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トマトのヘタが落ちていた

ちょっと遠出をした1日の終わり、私は山手線に乗り込んだ。ひとつおきに空いている座席の間に申し訳なく座る。
向かいの席の4つ隣、1番右端の座席の下に、トマトのヘタが落ちていた。

え、なんで?

一瞬時がとまる。
確かに少し疲れてるけど、見間違えるほどHPは少なくない。
いやまじでなんでトマトのヘタが落ちてるんだ?
しかもトマトとわかるくらいには赤い実の部分も残っている。

可能性を考えてみた。
電車の中でトマトにかじりついて、残ったヘタの部分を捨てた説。さすがに電車内で食べるだろうか。いくらお腹が空いていようと、トマトはチョイスしないよなぁ
包丁でヘタの部分を切り落とした説。切り口が包丁を使ったみたいに平らに見えるのだ。でも電車の中で包丁は使わないだろう。通報されるはずだし。
もともと持っていたヘタを電車で落とした説。まあこれくらいが妥当なところだ。なぜヘタだけ持っていたのかは謎だけど。

いずれにせよ、トマトのヘタは座席の下でじっとしていた。
トマトのヘタか、ヘタマトとでも名付けてあげよう。

このヘタマトくんは山手線を一体何周したのだろうか。まだ数駅分の旅なのか、それとももう10周以上経っているかもしれない。


考えようによっては、トマトも山手線と同じで回り続けている。
トマトマトマトマトマトマトマトマト…



…深い意味はない



落とし物と忘れ物

ふたつは似ているようで違う意味だと私は思う。

落とし物は気づかないうちにはぐれてしまったもの。視野から外れたところで起きている。
忘れ物はそこにあるのに、脳が見ることをやめてしまったもの。存在が消されてしまう。

ヘタマトくんはどっちだろうか。

きっと明日には片付けられているであろうヘタマトくん。
それじゃあ可哀想だから、最後に良い夢を見させてあげたい。

よし、私がサンタさんになってあげよう。
大丈夫。
何といっても君はクリスマスカラー。

生まれ変わったら子供が喜ぶプレゼントになるんだよ。

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