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見積りサイトって実際のところどうなの?【見積りサイト体験記】

こんにちは。行政書士の阪本です。
明けましておめでとうございます。行政書士としては4度目、貴族(独身)としては3度目の新年を迎えました。主な同期はコロ何とかです。
ちなみに元旦に入籍したので、結婚14年目の新年でもあります。()

さて、久々の投稿になりますが、今回は世に多く存在する見積りサイト(紹介サイト)についての記事になります。

見積りサイトとは、発注者の見積り依頼に対し、サイトに登録している複数の事業者が見積りを返すというモデルのプラットフォームです。簡単に表現すれば「ビジネス特化型マッチングアプリ」みたいなもんです。

、、、で、実際のところどうなの?

インターネットは気軽に発信することができるツールである反面、虚飾渦巻く世界(虚飾85%、私調べ)でもあるので、依頼検討者も登録検討者も、その実態は非常に気になるところではないかと思います。

そこで今回は、私自身が登録者として利用していた時の体験談を交えつつ、出来る限り中立公平な視点で思う丈を語っていきたいと思います。

利用歴

開業当初から見積サイトの存在自体は認知していたものの、SNS上の同業者間では否定的な意見が優勢だったこともあり、私自身もある種「キワモノ」的なツールとして、しばらく敬遠していました。これはマッチングアプリで交際相手を探すことに対して、一定層が嫌悪感を示すことに似ているのかもしれません。

ただ、開業1周年を目前にして不退転の決意で専業化した時期に、飲みの場に同席した同業者から話しを聞いて、「ちょっとやってみようかしら」と思ったのが利用のきっかけとなりました。
何せ自社サイトを運用して間もない頃で、実績も少なく、飛び込み営業や、バーに行って仕事をいただくという謎営業に依存していた時期なので、「少しでも営業の助けになれば」という思いから、某有名アプリに登録をすることにしました。

見積りサイトで仕事は取れるの?

登録を検討する事業者さんにとっては一番気になるところだと思います。これに関しては、割と明確に回答を出すことができます。

はっきり言って全然取れます。
ただし、安く見積もればの話しです。

当たり前です。そもそも相見積りがメインのアプリなので、料金を安く設定すれば仕事を受けることができるのは自然の流れでしょう。これは何も否定的な意見というわけではなく、単に事実をそのまま述べているだけです。自分も発注者となる場合に「少しでも安く」は毎回必ず思うことなので、これはこれで仕方ないことのように思います。

ただし、、、ただしですよ?

手数料は報酬の4割近く支払う必要があります!

見積りサイトの現実

現実を語る前に、少しシュミレーションをしてみることにしましょう。
通常10万円の報酬の業務を、8万円にして5件受注できたとします。現実的に開業間もない新人がフル稼働して請け負える量がこんなもんでしょう。(もっと少ないかも?)
この場合、40万円が月の売上になります。いや、単に売上について語るのであれば、この額が売上であることは間違いありません。
ただ、実際に手元に残る額は、そこから4割を減じた24万円です。
え?新人ならばこれでも十分?マジですか?経費とか差っ引いたらさらに収益は減りますよ?固定費もかかるじゃないですか?バイトするよりマシ?

いやいや、そもそも月5件なんて取れませんよ?

言っても行政書士は単発業務なので、月5件以上を見積りサイトのみで受注するのは困難なお話しです。経験上は月4件くらいが最高で、月によっては0件なんてことも普通にあります。

また、「毎回8万円で受注することができるの?」という問題もあります。
相見積りに惜敗した事業者が次に考えることは当然「次回はライバルより安く」です。これで次回はさらに安く見積もった事業者に仕事が回ります。「それならうちは、、、」この繰り返しで不当な値下げ競争は激化します。
事実、私が見積りサイトをよく利用していた頃に
5万円の報酬で取れていた案件が、現在では1万5000円以下になっています。
ただでさえ単発仕事が多く安定しない行政書士事務所の運営において、営業を外部に依存しきるのは甚だ危険の多い行為だと思います。

依頼者側に伝えたいこと

それでは視点を変えて依頼者側に立って考察を続けてみることにしましょう。私もそうであるように、事業者が業務を安く受けてくれるのであればこんなに助かることはありません。

でも本当に安いの?

考えてみてください。事業者は4割のマージンを支払っています。8万円の業務であれば手元には4万8000円しか残りません。そもそも10万円クラスの手間がかかる業務を半額以下にして、これをどのようにして回収するのでしょうか?

簡単です。業務を限定すれば良いんです。書類作成だけに特化して、書類収集や役所対応は依頼者に逆投げしてしまえばバランスは取れるのではないかと思います。

これを聞いてやっぱり不安に感じませんか?

見積りサイトから得ることができる情報量には限界があります。もし不安であれば、しっかりと事業者のホームページを確認して知識量や経験値を比較してみてください。

見積もりや業務範囲についても、規約に縛られた見積りサイトの登録事業者よりも、サイト外の一般事業者の方が確実に柔軟性を持たせることができます。一例として、先程の見積り8万円の限定サポートを、7万8000円のフルサポートに代えることだって出来てしまうかもしれませんよ?

将来的なビジョンを見据えて

何だか否定的なスタンスであるかのように記述しましたが、実は現在も見積りサイトには登録を残しています。広告宣伝にも力を入れているので、見積もり依頼自体はバンバン入ります。
要するに、今現在「どこ」に「どんな」需要があって、大体「どのくらい」の料金で妥結しているのかを分析するためのマーケティングツールとして活用している感じです。

率直に言ってそのスキームは素晴らしく、それだけにインターネット営業を柱に据えている私にとっては目の上のたんこぶになっています。また、SNS上でよく見かける大先生(?)らしき面々も、ちゃっかりヘビーユーザーだったりするのがあるあるのお話しです。(否定的スタンスではありません。)

ただ、将来を見据えると見積りサイトの台頭は大きな脅威であるように感じます。先述したように現実問題として価格破壊が起きていて、この傾向が続くのであればサービスの質を担保することが出来なくなってしまうことは明白です。長い目で見た場合に事業者・依頼者双方にデメリットが生ずることは間違いありません。

結局のところ、他者のブランドや威光に依存することなく、自分自身に発信力や求心力をつけることが重要だと思います。でなければすぐにジリ貧に陥って先細りする一方です。受け手ではなく送り手になること。他力本願では集客を継続することはできません。ツールなので活用自体を否定するつもりはありませんが、短期的なビジョンだけではなく、中長期にわたるビジョンを見据えて行動するようにしましょう。

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