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AIの力で特別支援学級に新たな可能性を
はじめに
令和4年度~令和5年度の2年間、自閉・情緒特別支援学級を担任させてもらえる機会に恵まれました。令和4年(2022年)にChatGPTが発表されてから、教育現場での生成AI活用の可能性に興味をもち、特別支援学級の子どもたちの学びをより充実させるために、生成AIを積極的に取り入れてきました。
この記事では、特に令和5年度に実践した生成AIを活用した取り組みを5つ紹介していきます。
特別支援学級で生成AIを使う意味
特別支援学級で生成AIを使うことの意義は、さまざまな困難を取り除いたり・減らしたり、子どもたちの可能性を広げたりできることにあります。自閉症や情緒障害を持つ子どもたちは、通常の学級では学びにくい部分が多々あります。しかし、生成AIを活用することで、その苦手を補い、得意分野をさらに伸ばす、子どもたちの可能性を広げる支援ができるようになります。
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また、特別支援学級に在籍する児童が増える中で、教師一人ひとりの負担も増加しています。ここで、生成AIは教師の「分身」として学級経営をサポートする役割を果たします。例えば、教材作成のサポートや担任の代わりに授業中に音読を採点してくれるといったことが可能になります。
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*なお、今回の実践報告において、PC操作は児童と相談しながら担任である私がすべて操作をしています。
見出し案を作ってもらう
「0」から考えるのが苦手だったり、見通しがもてないと動き出しにくかったりする子どもにとって、生成AIが作ってくれる「たたき台」は、活動を進める上で大きな安心材料になります。
例えば、自然学校に行った活動報告のスライドを担任している子が作成していた際に、見出しをどうつけたらいいか困っていました。そこで、次のようなプロンプト(指示文)をMicrosoftの無料で利用できるCopilotに送って、見出し案を作ってもらいました。
スライドの内容を送るので、見出しを15文字以内で考えてください。5つ案を出してください。ちなみに、小学校5年生が4泊5日の自然学校に行った際のまとめスライドになります。
<以下、スライドの本文>
すると、Copilotからは、次のように自然学校1日目の見出し案が返ってきました。
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おもしろかったのが、スライドを作っていた子は、5つの案を使わずに、自分で見出しを作ったことです。まさに、「たたき台」として生成AIの意見を活用して、自分のスライドを完成させていました。
俳句から生成画像を作ってもらう
2つ目の実践は、画像生成AIの活用です。使ったのは1つ目の実践と同じくMicrosoftの生成AI:Copilotです。アイデア(俳句)はうかぶけど、整った字を書いたり、イラストを描いたりするのが苦手な子との実践になります。
字形に関しては、タイピングをマスターして、デジタルで作品を作ることで、クリアすることができます。
具体的には、次のようなプロンプトを送って、俳句に合わせた画像を生成してもらいました。
次の俳句をイメージしたイラスト画像を出力してください。
雪だるま 回して大きく 楽しいよ
今回、イラストに関しても、生成AIを活用することで、想いを形にする方法を手に入れて、子どもは、自信をもって制作物を交流学校に持って行っていました。
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インタビューの文字起こしから文章作成
「話す」ことはできるけど、「書く」のは苦手な子がいます。そういった子と担任がおしゃべり(インタビュー)している様子を録画し、文字起こしされた文章をCopilotに渡します。多少、文字起こしした文章に誤字・脱字があっても、生成AIは内容を理解して、こちらの指示した形式に合わせて内容をまとめてくれます。低学年と取り組んだので、「全文ひらがなで」、「分かち書きで」といった指示を出しましたが、見事に理解して出力してくれていました。
子どもは、出力されたインタビューのまとめ文を「たたき台」にして、どうしても伝えたい内容は加筆・修正してかんさつカードを完成させていました。
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Kahoot!の問題を爆速で作ってもらう
以前、記事にした生成AIを使った問題作りの方法やGPTs「Kahoot Create Copilot」をフル活用して、Kahoot!を大量に用意しました。
特別支援学級では、学年をまたいで、また子どもの学力や特性に合わせて学習を行います。その分、担任する子が増えると当然、教材研究や準備する量が増えます。Kahoot!のように楽しみながら学べるツールは、特別支援学級内でどんどん使いたいところですが、問題を用意するのが大変です。しかし、生成AIを活用することで大幅な時短を実現することができました。今現在(令和6年6月末現在)、小学校の1年生~6年生の国語・算数・社会科・外国語を中心に448個のKahoot!を作成できているのは、生成AIの力なしには考えられません。
音読の自動採点機能を活用しよう
最後は、生成AIではないかもしれませんが、MicrosoftTeams内で利用できるReadingProgress(音読自動採点機能)の紹介です。ちなみにTeams以外でも活用することができます。
特別支援学級で音読の自動採点機能を使う良さとして
①音読の成果を見える化できる
②時間差で指導できる
という2点があります。特に②は、特別支援学級でとても重要です。担任は、子どもが自分のペースで音読を行い、ビデオを通じて提出した後、都合の良い時に採点とフィードバックを行うことができます。これにより、個々のニーズに合わせた個別指導が可能になり、一人ひとりの進捗に応じた適切なサポートができます。また、担任は採点結果をもとに、子どもの読解力向上に必要な具体的な指導計画を立てることができ、効果的な指導が行えるようになります。Reading Progressは、自立した学習を促し、音読する能力を向上させるための強力なツールです。
おわりに
以上、特別支援学級で生成AIを活用した実践報告でした。生成AIを活用することで、教え方も学び方も働き方も大きく変わります!これからも生成AIを活用して教師人生を改革していきます!
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