シャインマスカットってどんな果物？ 特長・歴史・保存方法をご紹介！
シャインマスカットの特長
近年、生産量が急増しているシャインマスカット。ハウスものは6月下旬〜8月上旬、露地ものは8月中旬〜10月下旬が主な旬です。
ぷりぷりな肉質、コクのある甘み、香りの良さなど、食べておいしいその味わいは、子供から大人まで大人気。
魅力は味だけでなく、食べやすさにもあります。種がなく、皮ごとパリッと食べられて、比較的日持ちもします。
これは食べる側の魅力ですが、いくらおいしくても栽培が大変であれば作り手がいなくなってしまいます。シャインマスカットは裂果しにくく、病気に強く、着色しやすいことから生産者さんにも人気なんです。
消費者にも生産者にも嬉しいシャインマスカットの誕生は、長い年月と多くの人の努力の賜物です。
シャインマスカットって？ 誕生の歴史を追う
ぶどうは大きく「欧州ぶどう」「米国ぶどう」のふたつに分けられ、それぞれ長所と短所があります。シャインマスカットは、安芸津21号（欧米雑種）×白南（欧州ぶどう）の掛け合わせで生まれた、両者のいいところを併せ持った品種です。
欧州ぶどう
◎しっかりめで噛み切りやすい肉質。マスカット香を放つ
△降雨が多い気候に適しておらず、日本での栽培が難しい
米国ぶどう
◎病気や寒さに強く、果皮割れしにくい
△プルンとして噛み切りにくい肉質。粒は小さめで、脱粒しやすい
欧州ぶどうは古くから日本に伝播してきましたが、気候が合わずなかなか定着しなかったようです。
明治以降は米国ぶどうも導入されますが、品質は生食用としてはいまいち。
日本で栽培できる生食用のぶどうとして、1960年代後半からは、欧米交雑種の「巨峰」の生産量が拡大しました。大粒で、欧米の中間のほどよい肉質ですが、果皮が厚く皮ごと食べるのは不向きな品種です。また、病気にあまり強くなく、栽培する上でも難点があります。
そこで日本のぶどう生産の維持拡大をはかり、欧州ぶどうの芳香・食感・粒の大きさ＋米国ぶどうの栽培のしやすさを目標に、1988年から品種改良が始められました。
15年間試験栽培を繰り返して生まれたぶどうは、その優秀性が認められ、2003年9月に「シャインマスカット」と命名されました。そして、2006年3月には品種登録にいたりました。
シャインマスカットの保存方法
ジャムやレーズンなどに加工することもできますが、シャインマスカットの風味を楽しむなら、そのまま食べるのが一番だと思います。
どのくらいで食べ切るかによって、保存方法は変わります。日数はあくまでも目安で、購入時のぶどうの状態や保存環境によって異なります。
水につけると傷みが早くなるので、食べる直前に水洗いをしてください。
①1週間：房ごと冷蔵保存
すぐに食べる場合は、房ごと冷蔵保存でOKです。購入時に三角袋に入っていたら、その袋に入れたまま保存します。
②1~2週間：粒にして冷蔵保存
軸を少し残して、ハサミで房から切り落とし、袋や容器に入れて冷蔵庫へ。このひと手間で房の状態より長持ちするのに加え、かさも減るのでコンパクトになります。
参考までにこちらは、10月に収穫したシャインマスカットを、粒の状態で1月まで保存したものです。果皮はしわしわですが、食べることはできました。
③1ヶ月：冷凍保存
粒にして冷凍保存をしておけば、いつでもシャーベットのように楽しむことができます。解凍しすぎると茶色くなって風味も損なわれるので、凍った状態のうちに食べるのがオススメです。
シャインマスカットの豆知識
①果皮の色は、甘さを判断するひとつの基準
シャインマスカットは熟すにつれて、果皮が濃緑〜緑〜黄緑〜黄色に変化していきます。
緑色が濃いほどさっぱりとした味わいで、マスカット香は豊か。逆に、黄色くなると綿あめを食べているかのような甘さを感じますが、マスカット香は薄くなります。
どのくらいの甘さが良いか、また、どのくらいの香りを感じたいかによって、お好みの果皮の色を探してみてください。
②果皮に茶色いシミのようなものが…？
写真のように、果皮にシミのような模様が現れることがあります。これは「かすり症」と呼ばれ、成熟するにつれて発生率が高くなるものです。
見た目はあまりよくありませんが、味に影響はありません。”熟している証拠”と捉え、おいしく召し上がってください。
③種がないのはなぜ？
種無しで食べやすいのがシャインマスカットのいいところですが、もともと種ができない品種なのではなく、種ができないような栽培をしています。
種無しにするため、「ジベレリン」にひと房ずつ浸す作業をします。これは植物ホルモンで、人体に害はないとされています。もともとは透明な液体ですが、付けた場所を分かりやすくするために、食紅を入れて使用する農家さんが多いです。
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（参考文献）
農研機構HP
http://www.naro.affrc.go.jp/archive/fruit/shine-muscat/about.html
農林水産省HP
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1109/mf_news_02.html
山田昌彦ほか 2008. ブドウ新品種‘シャインマスカット’. 果樹研究所研究報告7号,21-38
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010752861.pdf
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