物件探しは海辺のまち

 海から坂を上がって5分、少し高台にあるその家は赤瓦の屋根と漆喰で塗られた壁が眩しかった。その家は古い日本家屋ながら手入れが行き届いていて、庭の植木も控えめながら生き生きとしていて感じが良かった。不動産屋の話を聞く限り、仲の良い老夫婦が小ぢんまりと幸せに暮らしていたそうだ。先におばあさんの方が亡くなって後を追うようにおじいさんも亡くなる。
お子さんたちもこの家を受け継ぐことなく、不動産屋に渡してしまったそうだ。夏代子と史郎はこの家が気に入ったので買うことにした。中古の家なので大した値段ではなかった。大きい窓があること、キッチンが広くガスコンロであったこと、庭の植木が決めてだった。私たちも仲良く暮らせたらいいと笑った。

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