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固く結ばれた二人の願い

彼と一緒に死にたい。どちらが先でもなく同時に死にたい。できれば苦しみや恐怖を知らずに。例えば、猛毒の中毒で一瞬に、彼と抱き合って死にたい。

私たちには子どもがない。二人とも被虐待児で親兄弟の縁を切っている。頼れるのはお互いだけで、二人で寄り添って支え合って生きている。分かりやすく言えば、一つの魂を二人で分け合って生きている。

だから、独りだけで生き残った時のことは想像もしたくない。生木を裂くような、内臓を引きちぎられるような、そんな言葉では表現できない。生きながら焼かれる心地がするだろう。
私たちはお互いの存在が、生きる意味そのものである。一人になったら生きる意味も気力も無くなる。ただ死を願うだけの日々であろう。こんな辛酸を彼に舐めさせたくないし、私も味わいたくない。

さらに残された方は「あの時○○していれば。△△していなければ」という答えのない問いを永遠に繰り返し、命を削っていくだろう。
先に鬼籍に入ろうとしている者は、魂の片割れより死ぬ未練と、自分の死後の比翼連理のパートナーが心配で、死ぬより苦しい地獄の責め苦を味わう。

こんな生き残る地獄と先に逝く修羅を彼に、彼にだけは味合わせない。だから私は絶対に彼と一緒に死ぬと決めている。彼も同じ決意だ。

私の願いは 琴瑟相和きんしつあいわす彼と、一緒に同時に死ぬことである。

そして一緒に死にたいと思うほどに愛し合っている人との愛が、より深まりますように。


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