金魚釜茹で殺害事件
その日、私はいつも通り、朝食を食べ終わった父が庭に出て、軒先の水槽にいる金魚に、エサをやりに行ったのをリビングから見届けていた。
父が一人で、何やらブツブツ言っている。
ん?
すると父は、網じゃくしで金魚をすくい始めた。網の中には、金魚が数匹入っている。
んん💧??
様子がおかしいので、リビングの窓を開けて、私も室内から水槽を覗き込んだ。
と、その瞬間
「くっっっさ(>_<)💦」
水槽からは、ドブのような強烈な悪臭が立ちのぼり、私は数回オエッとなった。
水槽は緑色のヘドロだらけで、5匹いた金魚は全て天に召されていた。
「あーあ、みんな死んじゃったよぉー。おっかしいなぁ」
本人は自分のせいなどとはつゆとも思っていないが、これまで容疑者:父に殺害されてしまった金魚は数知れず😅けれど、これは初めてのパターンだ。今回も、犯行は前夜未明に、容疑者:父の知らぬところで起こったらしい。
どうしたのかと尋ねると、サーモスタット付きヒーターの温度設定を間違えてしまったとのこと。
通常より高温に設定されたヒーターで水温は亜熱帯化。元々緑がかってきていた水はドブ臭を放ち、温かすぎるお湯の中で、金魚たちは釜茹で状態になってしまっていた💦
カワイソウスギル。キンギョニ アヤマレ😑💧
恐らく…
容疑者:父の身体が寒さで冷え切っている時に水槽の水を触ったら冷たくて、ちょっとサーモスタットの温度をあげてみたもののすぐには温まらず、さらにぐぐぐい〜っと温度をあげてしまったか、
または、サーモスタットが壊れた、(もしくは、父がどこかを触って壊してしまった)かのどちらかだろう。
私はその場で、容疑者:父を"現行犯放置"した。
金魚がお亡くなりになると、父はいつも、おもむろに網じゃくしですくいあげ、そのまま後ろの畑にポイッと投げ捨てる。きっと今年も、夏野菜が豊かに実ることだろう。
金魚さん、どうか父ちゃんを呪わないでやってね。安らかにお眠りください。
合掌。
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