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生活の木薬香草園が閉園

7年半ほど通い続けた埼玉県飯能市にある生活の木薬香草園が昨日閉園した。きっとその日がいつか来るのだろうと思っていたけど、閉園の知らせを初めて聞いた時はやっぱり寂しくなった。

薬香草園といったら、忘れられないエピソードがある。

私の好きな花にミモザがある。もうすぐ春を迎える頃に咲き出すあの黄色のつぶつぶのかわいらしい花を、雪国に生まれ雪国に住む私はずっと見たことがなかった。今から6年前のまだ肌寒い頃、用事の関係で静岡へ行ってから、その後埼玉の薬香草園に行くという旅をした時に、せっかくだからミモザを見てみようと思った。

薬香草園にはアーユルヴェーダのサロンがある。行った時、たまたま当日空きがあったので、トリートメントを受けてみることにした。するとセラピストの方が私の頭を触りながら、「頭が硬いです、お疲れではないですか?」と指摘をしてこられた。私は内心ドキッとした。あの時、仕事ではスキー場の送迎で雪道を走る仕事が多く、体も心も疲れ果てていて、朝起きるのがしんどくなり始めてた頃だった。この日の前日には自分の不注意で愛車さんの足回りに傷を入れてしまい、精神的に落ち込んでいた。そんな中だったから、自分の体を労ってくれるトリートメントとセラピストさんにとても癒された。

その後、施設内にあるヤハラテナというレストランで食事をとった。テーブルには小さな小瓶にミモザが生けてあって、窓から見える満開のミモザがとてもきれいだった。おいしい食事にミモザの花。あぁ、私生きてるんだなぁって思ったその矢先、人目もはばからずに涙が止まらなくなってしまい、黙って給仕してくださるホールスタッフの人に感謝せずにいられなかった。

人って大切にしてもらえなくなると、途端に生きる気持ちが萎えてしまう。でも、やさしい誰かに出会えたら、ちょっとは生きたくなる。私は仕事のストレスで生きることをやめたくなっていた。でも、生きることを諦めなかった。あの出来事があったから。

だからあの日以来、私は毎年恒例でミモザを見に出かけるようになった。静岡で安くミモザを買える場所も知ったので、ミモザが咲いてる内緒の場所にドライブしてからミモザを買ってきて、薬香草園へ行ってミモザを楽しむ。薬香草園のミモザには毎年必ず挨拶をする。そして長野に帰って買ってきたミモザをいつもの感謝の気持ちとして手渡す。あの日のことを忘れないようにって、それが私の毎年の春の楽しみだった。

だから昨日、薬香草園とミモザに最後のお別れをしてきた。この7年半、ミモザに限らず、アロマ関係の品もハーブ苗もベーカリーのパンもたくさん買わせてもらったし、ワークショップや講習の受講やイベント参加も何度もさせていただいた。ミツバチも大好きになった。来週の植物の譲渡会は私のミスで行くことができなくなったから、本当にこれが最後のお別れ。

今まで本当にありがとうございました。思い出がありすぎて、これで飯能に行くきっかけが一つ減ってしまい、正直悲しい。でも思い出はなくならないから、ハーブはこの先もずっと好きでい続けるから、ミモザも譲渡で誰かのところへ行くはずだから、この気持ちをちゃんと庭に託そうと思う。ずっとこの先も。ずっとずっと。

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