誰も得しないミスチル愛-SOUNDTRACKS-

12月2日に発売された新アルバム[SOUNDTRACKS]
とりあえず、100回くらい聴いたんで
いつものごとく誰も得しないミスチル愛note更新。

前作「重力と呼吸」から2年2ヶ月ぶりなんだって。
誰も覚えてないと思うけれど、
このアルバムが出た時、私が言った感想は、
「これはまだ最高傑作じゃない」、だった。

そう、だから早く次の作品を出すはずだと思っていた。
そうでないと困るとさえ思っていた。

「重力と呼吸」は決して悪いアルバムじゃない。
皮膚呼吸もYour  songもhimawariも最高だし。
ライブも全部含めての完成のさせ方はまさに最高だった。
まあ、そのアルバムについてのことは置いておいて
見たい人はこちら→https://note.com/tsun294/n/nb2c632a2a5b5

まず、ちゃんと、早めに次の作品を出してくれたことが嬉しかった。
やっと、やっと、コバタケの抜けた新生Mr.Childrenの、
正真正銘の「作品」が聴けるのだから。
(前作は「作品」というより改めての「自己紹介」だと、個人的には思ってる)

でも、めちゃくちゃ心配もしていた。
前作の感じから、次に彼らが進むのがどんな道なのか。
若者に負けてたまるか感が強かった前作の、その感じでいくのかは
非常に気になるところだったのだ。

私の、本当にこれは個人的な願いだったのだけれど
周りにはずっとこう言っていた。
「今のおじさんになったミスチルの、若くないからこそ、
今だから見える今のミスチルの良さを見せてほしい」
新しいリスナーや若い世代がもしついて来れなくてもいい。
ダサいな、と思われたって構わない。
私は、今の、絶頂期も過ぎ、終わりも見えてきた今のミスチルが聴きたい。
かっこいいおじさんでいてほしい。いい歳の取り方をしてほしかった。

これは本当に常々思っているのだけれど、ミスチルには
いつだって前で引っ張っていってくれる存在
いつだって後ろで背中を押してくれる存在
いつだって横で寄り添っていてくれる存在
いつだって斜めから予想を超えていってくれる存在
そうあって欲しいのだ。
他のどのバンドよりも、彼らになら、それができると信じているし
実際に、今、現在に至るまで、それをやり通してくれていたから。

全ての人に届かないもので構わない。
だけど、求めている人に応えらるかは、選択出来る。
本当に、祈るような思いでいたのを思い出す。

このアルバムを作っていると分かった時に
私は、ある決意を一つした。
シングルで出す曲以外の
タイアップ曲を前もって聴かない、という決意である。
本当にまっさらな気持ちで、このアルバムに挑みたいと思った。
なんの付加情報もなく、この耳が感じることだけを頼りに
新しいアルバムを感じたい。
多分それが、一番、彼らの思いをストレートに感じられる近道だから。
そう思ったんだよね。

そんな決意をした時に限って
めちゃくちゃタイアップ決まっていくわ
めちゃくちゃテレビ出演が決まっていくわだから、困ったものだった。

だけど、私にしてはとてもよく頑張って我慢したと思う。
おかげで初聴きの時に知ってた曲は
・Birthday
・君と重ねたモノローグ
・turn  over?
の3曲のみで済んだわけだけど。
YouTubeも、テレビ番組も、ガーリィレコードのモノマネも
全部全部封印して、その日が来るのをただじっと待つ日々。

なんでそこまでしようと思ったのか。
それは、最近のタイアップを見ていて、
ミスチルにとってプラスになるような効果を感じられなかったというのもある。
見に行っても、作品と、曲の出来栄えのギャップにがっかりするだけ。
いい曲であればあるほど、もったいない気がしたし、
そのがっかりしたという情報をインプットしながら
曲を聴いてしまうことになるのが嫌になったのだ。
そこでミスチルの曲を聞く意味を見出せなくなってしまった。

でもそれはある意味間違いだったと気付くことになる。
それはこのアルバムを1度聴けば一目瞭然の事実。
タイアップとか、そんなこと吹っ飛ばすぐらい
アルバムとして完璧にしてたから。
ああ、また私は雑魚ファンの思考回路に走ってしまっていたのか。
絶対的に信用しなかった自分を呪いたい気持ちである。

ここまできて、まだ、これ、前置きなんだよね(笑)
前置きだけで、どれだけ書くのよ、私。
言いたいこと全部書いてたらめちゃくちゃ長くなるな、これは。
まあ、誰も得しないnoteだから良しとしよう。

まあ、そんなわけで、震える手でCDを開けたわけ。
(今回の開けにくい仕様、これはどうかと思う。
でもきっと、ブックレットやCDケースについてるタイトル見せないためだよね?
粋な?ミスチルらしい?ネーミングつけてるから、
出し惜しみ、ここでもしちゃったのね。)

何で一番最初に聴くか相当悩んだ末に
私はウォークマンの、良いイヤホンで聴くことにした。
全ての音を遮断して、歌詞カードも見ずに目を瞑ってとりあえず聴いてみた。

10曲で45分くらいの短めのアルバムなのだけど、
一通り聴いて、しばらく圧倒された感覚に包まれた。
それと同時に今まで感じたことないくらいの充足感に包まれた。
2周目にいく必要性を感じないくらいの満足感。

「すごいアルバムをまた出してきた、この人たち。。。」

これは、今まで聴いてきたどのアルバムよりも良いかもしれない。
そう感じるのは、きっと、自分の生きる上での死生観と
かなりオーバーラップしたからかもしれない。

私は、結構パンチのある、挑戦的で、刺激的な匂いのする
乗れる曲がミスチルの曲では結構好きなのだけど、
そういう曲ははっきり言ってほとんどなかった。
全体的に、ゆっくりした曲が多いし。
でも、このアルバムは間違いなく、「最高傑作」だと思った。
作品としての、完成度がかなり高いと思う。

全体的に漂う、終末感、重い感じ、暗く、切ない、諦めにも似た感覚。
だけど、それを通して見える微かな光や願い。
それを支えるかのように鳴る音楽隊の音が一粒一粒光っていて、
ボーカルの声はどこまでも澄んでいて美しく、
その二つのバランスが素晴らしくいい。
そしてとにかく、歌詞がいい。作品としての一貫性を持たせているし
今の彼らを十二分に感じ取れるのに、自分の歌のようにも聞こえる
あの、いつものミスチルが帰ってきた。
1回聴いただけで、大満足させるクオリティーを持って
なおかつコアなファンに、
これが最後になってもいいと思わせるだけの力を持っている。
これだけのものを創れたことは
ここまでやってきて良かったと、彼らも思ったに違いないけれど
ファンとしての、自分も、同じような気持ち。
ここまでずっと聴いてきて本当に良かった。し、生きてきて良かった。
こんな最高なものについに出会えるなんて感無量。
表現をすることをしている1人として聴いても、納得の1枚。

褒めすぎじゃないか?って思うくらい褒めてる自分が怖い。

聴いてくれる人の人生のサウンドトラックでいたいという、
ミスチルの核になっている音楽への思いが一番出ているし
絶頂期を超えて、人生にも終わりがちらついて見える歳になってきて
だからこそ、見えるなんでもない日常の愛おしさ、
大人になったからこそ見える世界の美しさ、少なくなってきた可能性の大切さ、
切なくて、物悲しくなる時間が増えていくけれど
全部ひっくるめて、残りの時間を生きていくのだという強い気持ち、
ものすごく、渋くて、重厚で、濃厚で、上質で、大人で、切なくてかっこいい。

本当に、本当に、こういうのを、待ってたよ。。。ありがとう。
感謝の気持ちしかない、もう。その一言に尽きる。
紛れもなくこのアルバムは死ぬまで私を支えてくれると思う。
今死んだら、葬式にはこのアルバムを流してほしい。
生きてるうちに、願いが叶うのなら、
この曲たちをいつか生で聴きたい。一生のお願い。
そしたらその一瞬をずっと刻みつけて生きていくから。
永遠にするから。

まあ、ここまで、いつも辛口な自分が
今までになくベタ褒めしてきたけど
2つだけ。うーん、となったこと。

1つ。「可能性」→「可能星」への歌詞変更。
これは、またやっちゃったなあ、って感じだった。
でも、まあいい。これは。いいやって思うくらいいいアルバムだから。
むしろそういう部分があるのもミスチルっぽいから
苦笑いしつつも、微笑ましく見てる。

もうひとつは、アートワーク全般。
本当に、アルバムの中身が素晴らしかっただけに。
ジャケットの絵のコンセプトを聞いても
美大生の課題発表かぐらいにしか響かなかったなあ。
この素晴らしいアルバムを支えるには物足りない。
出来栄えにギャップを感じてしまったというのが、正直なところ。
一生懸命作った人に対してこんな意見を述べるのも気が引けますが。
しょうがないね、そう感じちゃったのだから。
MVのセットも、アー写のレタッチも、あんまり好きじゃない。
だんだんセットが荒廃していく仕様になっているのだけれど、
そもそもそのセットに現実味が感じられない。
差し込んでいる光も大袈裟なくらい神秘的だし、
ジャケットの写真がデカデカと額装されて飾られてたり、
こんなに普遍的なものを表現している
聴く人に寄り添ってるアルバムとの意識の差を感じる。
このアートワークを作った人自身の我の強さを感じる。
作品の一部になりきれずにいる感じ。
確かに一見かっこよく見えなくもないけど、本物の感じがしない。
まあ、でもミスチルのパフォーマンスが素晴らしいので、目を瞑る。
大きな懐で見ようと思う。
写真自体も悪くない。レタッチが過剰になって見えるだけで。
なんか、若い感じがするね。
もっともっとこのアルバムを咀嚼して欲しかったな、という印象。

インタビュー雑誌とかも一切読まないし、いろんな情報カットして
アルバムだけを聴いて、見た感想だから
きっとそこには色んな意味が込められているのだろうけれど。
私には伝わってこなかった。

まじでめっちゃ長くなってるけど、
これから1曲ずつの感想書いていく。

①DANCING SHOES

このアルバムの中では重いビートの中、乗れて、私の好きな感じの曲調。
全体を通して言えることだけど、ギターもベースもドラムも
ストリングスもすごく光ってる。バンドサウンドを軸に
声もくっきり聞こえるしバランスにメリハリがある。
短い曲なのに全然それを感じさせない丁度いい長さ。
とにかくかっこいい。歌が上手くなってるなあ、と思った。
こういう1曲目にパンチのあるやつ持ってくるの、好き。
終わり方もすごく潔いし、Do it!が耳にずっと残る。
リピートで1曲目に戻ってくるといつも、おお!いい!ってなる。
あと、ほんと、英語が良くなったなあと感じる。
そこら辺今までほんとアレだったけど、今回は安心して聴いてられる。
これも全体的に言えるけど初っ端の歌詞がすごくいいの持ってくる。
続きが聞きたくなって引き込まれてしまうパンチを効かせてる。
桜井節もちょいちょいあって、いいねえ。
個人的に好きな歌詞抜粋しようと思ったけど、あり過ぎて載せるか悩む。
まあ一番は

その両手に繋がれた鎖 
タンバリン代わりにして 踊れるか?

の後に続く

無様な位がちょうど良い

のところが好きかな。
この一言があるだけでグッと説得力というか、深みが増していると思う。

流行り廃りがあると百も承知で 
そう あえて俺のやり方でいくんだって自分をけしかける

っていうところもいい。ミスチルの今の気持ちだと思う。

(ちょっと、どうしよう、1曲についての語り長い!)

②Bland  new  planet

この曲は、ほんと、ミスチルらしい、王道な1曲という感じがして、
2曲目に持ってくるにはふさわしい曲って感じだった。
星というキーワードに色々歌詞を掛けてるのだけれど、
「可能星」は前述した通りどうかと思うけど、
最後の「欲しい」に掛けてるのは秀逸。
あと、ストリングスの弦の音が本当に美しい。
桜井さんの声の澄み具合も絶好調って感じがする。
歌詞も好きなところいっぱいあるのだけれど

この手で飼い殺した 
憧れを解放したい 
消えかけの可能星を見つけに行こう

で終わらずにその後

何処かでまた迷うだろう 
でも今なら遅くはない

っていうのを足してるのがいいよなあ、と思う。
そして最後の

新しい「欲しい」まで もうすぐ

この表現の仕方は上手い、こういう所が心掴まれる。
この歌はきっと、ロンドンにレコーディングをしに行くときの気持ちを歌ったのだろうなあ、と想像してる。
新しい可能性や、新しい自分にまた出会えるかもしれない、という期待、
新しい気づきを探しに旅立っていく4人の姿が目に浮かぶ。
自分自身も、最近始めた絵や字のことに感じてることと重なってグッとくる。
この歳になって、可能性は明らかに少なくなっていくばかり、
心がときめく瞬間も減って、それでも、まだ何かに可能性を感じたくて
何か新しいことに挑戦してみる、小さな勇気を讃えてる曲だなあ、と思う。
いい曲です。好きな人多いんじゃないかな。背中、押される。
自分たちの等身大の歌詞がリスナーの人生にも重なる。
紛れもなく、こんなに有名でも、
ミスチル自身が、この大きな世界の中にある小さな存在の一つなんだという
そういう気持ちを常に持っている人たちだからこそ、いつも響くんだよなあ。

③turn  over?

これは配信されたので前もって聴いた曲のうちの1曲。
正直、単体で聞いた時はピンと来なかった。
音は面白いと思ったけど、歌詞は大したことないし、
大したラブソングでもないし(ひどい言い方)
まあ、ラブソングが苦手というのもあるけれど。
私にとってはアルバムの中では一番深く考えずに音だけ聴いてる。
リズムとか、パーカッション的な感じものが心地いい。
昔のミスチルっぽいという人もいるようだけれど
私はそんな風には感じなかったかなあ。
いろんな面で昔より工夫をしてる感じがするし
歌い方も、似ているようで全然違うなあって思う。
まあ、でも評価は二手に分かれる曲じゃないかなって思う。
私的には、歌としては、普通かなあ。
BGMとして気持ちよく聴くのが自分の中の正解かな、と思う。
真剣に聴く曲ではないね。
そういうのが1曲入っているのはいいな、と思う。
シングルで聴くよりアルバムの中で聴く方がずっとしっくりくる。
好きな歌詞は特にない。タイトルがいいね。

④君と重ねたモノローグ

これもシングルで前もって聴いてた1曲。
シングルで聞いた時はこれもそこまでいいなあ、とは思わなかったし、
アウトロの長さも長いなあって感じたりしたのだけれど
アルバムの中にあると、こんなにいい曲だったのか、と
いい感じに印象が変わった曲だった。
今回のアルバムは全体的に、潔い終わり方の多い曲の中で
君と重ねたモノローグとothersはアウトロがとても凝っているので
ものすごくそこが光るような感じになっている。いいなあ。
アウトロのストリングスはすごく効いていて、
なんかあれを聴いてると遊園地のコーヒーカップに乗ってる気分になる。
いつか訪れる終わりを意識している4人の気持ち、
ファンとの一瞬の共有した時間を胸に、
永遠に刻み込む思いを描いたような歌詞が優しい。

鏡に写った自分の 
嫌なところばかりが見えるよ 
恵まれてる 違う誰かと 
比べてはいつも 諦めることだけが上手くなって

の後に続く

それでも前を向けたのは 
君と重ねたモノローグが 
孤独な夜を引き裂きながら この心強くするから 
僕に翼はないけれど 
君となら高く飛べるよ

という部分は、ミスチル自身も、
私たちファンがミスチルの曲に救われてるのと同じように、
聴いてくれる人に助けられてるのかな、と感じる。
「また会おう」「ありがとう この気持ち届くかな」
「ほんの一瞬 たった一瞬 すれ違っただけだとしても 君は僕の永遠」
という歌詞にもとても愛を感じる。
好きな歌詞は

誰かにとっての完璧は 
誰かにとっての不完全

もうハッとさせられるよね。その通りだなって。
そうやって自分で自分を縛り付けているのは誰でもない自分自身で。
そういうのを気づかせてくれるのが私にとってのミスチルで。
ありがとうって気持ちになるんです、いつも。
(あれ、こんな歌詞も一番にあったな)
ファンにしたら、こんな曲は本当に嬉しいよね。うん。

⑤losstime

この曲の物語は素晴らしい。寂しくて。
ロスタイムというだけあって2分ぐらいの本当に短い曲なのだけれど
それがまた、いいよね。その後の想像が膨らんでいく。
アルペジオ?弾いてる感じがとても歌詞の世界観と合ってる。
死、終末、諦観を感じる。
若い頃に感じるような、怖くて怯えていた死のイメージとは違う、
歳をとって、ああ、こうやって人は終わっていくんだと
なんとなく見えてきた大人だからこそ見える死のイメージを描いてる。
自分も自然の摂理の一部なのだというどこか悟りがある気持ちと、
生きてきた記憶や過去に対する慈しみ、
残りの時間を静かに待つ、という、どこか諦観を持って強い意志を感じる。
こういう歌を作れるのは、大人になったからこそだと思うし本当に天才。
ストレートな描写が心に刺さる。映画を見ている気分。
誰もが、大切な人を亡くした時に感じるであろう
乖離感、喪失感を美しく描いていると思う。感動した1曲。
歌詞は全てが素晴らしいのでもう書かない。聴いてくれ。
死を表現することで今をもっと大切にしたい、と強く感じる曲だと思う。

⑥Documentary  film

またこんな名曲を作ってしまったか…。普通に泣いたわ。
初っ端の歌詞

今日は何もなかった 
特別なことは何も

からすごく良い。
この歌に出てくる感情は、本当によくなる気持ち。
SENSEの時、ライブで前から6列目でミスチルを見れた時があって
出てきて動いてるのを匂いが届く距離で感じて、
この人たち、本当に生きてたんだ、と強烈に生を感じたのと同時に
ということは、いつかこの人たちもいつかいなくなってしまうのだと
リアルに死を感じてしまって、すごく寂しい、悲しい、苦しい気持ちになった。
そういう気持ちとか、
誰かと出会うたびに終わりが来ることが増えていくことに
どうしていいか分からなくなる気持ち、でも
出会わなければ良かったと思えない愛しい気持ちとで複雑になる事とか
誰にも分からないけど、何かが残っていくわけでもないけど
日々それでも写真を撮っていく、自分を刻みつけているときの気持ちとか
そういう、あらゆる自分の人生が重なり過ぎて、泣けてくる。
ぜひ、葬式に流して欲しい1曲。
終わりがあるから今がもっと愛おしい。とにかく名曲。
一生リピートして聴いていられると思う。
この曲がこのアルバムの中で一番の核になっている事は聴いてすぐ分かった。
タイアップに使わずに、最後まで出し惜しみしたのも頷ける。
そういうアプローチの方法、いいと思う。
売れたいためならとっくに出してる。
そうじゃない、伝えたい人に伝わればいいという気持ちも伺える。
この曲が聴けるまで、今日まで生きてて本当に良かった。
好きな歌詞はほんと全部好きなんだけど

昨日は少し笑った
その後で寂しくなった 
君の笑顔にあと幾つ逢えるだろう 
そんなこと ふと思って

とか、やっぱりサビの

誰の目にも触れないドキュメンタリーフィルムを 
今日も独り回し続ける 
そこにある光のまま 
きっと隠しきれない僕の心を映すだろう 
君が笑うと 
泣きそうな僕を

が、とにかく好き。吐きそうなくらい好き。自分の歌にしか聞こえない。

⑦Birthday

これも事前に聞いていた1曲。
シングルで出た時はドラえもんの映画の主題歌イメージで聴いていて
まあ、いい主題歌じゃないでしょうかね、ぐらいの気持ちだった。
前向きさ具合が、ちょっと強引な感じで、
いつだってmy  Birthday、your  Birthdayって表現が
ちょっと深みが感じられれないかなあ、なんて物足りなく思ってた。
でも、アルバムで実際にDocumentary  filmの後に聴くと
なんだかとってもしっくりくるから、本当に不思議。
命を讃えて、今を一緒に大切に生きようね、というメッセージに聞こえる。
何度だってやり直したり、生まれ変わったりしながら
強く生きていくんだ、という気持ちをあえて強引めに歌うことで
どこか自分に言い聞かせているような、
そんな複雑な心情にも受け取れて、深みが一気に増す感じ。

無意識が悟った通り 僕は僕でしかない
いくつになっても 変われなくて

この歌詞が一番この曲のキーになってる感じがする。
そう思うと、いい曲だなあ、と思う。
アルバムの中に入ってさらに光った1曲だった。

⑧others

え、ミスチル好きなのに?と言われそうだけど
恋愛系のラブソングは苦手な自分がいて。
でも、好きな曲もある。この曲も好きだった。
CMで一部だけ流れているのをうっすら聴いたことがあって
その時は、これ、絶対苦手なやつだろうな、と思ってた。
だけど蓋を開けてみて驚き、すごい化けた。
物語が切ない大人の恋愛の複雑さをうまく描いていて
内容もすごくいいのだけれど、何がいいって
桜井さんの声がめちゃくちゃいい。色気が溢れ出ている。
エロい、エロすぎる。こりゃ参った。
とか思ってたら、歌詞がなんか、生々しい。これまた参った。
とか思ってたら、アウトロのオケがまた良い効果を生んでいる。
久しぶりに、良いラブソングを聴いた。
でも、なんか、不思議なんだけど、聴けば聴くほど
ただの恋愛ソングなのだろうか?と思ってくる。
一番にはなれない、だけど相手と分かち合える一瞬の時間を求めてしまう。
これって、今のミスチル自身のこと?
とか深読みしちゃうよねー。
いやでも、まあ、普通に聴いてもめっちゃ良い曲だと思う。
純粋な恋愛を求めてしまう若さはない。
だけど、あるよね、うんうん、わかるわかる。
こっちの方がずっとリアルだよね、って唸ってしまう。
最近はちょっとでも道徳に反するようなことをすると
めちゃくちゃ叩かれちゃう世の中だけれど
人間はもっと複雑で、時に酷で、深いものだと思うし
愛の形は、本当にたくさんあると思う。
こんな愛の形も、確かにあるんだよ。本当に。
色々生きてるといろんなこと否定できなくなる感じを
名曲に仕上げることでみんなを頷かせてしまうことができるのではないか。
そんなことを伝えているようにも思える。
実際、そんなにハッピーな愛じゃないし、
叩かれてもおかしくないような内容でも、
みんな、この曲を好きになってる人多いんじゃないかな。
芸術と道徳は別物だけど、芸術でそれを超えたら、
どうでもいいよね、そんなことはってなるんじゃないかな。
桜井さんが不倫してたって今でも根に持ってる人は
こんな曲作っちゃうミスチルをどう思うのだろうね。
(まあ、興味はないけれど)
私は、そういう人にも作品として響く曲じゃないかなって思う。
理屈じゃない、いいものはいい。
ほんとめっちゃいい曲。

⑨The  song  of  praise

これもまた、アルバムを象徴する素晴らしい曲だと思う。
初っ端の歌詞、

積み上げて
また叩き壊して
今僕が立ってる居場所を
憎みながら
愛していく
ここにある景色を讃えて

ガツンと掴んでくるよなあ。
アンビバレンツな表現がいかにも彼ららしくて大好きだし
その後に続く歌詞、

だけど逃げるは論外
だって他に行き場なんかない

ここも大好き。自分自身がよくそう思うのもあって、自分自身と重なる。
歌い方も力強くなっていって、強い意志を感じる、いいなあ。

そう誰もひとりじゃないんだ
僕だって小さな歯車
今なら 違う誰かの夢を通して
自分の夢も輝かせていけるんだ

切ないけど、いい歌詞だ。
桜井さんも自分と同じように
この世界に生きる小さな存在の1人だと思うんだろうなあ。
こんなにすごいことしてるのに。
若い世代に自分の夢を託してるのかな、と想像したり。
最後の歌詞で「讃えたい」って願いになってるとこもいい。
この曲もやっぱり今という時間の大切さを伝えてるし
負けないで自分に挑み続けたいという希望を持っているのを感じる。
背中を押されているような気持ちになる。頑張ろうって思える。
素晴らしい曲だと思う。ていうか、素晴らしい曲多すぎて頭おかしくなる。

⑩memories

最初聴いたとき、ちょっと驚いたなあ。
ミュージカル聴いてる気持ちになった。
ファンタジックで、ディズニー感あるっていう感想も頷ける。
こういう感じの曲は今までになかったなあ。
曲の構成もすごく複雑な感じがする。
1回聴いただけではうまく咀嚼できなかった。スルメ曲な感じで
聴くごとにどんどん良く聴こえるようになった。
難しいメロディー。リズムもなんか難しい。
歌詞が、また、これもまた良かった。

ねえ 誰か教えてよ
時計の針はどうして
ずっと止まっているのだろう
約束の時間の前で

喪って止まってしまった気持ちを描いていて
まるでそれが自分自身のようで、心にチクチク刺さった。
途中のセリフ調になってる部分の

固く目を瞑って
今 手繰り寄せる
どこまでも美しすぎる記憶
心臓を揺らして
鐘の音が聴こえる

この後に続く

僕だけが幕を下ろせないストーリー

ここで、胸がギューーーってなる。
今まで人生で何度も味わってきた喪失感とも重なるし、
もしミスチルの音楽を聴けなくなる日が来たら…
って、その後の自分が目に浮かぶ。
きっとこんなふうに思うのだろう。
過去が今を支えてもいるし、
過去が今を止らせたりもする。
でも、そうやってずっと残っていくんだろう。
記憶と共に生きるようになるんだろう。
優しくて、切ない。最後にふさわしい、終わり方。

総じて、本当に最高傑作、私にとっては。
reflectionの時以来の最高を塗り替えてくれた。
まだまだ好きな歌詞いっぱいあるし、
まだ表現仕切れていないこの嬉しい気持ちも。
でも1万字を軽く超えてしまったのでこの辺にしておく。

何回聴いても聴き入ってしまう。
シャッフルとかじゃなく通しで聴きたい。
人生に欠かせないアルバムになった。
最高の賛辞を送りたい。
全ての大人になってしまった大人への贈り物だと思う。
25年以上真剣に彼らの曲を聴き続けてきたからこそ
このアルバムを最高に楽しめているのかもしれない。
そうなのだとしたら、自分を誉め讃えたい。
「あなたが愛したものは最強だよ」って。

#MrChildren #ミスチル #SOUNDTRACKS

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