もしくは発達障害か。
あるいは投薬等で安定した状態を維持できている精神障害か。
もしくは療育ガチ勢で健常者らしい振舞いができるように相当の訓練を重ねてきたのか。
結菜さんの障害が何なのか、私は最後まで分からなかった。

結菜さんは児童養護施設で育ったらしい。
「児童養護施設は高校卒業すると出ないといけないの。いきなり一人暮らしするのは不安だって施設の職員に相談したら、いろいろ手続きしてくれて、ここのグループホームに入ることになった」と話していた。


千春さんは30代半ばの女性。
日中は作業所に通所しているという。
千春さんは呂律がやや回っていない話し方をしており、また30代半ばという年齢にしては動作が緩慢だった。過去に精神科病院で働いていたことがあった私は、千春さんはおそらく精神障害だろうと推測した。
精神疾患による認知機能低下のためか、それとも知的障害も併発しているのか、千春さんは入浴や歯磨き、服薬を自発的にできないことがあり、スタッフの声かけを必要としていた。
また慣用句やちょっとした言い回しが伝わらないことも多く、千春さんに話しかけるときは噛み砕いた表現をする必要があった。


スタッフの大半はアルバイトで、主婦が多かった。
スタッフの大半は素人のようで、福祉とか障害とかあまり分かっていないようだった。発達障害と知的障害の違いを分かっていない人もいた。

福祉業界の人によると、グループホームはスタッフの専門知識が高いところとそうでないところの落差が激しいらしい。

私の友人で、専門学校できっちり福祉を学んで、精神保健福祉士の国家資格を持ってグループホームで働いていた人もいるので、専門性を持ったスタッフがいるグループホームもあるのだろう。


スタッフの仕事は、調理、共有部の掃除、戸締りなどの家事がメインだった。
入居者が少なく、支援を要する人も千春さんしかいないので、かなりヒマそうだった。
やることがないときは、入居者と世間話をしたり、テレビやスマホを見たりして過ごしていた。
文庫本を持ち込んで読書にふけっている人や、手芸道具を持ち込んでなにやらハンドメイドしている人もいた。
小顔ローラーを持ち込んで永遠にコロコロしている人もいた(笑)
私は心の中で「賃金が発生している時間に趣味やれるとか最高やん。ええなあ」と思っていた(笑)




グループホームに入居していた当時の私のスケジュールがこちら。


5:00 起床 朝食とか洗顔とかする

5:45 出発

6:30 職場に到着(当時は障害者雇用で工場勤務していた)。着替えとか仕事の準備とかする。(食品工場だったので、作業場に入るためには厳重な清潔操作をこなさねばならず、これがけっこう時間かかっていた)

7:00 始業

16:00 終業 片付けとか着替えとかする、会社付近の喫煙所でタバコ休憩する

16:30 会社を出る

17:15 帰宅 夕食、シャワー、洗濯などを済ませて自由時間

20:30 就寝



担当業務は高温多湿な環境下での肉体労働。休憩もまともに取れず、休日出勤も求められる職場で、私は毎日疲弊していた。



グループホームに入居して数日で、私は「ここの生活は合わない、無理だ。一刻も早く出たい」と思うようになっていた。

理由は複数あるが、いちばん嫌だったことが「一人の時間がない!!!」ということ。

世の中には、ストレスが溜まったとき、誰かと喋って発散するタイプと、一人で過ごすことで充電するタイプがいるが、私は圧倒的に後者である。
職場の休憩時間もなるべく一人静かに昼寝とかして過ごしたいタイプ。
人が嫌いとかじゃない。むしろ人が好きで、人と仲良くしたいからこそ一人充電時間をきちんと取りたいという考えである。

仕事で疲れてクタクタになって帰宅しても、一人になれないのが辛かった。

自室にこもっても、会話の声とかテレビの音とか、人が近くにいる気配が常にあったので気が休まらなかった。

夕飯のときにスタッフが雑談を振ってくるのが、非常にだるかった。
仕事で体力気力を使い果たしていて、他人と雑談するHPなんて残っていない。
私はなるべく会話が広がらないように受け答えしていたが、それでも話しかけてくるスタッフがいて困惑した。

スタッフの中には「何か話しかけなきゃ」と思っている人もいるようだった。

夕食時の食卓でスタッフと結菜さんと千春さんが団らんしていて、私だけ輪に入っていないとハブいているみたいになってしまうから、そうならないように気を遣っているようだった。

困り果てた私はグループホームの運営会社に連絡した。
「仕事で疲れているので家ではなるべく静かに過ごしたい。団らんの輪に入れてなくてもこちらは気にしていない」と伝えた。

その結果、雑談を振られることは減ったが、以降ホームの腫れ物になってしまった(笑)



スタッフからの「見られている感」もしんどかった。
スタッフとしては入居者の様子に目を配るのは仕事の内だと思うが、私にはその視線が落ち着かなかった。



また一部のスタッフの中には、入居者に子供のように接する人がいて、複雑な気持ちになった。初対面のスタッフに下の名前でちゃんづけで呼ばれ、タメ語で話されたときにはたまげた。
「こっちは20代半ばの良い歳した大人なんですけど…」と言いたかったが、面倒なので言わなかった。



外出するときは外出届が必要で、行き先はどこどこで何時頃に帰宅しますと書かなければならないのも、プライバシーがない感じがして嫌だった。


また私は少々潔癖なところがあって、些細な不潔が気になった。スタッフの調理前の手洗いが雑だったり、調理中に髪の毛を触っているのを見たときは発狂しそうだった。



私にとってスタッフの存在はかなりストレスだったが、唯一さほどストレスにならなかったスタッフが一人いる。
美魔女の主婦のアルバイトさんだ。
美魔女さんは入居者に対して無関心だった。入居者がリラックスして過ごせるようにあえて無関心を装っているとかじゃなくて、ほんとうに関心がないようだった。やる気もなさそうだった。
コミュ力の高い結菜さんが話しかけても、返答は「へえ」とは「ふーん」とか(笑)
彼女は暇ができると小顔ローラーを永遠にコロコロしていた(笑)


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グループホームの日常の書き出しおしまい。
一人の時間がないと死んじゃうタイプの人間にとってはかなり厳しい生活であった。
その後グループホームを退去して、今は一人暮らしに戻っている。食生活も部屋もめちゃくちゃだけど、今のほうが圧倒的に心穏やかに暮らせている。