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佐渡裕×角野隼斗×新日本フィルのチャイコフスキー ツアー2024@長野

角野隼斗のチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番!
どんなに待ち望んでいた事か!


2021年、ショパンコンクールの予備予選と1次予選の合間となる8月、読響3大協奏曲と称する毎年ある公演に角野さんは呼ばれて演奏しています。ショパン漬けのコロナ禍の中、初めて弾くチャイコンに悪戦苦闘し、3日前に「こんなんで大丈夫なのか?」と金子先生にダメ出しされ、亀井聖矢さん(当時はチャイコン弾きとしては先輩)を駆り出して2台ピアノ版で練習。その模様をSNSで配信し反田恭平さんまで乱入するという、今では考えられないようなドタバタ劇。ここまで書いておいて何ですがその公演の本番を私は聴きに行けてません。チケットは取ったのだけど、夏休み期間の休日(自分が仕事休みの日)で夏休みだからこそ仕事オフの日は家に居てやりたいという想いもあり、すでに取ってたコンサートと日が近かった事もあり、読響好きな母に行ってもらったのでした。チャイコンならすぐにまたチャンスはあるだろうと考えていた。甘かった…。無理にでも行かなかった自分を責める。というのも、ショパンコンクールに向けて自分らしさとは何か考えていた角野さん、この初チャイコン、無我夢中で演奏した本番の演奏についてオケの方々に「角野くんらしかった」と感想もらったようで、「そうか!自分らしさって出すものではなく出てしまうものなんだ」と吹っ切れた様子。その後のショパコンでの演奏はYouTubeに上がっているとおり。あの時の角野さんのチャイコンの演奏、聴いておきたかったなぁ、と今でもたまに思います。当時の感想見ると「オケにかき消されて音が聴こえない」「パワー不足」など課題もあったようですけどね。

やっと訪れた角野さんのチャイコン!4月のすみだトリフォニーホールでの2公演が唯一首都圏での公演。我が家からも1番近い(錦糸町)クラシックコンサートホール!これは是非とも押さえねば、と新日本フィルの会員になってチケットを取りました。先行だけどちょっと出遅れた私の席は1階後方右側。でも取れただけよし!その後全国ツアーとして回る予定が次々と発表され、これはだいぶ進化するに違いない…と直感して後半の仕事と被らない日、日帰り可能なところ、で長野公演を抑えました!

4月に入ってからの1週間くらいでチャイコンの予習。自分の事になりますが(興味ないと思うので読み飛ばしてくださいませ)この曲との出会いは多分幼少期のCM、中村紘子さんの曲冒頭の和音の跳躍。かっこいいー!(それだけ)で、お恥ずかしながら1曲まるまるしっかり聴いたのは2021年5月のエリザベート王妃国際ピアノコンクール。務川さんが3位、阪田さんが4位になったあの無観客配信のコンクールを完全リアルタイムでないにせよ追っかけてて(国際ピアノコンクールを追いかけるのが初体験)その時のVitaly Starikov(ロシア)さんのチャイコン特に3楽章の印象が強烈で(ずっこけそうでずっこけないグルーヴ)よく覚えています。その後PTNAの特級の配信でも度々この映え曲は登場し、奏者の個性が如実に現れるなーと感じていた。(2021年のPTNAの覇者、野村優里愛さん(当時15歳)のチャイコンはコンクールという特殊状況の中、奏者とオケが一体となって行く様が感動的だった。)
往年の名演というものを知らない私はApple Music Classical で目についたものを適当にチョイスし聴いてみるという雑な予習でスタートしました(笑)以下のPostのツリーにリンクと感想を載せています。

12とおり聴いたけど、自分的に刺さった演奏はヴァン・クライバーン、ホロヴィッツ、アルゲリッチでした。若い頃の活力みなぎるLive演奏が好きみたいワタクシ(笑)


聴けば聴くほどこの曲は角野さんに合うだろうなぁ、と期待が高まる。PTNA特級のラフ2で本格沼入りした私としては、ロシアもの!、哀愁漂うメロディアスな曲こそ角野さんの澄んだ音色が生きると思ってるので。チャイコフスキーの曲、亀井聖矢さんとの花のワルツ置いておきます(2020年6月、無観客配信での2台ピアノの演奏です)


さて迎えたすみだの公演。新日本フィルのすみだクラシックの扉の一環として金曜日、土曜日にともにマチネ(14:00開演)で行われます。私は2日目土曜日の公演へ。上記の亀井さんとの2台ピアノの配信ですっかりハマってしまった大学の友人と参加。
角野さんのチャイコン!てか人生初の生で聴くチャイコフスキーピアノ協奏曲第1番!!なんかね、自分、勝手に緊張し過ぎてよくわからないままあっという間終わってしまったのですよ。その時の感想はこちら。ピアノの音、ちゃんと1階後方まで飛んできた、疾走感で駆け抜けた、ホッとした、というのが正直なところ。周りの雑音が気になって集中できなかった自分側の問題もありますが、全身震えるような音楽体験にはならなかった。まだまだこんなものじゃないだろう…とご本人のPostに生意気にもリプライしてしまいすみませんでした。翌日、岐阜の可児公演後のご本人のPost

(余談:私がすみだに伺った4/13(土)は10:00から題名のない音楽会でラプソディ・イン・ブルーの弾き振りを披露、21:00からのサタデーウオッチ9でテーマ音楽「Polaris」の作曲・演奏者として角野さんの映像も流れかてぃん祭りでしたwww)

4/24 ロンドン・ロイヤルアルバートホールでClassic FM コンサート(ラプソディ・イン・ブルー)、5/3 カナダバンクーバーでガーシュウィンピアノ協奏曲ヘ調、5/9カナダトロントでソロリサイタル、5/12広島での広響×アルゲリッチ(プロコ3番)公演鑑賞被爆ピアノ演奏を経て、5/18台湾台北でショパンコンチェルト1番。合間にラジオ収録、ラボ配信…超人的なスケジュール、移動距離もなんのその、5/21から新日本フィルの全国ツアー2024がスタート。(前日5/20リハーサルでの一幕)前半7連日公演、クローズド1公演含む後半5連日公演。チャイコフスキーのピアノ協奏曲ですよ?手を壊さないか実は心配でしたワタクシ。(結局、杞憂でしたが…逞しくなりましたね角野さん。2024年のKEYSツアーが毎日筋トレの様なもんでしたものね)しかも、毎回曲目変えるソリストアンコール…これだから(笑)。
食べたもの、見えた風景、買ったTシャツ貰ったTシャツ、ホールステージからの景色、カーテンコールの様子…ご本人の発信で全国行脚擬似体験。日に日にオケメンバーさんたちのPostも目につくようになり楽しい楽しい。聴きに行かれた方の報告や感想がリアルタイムで届くのもこの時代ならではですね。ありがたい事です。


さて、すみだのチャイコンから2ヶ月弱。楽曲の予習として名曲探偵アマデウスと福間洸太郎さんによる「チャイコフスキーピアノ協奏曲第1番」の動画をYouTubeで見たりしていた5/31。栃木、宇都宮公演で「チャイコンで即興!!!」のPostが不意に回ってきた。は?!え?この曲で即興なんてできるの???あーどういう事だ?聴きたかったーと頭がプチパニックになっていたら、22時からラボ配信のお知らせ。ツアー中なのにー?!しかも自宅からでびっくり。明日の長野に移動してから配信と思ってたよ。いやはやフットワークの軽さ、隼さ(笑)。お疲れかと思ってたけれどテンション高めにチャイコンの楽曲解説してくださり、即興についてもお話してくださった。「ほら、楽譜のここに書いてあるんですよ、ad lib.(アドリブ)って!!」と証拠を見せようと必死。見えんて…笑。でもほんとびっくり。作曲家さんの意図なのか…「楽譜どおりのアドリブ」www。ツアー中のあれこれも話してくれて、行けてない人を置いてけぼりにしない。こういうところです、この方の凄いところは。とても面白い配信でしたので、リンク置いておきます。メンバー限定動画ですが、月額590円で過去の限定動画も見放題ですので、入会おすすめします!!!

私が聴きに行く長野公演前日のかてぃんラボでした。タイムリー過ぎました。ありがとうCateeeeeeeen!!!


前おきが長くなりすぎ本当にすみません(汗)
ここから長野公演の感想です。コンサート当日、あるいは翌日に書いています。

大和証券グループPresents
佐渡裕指揮、新日本フィルハーモニー交響楽団
with 角野隼斗(ピアノ)

2024.6.1(土) 15:00開演
ホクト文化ホール(長野県県民文化会館)大ホール
主催:テレビ信州 共催:長野県文化振興事業団

当日、ホールまで長野駅より歩く
新緑が美しい
ホクトホール外観
入場口

長野公演、FC先行のチケット抽選があったようだが失認していた。そのため主催のテレビ信州のWebチケット取りにいった訳だが、販売開始時刻に待機していたのにうまくサイトに入れずリロードしたら350人待ち…ひぃぃぃ(泣)15分くらいで席指定せずで取れたけど…(結局25分くらいでテレビ信州分は完売してしまった。ヤバいよほんと汗)
直後に支払い、発券して、え…2階後方、左端かぁ…(テン下げー遠征するのに残念〜)まぁ取れただけよしとしなければ…こういう日もあるよね…と悔しさ半分のチケット持って最上階のお席へ

座ってビックリ!段差が高くて視界が前の人に全く被らず見やすい!オケ全体が見えるー!!左端だけどピアノのお手元みえるじゃーん!!!一気にテン上げ!ホール座席は行ってみないとわからないものですね。ありがとうホクトホール(涙)

肉眼での見え方
こんな感じでした!!!

15時回ってまずマエストロ佐渡さんが1人で登場。
以下のような感じで(走り書きメモ起こしです)前説してくださいました。

大和証券グループPresentsで新日本フィルのツアーで全国回っています。九州から始まって明日、富山で千秋楽。2週間あまりで11公演(クローズド入れれば12公演)なかなかハードですが。

ここホクトホールは昨年、一昨年も新日本フィルできています。一昨年は反田くんとだったかな。信州テレビさんが差し入れをすごくしてくださるので…ありがとうございます
このツアー11公演全て完売で、本日も満席。角野くんお目当てのお客さんがたくさん…(拍手)ありがとうございます。いいんですよ〜(笑)

ピアノの腕前は言うに及ばず、東大出でしょ?かっこいいし顎小さい…
以前、ガーシュウィンのラプソディ・イン・ブルーで共演させてもらって、いわゆるクラシックの王道、チャイコフスキーのピアノ協奏曲で再共演です。
自由にピアノを操れる。自分の身体の一部になってる。東大っていうと我々と違う世界っていうか(少し距離感じるっていうニュアンスで)でも人柄も素晴らしいんです。パッションあるし遊び心もある。
長いツアーですが毎日熱いものを感じます。(角野くんの)透き通った音が、チャイコフスキーの音楽ですからね〜雄大なメロディーがオケと鳴って。ぜひ楽しんでください
新日本フィルの音楽監督になって2年目です。長い目でオケと取り組む。実のあるものにしていきたいです
さて後半のチャイコフスキーの交響曲第5番。冒頭に愛のテーマ。苦悩に満ちた1楽章。2楽章は夢…でも1楽章の苦悩がときどき顔を出します。3楽章はワルツ。でもここでも最後の方に苦悩が現れます。4楽章は(今までの苦悩が吹っ切れて)朗々とうたいフィナーレを迎えます。
苦悩から歓喜。ベートーベンを思わせますね。この5番というのもね、ベートーベンが「運命」を発表した後の作曲家たちはベートーベンの亡霊にとらわれるというか…マーラーの5番なんてモロにフレーズ出てきますからね〜笑
という訳で、ロシアを代表する音楽です。お楽しみください

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番

第1楽章
ホルンで始まる有名すぎる旋律。直後に2小節ピアノソロ。和音の1音目で「キターーー」って思っていきなり鳥肌が立ってしまった。2階の後方、端の席だったのですが意外にも音はしっかり聴こえ、お手元、背中、足捌き、肉眼でもよく見えました。重量感のある和音の跳躍、オケに混じってもよく響いてた。序盤の見せ場のピアノソロもクリアな音色で装飾は軽やかに、間もしっかり取って座長感、半端ないじゃないですかー(泣く)2回目のオクターブ上の弦での旋律。オケガンガン鳴らしても私の席にはピアノの伴奏はっきりと聴こえましたよ!
序奏終わりの金管、めっちゃ揃ってて角野さんへの橋渡し。意気込みを感じた。
第1主題(ウクライナ民謡)リズミック〜第2主題(ザ・チャイコなロシア風)エモいー(語彙力…)第3主題(長調。福間洸太郎さんの動画では第2主題後半って言ってた)と第2主題を行ったり来たりするところ、フルートの音色が哀愁漂っててこの場面にピッタリで元フルート奏者の佐渡さんがタクトを振り角野さんが風を吹かせる場面、ちょっとフルートかじった(小、中で)者としてこの絵はもう胸熱でうるうるしちゃった。そして風がなんか長めだったんよ…アドリブ(8-9分あたりのとラボで解説)自然すぎて(笑)
前半の力強いピアノソロの直前、ピアノにオケが合いの手、バシバシ決まってプロだから当たり前なのかもだけどかっこよかったです。角野さんの低音にも痺れました。
緊張からの緩和。第3主題のフルートとホルンの掛け合い素敵でした。そこに角野さんがピアノの光の粒を振りかける…最高
弦と管の掛け合いから盛り上がってピアノがオクターブで聴かせるところ(12分くらい)の途中、高音でひと息つくところも何か即興入った気が…気のせいかもしれませんが(笑)
後半、オーボエから始まる第2主題エモパートもオケの旋律とピアノの装飾が一体となって盛り上がっていって素晴らしかったです。ピアノが低音で鐘を鳴らしてカデンツァスタート。トリルしながら高音で第3主題、対旋律も響かせながら…角野さん…気品あふれる演奏に感動。からの低音ズドドドドでまた鳥肌。そしてアドリブ入りました(歓喜)
佐渡裕マエストロが誘導してオケが再びイン。そこからは全体がひとつになってクライマックス!!!ブラボー!!!(と声には出せなかったが心の中で叫ぶ)
皆さん息を呑んで聴いていたと思われ大きなため息が会場全体から聴こえました。

第2楽章
美しいメロディーにもう夢心地。まったりとしたシエスタを過ごしているような何とも幸せな時間。チェロ、オーボエのメロディーに重なるピアノがよかった。
私が1番驚いたのは中間部。弾こうと思えばいくらでも速く弾けてしまうとラボで仰ってましたが、今日は速い方なんじゃないかなぁ。人間業と思えぬ…聴いているのはピアノなのか?ハープのように流れて刺すようにアクセント入れる。こ、これは世界屈指の演奏に立ち会っているのでは…と勝手に興奮してました。そしてここでも聴いた事ない即興入ったような…いや気のせいかもしれませんが。いろいろ驚いているうちにあっという間に終わっちゃった…2楽章。また聴きたいな。

第3楽章
ウクライナのリズミックな踊り。繰り返しの部分はペダル少なめで変化つける。テンポは速めでどんどんギアが上がっていく感じで盛り上がりましたー!あらあらそんなにテンポアップしちゃって木管、バイオリン大変よ〜(そこはプロなので合わせてきました)。中間部の主題、弦と作るグルーヴが最高だった!その後の高音部のキラキラ隼いーでも気持ちいいーーー
ファイナルに向けてどんどん音程が上がり音量も最高潮に達してティンパニがドーン!!
行けー角野ーーー な期待に十分過ぎるほど応えて橋渡しをし、ラスト、オケと一緒にチャイコフスキーらしいメロディーを奏でる!金管の迫力もあって圧倒的!マエストロとのアイコンタクトも見ました!
推進力を上げながらピアノは超絶技巧もなんのそのサラーっと(そのように感じました)駆け抜けてフィニッシュ!!!フライング拍手!!!!!いやこの曲はそうなるよね納得の同調ー!!!

とにかくすっごい盛り上がった。高揚した。感動した。オケとのかけ合い&一体感が素晴らしかった。ピアノ協奏曲っていうよりピアノ入りの交響曲って感じだ、とどなたかSNSで発信してましたがまさしくそんな感じでした。笑顔の角野さんとマエストロ。手を繋いで掲げてからの挨拶。鳴り止まぬ大きな拍手に何度もカーテンコール。
最後に角野さん1人で現れて指1本立てて着席。ソリストアンコール

何が来る?あれ?何の曲?知らない曲かな〜?って思ってたら、A列車やってきた(驚)。クラシックのピアノ協奏曲の王道にジャズの王道かぶせてきたー。(挾間美帆さんのHNK FMのラジオ、ジャズ・ヴォヤージュの5/12の回がデューク・エリントン特集で面白かったのですー!らくらじ保存してある)貴方いったい…もう…かてぃん……私的には菊池亮太さんのYouTubeライブのラストでお馴染みの曲なので嬉しい。チャイコン混ざるかな?いろいろ混ぜ混ぜするかな?と思って聴いていたらそんな事はなく、王道を王道たる演奏でまとめました。1巡目で導入した後2巡目は元気に3巡目は音量小さめにチャーミングに最後はちょっと哀愁漂わせつつしっとりと…
かてぃんさんまた予測超えてやってくれました。華やかな大ホールのチャイコンからの〜しっとりとジャズバー(萌)はぁぁぁ……。
拍手喝采!オケの管楽器の方々がうんうんうなづいており、こりゃ毎回オケ団員さんも楽しいだろうなぁ。大曲のコンチェルト弾いて身体も頭も疲れてるところに毎回アンコール曲変えるって…かてぃんさん本人も自分で自分の首を絞めてる言ってたけど、ほんと並大抵の努力では成り立たないであろう事!天晴れです!!!

20分の休憩の後、後半!

壁一面ガラス張り
日差しがたっぷり降り注ぐ素敵なホールでした

チャイコフスキー:交響曲第5番

4/11のオケリハーサル(会員特典で見に行ってました)で冒頭を念入りに確認してた。(1時間ほぼ1楽章の冒頭で終わった)その冒頭、クラリネットの旋律中心にすごい集中力で一気に世界に引き込まれた。テンポアップしてフルートソロ、エモいです〜。長調の甘い旋律の所はゆっくり目のテンポでたっぷりと。激しく全体が鳴る場面はキレよくかっこよかったー。自分の席からはコントラバスが割と正面でそこから出る重低音が視覚情報もあってしっかり聴こえて楽しかった。スマホ音源だとあまり分からないLiveならではの醍醐味!金管の音も直で響いてくる場所で迫力あったー!
緊張の第1楽章からホルンの美しいメロディーで始まる第2楽章。本当にメロディーメーカーだよね、チャイコフスキー。うっとりと聴き入りました。ホルンはもちろんだけど受け答えするクラリネット、ファゴットが素晴らしかった。弦の旋律にオーボエ、フルート入り色彩豊かに。アンサンブルの組み立ても天才的!チャイ様。3楽章はワルツ。割と優雅な演奏でこれまた気持ちよーく気持ちよーく…(実はすみだ4/13公演ではランチバイキング後にコンサートで寝てしまったワタクシ)今日の新日本フィルさんのテンションなら絶対寝ない!と感じていたのにやはりウトウトしてしまう…未熟者です。ハイ(笑)。2022年10月読響コバケン(いわき)の5番でもうとうとしてしまったのでこれは曲のせいかもしれぬ!2、3楽章繰り返し多くて長すぎやしませんか?!(本音を漏らしてみる)
長調になって戻ってきた主題、第4楽章。マエストロが前説で言ってた通り、苦悩からの歓喜、全人類が共感するやつ!私はNHKBSでやっていたドラマ「ベトナムのひびき」を見ていたので(ベトナム戦争後のハノイの楽団に日本人指揮者が招聘されこのチャイ5を通して交流、ツアーを成功させるというストーリー)感動も倍増。すみだの時には佐渡さんに被って見えなかった木管、金管が今日は見下ろす感じだけどよく見えて、その中でもフルート、クラリネット、トランペットの奏者さんに惹かれて双眼鏡でガッツリ見てしまいました。熱量マックスで最終局面はちょっとウルっとしてしまうほど。こちらの交響曲も感動的で終演後大きな拍手に包まれブラボーも飛び交いました。

各パートに対して惜しみない拍手。いやぁ良かったねぇ。すみだの時とまとまりが全然違ってた。ツアーやるってこういう事なんですね!自分なんかが言うのも何ですが、ひとまわりもふたまわりも成長して、聴衆に熱い音楽を届けてくださいました。

オケのアンコールはチャイコの弦楽セレナーデ第2楽章のワルツを弦楽奏でしっとりと。終わっちゃう…終わってほしくない〜、と思いながら聴いていました。

帰りの新幹線からPost。本当に遠征して良かった。



この記事を書いている6/6ですが、5/23放送の粗品と絶品クラシック(旧:読響プレミア)の録画を見ていて(小曽根真さんのラヴェルのピアノ協奏曲ト調の回)ナビゲーターの粗品さんとクラシック音楽と即興について語ってらっしゃいました。面白かったので抜粋、意訳して載せますね

(ナレーション)
ジャズピアニスト小曽根真は1961年生まれ兵庫県神戸市出身。数々の世界的アーティストと共演を重ねジャズの最前線で活躍し続けている。近年ではクラシックの分野でも国の内外のオーケストラと共演を重ねているが、クラシックのステージに上がる時はいつも特別な緊張感に包まれるという

僕はもともとクラシックの音楽あまり好きじゃなかった。まず楽譜を読むのがとても苦手。ジャズのミュージシャンに割と多い。けど、ひょんな事からモーツァルトを弾かなくてはいけなくなって。で弾いてみたところ、オケの皆さんも尾高忠明マエストロも「小曽根くんのモーツァルトは面白いよ」といろんなところに売ってくださりいろんなオケと演奏する機会を得た。「素晴らしい」というより「面白い」。何でそういうふうに弾けるの?何でそうなるの?え??っていうのが、僕が弾くと連続みたいで、譜面通り弾いてもコンダクターがニヤッと笑ったりする。何で笑ってるのかわからない僕には(笑)

粗品:今回演奏するラヴェルのト長調の醍醐味は?

ラヴェルの音楽は僕らが普段弾いてるジャズにすごく影響を与えている。ハーモニーとかメロディの作り方とかリズムとか。どちらかというと自分のホームに近い気持ちで僕は弾ける。ただ書かれている譜面はパーフェクト。モーツァルトの場合は自分自身もインプロバイズ=即興していた人なので遊べる余地が譜面にあるんですよ。ところがラヴェルの音楽なり今の現代音楽なりはひとつ音を変えようものならつじつまが合わなくなるほどカチっと書かれている。だからあんまり簡単に変えられない。ジャズのホールで僕がラヴェルを変えて弾くと「それはそうやったら簡単やろう」とラヴェルに言われそうな気がする。だから変えるならば「…」とラヴェルに考えさせる、「どこに行くのん君は?」と思わせるように僕自身も迷って弾かなければいけないんじゃないかと思う

粗品:簡単にアレンジしたり変わった弾き方をしたら見透かされる?

そう。ラヴェルの音楽は簡単に崩すことはできなかった。だから今まで3回弾いてるけどほとんど譜面どおり。今日は、ちょっと一歩前に行ってみようかなぁ。

粗品:おっ?ほんとですかぁ!!

賛否両論絶対出るだろな。でもそれが楽しいじゃないですか!なかなか怖いですけど、もう余生短いし、ハハハハッ

粗品:そんな事言っちゃって。やめてくださいよまだまだでしょ?ちょっとお客さんの反応楽しみですね!

2024.5.23放送 粗品と絶品クラシック

2024.3.12 サントリーホール
指揮:マリー・ジャコ ピアノ:小曽根真 読売日本交響楽団
ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調
の演奏

ちょいちょい小曽根節入るなぁと思ったら、1楽章にかなり長い即興入れたよ小曽根さん!目を瞑ったまま、メロディ、ハーモニーを紡いでゆく。自分とラヴェルと対峙するかのよう。賛否両論ったって、これ、もう、何も言えないよねぇ…2楽章のピアノソロもちょっとした装飾入ったりして素敵!ラヴェルも天から微笑みながら聴いているでしょう。3楽章は楽しい楽しい!小曽根さん時間空間支配能力、ハンパないよ。オーケストラ、聴取巻き込み能力ハンパないよぉ〜!

え?! アンコール A列車で行こう じゃん!!!
(ストレイホーン作曲とテロップ)
何?角野さんこれ見て影響されたとか?笑笑笑
コントラバスとのセッション。音楽は楽しいを体現!聴いてるオケ団員もみな笑顔。曲途中に慣れた聴衆「yhaaa!!!!!」って言って拍手入れてる!あーこういう風に自由に反応してあげればよかったかな角野さんの時も。いや、突然すぎて、聴き入っちゃって、無理でしたよね?笑。



脱線が過ぎました。すみません…
長野公演の次の日は、千秋楽富山公演。どんな気持ちで演奏されるのかしら?と心を富山に飛ばしていたら開演直前にご本人からのPost!
登頂、おめでとう!!!かてぃんさん!!!!!

そして1時間後にソリストアンコール情報でいつにも増してざわつく界隈。何と何と「かすみ草」バイオリン、チェロ、ピアノのトリオVer.!!!!!

行かれたフォロワーさん情報によると、どうやら10分間くらいで合わせて本番だったらしいですよ?プロってさすがですね!
「僕の曲なんですけど、一緒に弾いてもらえませんか?
楽譜あるんで(←最強ワード)」って言える(筆者想像)角野隼斗、かっこいいがすぎるでしょう!!

角野隼斗ピアノ作品集にトリオの楽譜(9ページ)あります!
控えめだけど無垢な優しさと愛に溢れている
そんなイメージから「かすみ草」と名づけました
初めて弦楽器アレンジも手掛けた作品です
とご本人の解説

コンサートマスター崔文洙さん

チェリスト佐山裕樹さん

新日本フィルさま

そしてマエストロ佐渡裕さんのコメント動画

「角野くんが本当に素晴らしいソロ弾いてくれたし、オーケストラが本当に毎回全力で音楽づくりをしてくれた。新日フィルのいいところはパワーがあって、満員のお客さんと音楽作ってますってところ」
マエストロ、本当ーーーにお疲れさまでした!!!

ツアーのパンフレットに「小澤先生との思い出」として佐渡裕さんの談話記事が載っています(ニューズウィーク日本版3月5日号の小澤征爾さん追悼特集号を元に加筆、再編成)。1972年に小澤征爾さんが設立した新日本フィルハーモニー交響楽団、第5代音楽監督に就任した佐渡裕さん。熱いですね!

パンフレットよりツアースケジュール

最後にソリストアンコール一覧入れとこ!

4/12 東京すみだ ガーシュウィン I Got Rhythm
4/13 東京すみだ バッハ 羊はやはらかに草を食み
4/14 岐阜可児市 ガーシュウィン I Got Rhythm

5/21 福岡    チャイコフスキー 金平糖の踊り
5/22 熊本    角野隼斗 大猫のワルツ
5/23 長崎佐世保   カプースチン トッカティーナ
5/24 山口周南    ガーシュウィン スワニー
5/25 岡山倉敷    カプースチン フィナーレ
5/26 大阪堺     ショパン 華麗なる大円舞曲
5/27 愛知    マンシーニ ムーンリバー
5/29 東京溜池   ショパン 英雄ポロネーズ
5/30 山形     ガーシュウィン I Got Rhythm
5/31 栃木宇都宮   カプースチン 間奏曲
6/1 長野    デューク・エリントン A列車で行こう
6/2 富山  角野隼斗 かすみ草(ピアノトリオVer.)


最後までお読みくださりありがとうございました。ここまで来た方本当にお疲れさまでした。笑


新日本フィルさんと角野さん、2025年3月にも共演があります!今からとてもとても楽しみ!一緒にツアーを回ったオーケストラの皆さんと、久石譲さんと、どんな音楽を作り上げるでしょうか。ワクワク、ドキドキは続く…