見出し画像

生協の佐藤さん

習1回のただの配達

わたしは生協の配達を頼んでいる。
週に1回、食材を家に配達してくれるサービスだ。

木曜日にインターネットで頼むと、翌週水曜日には配達される。
お金を払ってサービスを受けているだけ。
最初の数週は、ただ配達物を受け取るだけだった。

ある日のこと

ある日、いつものようにドアを開けると「生協の佐藤でーす。」と声が聞こえた。
※佐藤は仮名

そうか、そうだよね。
名前、ちゃんとあるよね。
わたしは大変失礼ながら、「生協のおじさん」という認識しかしていなかった。

それが突然、名前を知ったことにより「生協の食材を配達してくれる佐藤さん」になった。
名前って、なんて大事なんだろう。

名前を呼んでみた

そしてその翌々週あたり、思い切って名前を呼んでみた。
おお、緊張。

佐藤さんもちょっとだけびっくり、そしてちょっとだけ嬉しそうに見えた。

1人の名前を持った個人として認識されるって、やっぱり嬉しいことだよな。
わたしだって、きっと嬉しい。

その日から

少しずつ、何でもない気温の話などをするようになった。

もともとは、生協の配達の方には何のコミュニケーションを期待していた訳ではなかったが、今では「毎週佐藤さんが配達してくれる」感覚である。

専業主婦は、ひきこもろうと思うと、いくらでもひきこもれてしまう。
夫と子ども以外と会話しない日も少なくなかった。

そんな日日常の、ちょっとだけの大した中身のない会話。
それだけでも、わたしは少しほっこりした気持ちになっていた。

名前について

今まで、周りの方の名前をちゃんと呼んでいただろうか。
呼んだ方が良いことは知っていた。

でも、実践していたか?
知っているのと、実際に行動するのは全然違う。

正直なところ、わたしは名前を覚えるのもなかなか苦手だった。

でも、もっと名前を貴重に大事に取り扱おう。
名前を呼ばれる威力はすごいのだ。

みんな名前を持っている

ヤマトのお姉さんも、Amazonのおじちゃんも、コンビニの外国人さんも、みんな名前をちゃんと持つ個人なんだよな。

名前を呼ぶ間柄ではないとしても、これから、それを忘れないでいたい。

そうすれば、お金を払った対価としてサービスを受けるだけでなく、感謝の気持ちが持てると思う。
もしかしたら、ちょっとした会話が生まれてくるかもしれない。

ただの日常にも、常に感謝の気持ちを持っていたい。
小さな出会いも大切にしていきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?