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ぽんこつバトル

夕方はいつも、認知症の父とテレビを見ながら少し遅めのお茶にする。そして、お茶を飲んでいる間に風呂を沸かす。

前もって、父が服を脱ぐ寝室、その後移動して下着を脱ぐ脱衣所、そして浴室の3ヶ所を、やや温度高め設定の暖房で温める。

お茶を飲んで、父の身体が温まったところで、父を風呂へと促すのだ。冬はこのくらいまでしないと、高齢の父はすぐにヒートショックを起こしてしまう。

日ごろの父の入浴までの様子は、こちらの投稿で書いています。
”入浴”ではなく、”入浴まで”が長いねん・・・(^^;; w

こうして一昨日も、各部屋を暖房で温め、お茶を飲み、そろそろいいかなというところで父に声をかけた。

「お父さん、お風呂沸いてるでね^^」
「うん」

返事は返ってきたが、動く様子はない。

「お父さん、お風呂」
「うん」

こうして、5分~10分おきに数回声をかけたが、今日は腰が重めのようだ。結局、そのまま30分ほどが過ぎた頃、弟がリビングに来て、先に入っていいか?と聞いてきた。

「お父さん、〇〇が、お風呂、先に入りたいっていうけどいい?」
「うん」

いつも100%快諾してくれるのだが、こういう時は、一応、父に確認することにしている。もちろんOKがもらえ、弟に先に入っていいよと声をかける。

すると、お風呂のコントローラーを見た弟が、無表情のままこう言った。

「入れねーじゃん」

「へ?」

各部屋は、暖房のおかげでしっかり温まっていた。

が…

風呂には、お湯が入っていなかった。

「姉ちゃん、ほんっとにボケてんなぁ(-_-;)」

私のこの手のミスには、家族全員慣れている。ごめんごめんと言いながら、慌ててお湯を入れるスイッチを押すと、弟は浴室などの暖房を消しに行った。

そういえば、父を素っ裸にしたあと、風呂にお湯が入っていないことに気づいたことも、はい、過去に1回…いや2回かな、ありました^^;w

暫くして風呂が沸き、弟が入浴し始めた。

すると5分ほどして、おもむろに父がコタツから立ち上がろうとする。

「オシッコに行くの?」
「ううん」

「お風呂?」
「うん」
「今、〇〇が入ってる」

おおそうか。それは知らなかった。それなら待つとするか、というような顔をして父がコタツに入りなおす。

それから10分ほどすると、再び父がコタツから立ち上がろうとする。

「オシッコ?」
「ううん」

「お風呂?」
「うん」
・・・(^_^;)笑

結局、その後30分ほどの間、この会話は3~4回繰り返された。

お風呂どうぞと、私に声をかけられて30分ほどしてから、やっとスイッチが入ったらしいw

相変わらずの、なかなかのタイムラグっぷり。腹話術のいっこく堂もビックリである。いや、今や宇宙旅行もできる時代。いっこく堂が流行った頃よりも、宇宙と地球との通信速度は飛躍的に速くなっているというのに、わが家はいったい何時代を生きているのだ?w

スーパーいっこく堂父ちゃんと、
あんぽんたん娘。

この日の”ぽんこつバトル”は、
引き分けです!笑

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