だが、情熱はある

Excelがそばにある、ということ
社会人になって10年近くが経ちます。
その間、住まいや人間関係を少しずつ変えながら、
いくつかの会社を経験してきました。

業種や職種、仕事への向き合い方や考え方もバラバラでしたが、
そういえば、Excel(表計算ソフト)はどの会社でも使っていたなぁと
振り返っております。
ぱっとネットで調べてみても、6割以上の人がお仕事で使っているみたい。
そう、Excelは気づけば常にそばにいて、当たり前の存在だった。

Excelを中心に世界(=仕事)が回っていく
常にそばにあって、それなりに使いやすい。
しかも皆が使っている。
多くの業務でExcelが使われるようになるのは、
そういう意味では自然な事なのかも知れません。
私もその渦中の一人だった。

そんな中で、今の会社ではスプレッドシートを
メインで使っているのですが、
入社当時、「え、Excel使ってないの..?」
と訝しんだことがありました。
(機能的にはスプレッドもExcelも殆ど一緒なはずなのに)

未知との遭遇
”機能的には一緒なはずなのに”。
この拒絶感はなんなのだろう。
新しい物事に対する無意識的な不安や恐れ。
慣れ親しんだ物事に対する安心、無難さ、確からしさ。

「確からしさ」。
往々にして私たちは不確かな物事に対して
ストレスを感じてしまう。

”未知との遭遇”をどう捉えよう。

情熱はある、だが。
「これは、Excelで落とせたりしますか?」

在庫管理を担当している部署との打ち合わせにて。
Tableauのダッシュボードを眺めているときのご質問でした。

この部署では膨大な商材の在庫を管理、
ロット発注や棚卸を行っていたのですが、
管理ツールがご多分に漏れずExcelでした。
数式の拡張、貼り付け作業、属人化。
棚卸差異が常に発生し、在庫状況もタイムリーに分からない。
確かにこれは改善したい。
担当者もかなりの熱量をもって私に相談してくださいました。

Tableauを使ってみよう
在庫管理とTableauは相性が良さそう。
発注や所要に関わる入出庫の登録は別のシステムに任せ、
分析部分を一手にTableauで引き受ける。
そんなシステム構成で提案しました。
発注点在庫(在庫が一定数を切ったら発注が必要)を
設定することで、タイムリーにどの商材に対して
発注が必要なのか、ダッシュボードで表現してみる。

このダッシュボードをみたときに、
先ほどのご質問をいただいたのでした。

着手すべきは。
「できますが、えっと・・。」
「Excelで落とせば自由に編集できるな思いまして」

”慣れ親しんだ物事に対する安心、無難さ、確からしさ”
この感覚というのは本当に根強い。
長い間Excelで管理していた実務のメンバーからも、
新しい仕組みに慣れるのに時間が掛かりそう、
とのご意見をいただき、
結局はペンディング。現状維持のままとなりました。

私はこのお話をいただいた時に、どうすれば棚卸差異を減らせるか、
使いやすいシステムをどう作り上げようか苦心していましたが、
何かを間違えていたようでした。


Tableau Blueprint
先日、縁あってJTUG総会に参加させていただいたのですが、
その中でTableau Blueprint の紹介がありました。
Tableauによる“データ文化”を構築していくためのガイドライン。
「アジャイル性(=俊敏性)」
「スキル(=専門性)」
「コミュニティ」
という3つの領域に分岐して、
各専門領域でデータ文化を構築していくものでした。

データ分析、その環境構築は一足飛びには実現しない。
今回のケースでは、
まず着手すべきは心構え、
いわゆるマインドセットだったのかも知れない。
利用者のエンゲージメント
=意欲や情熱を持っている状態
この部分が視点として欠けていたなと、
振り返っています。

「悔しいです。でも私は絶対にこっちの方がよいと思っています」
うん。私もそう思う。
だからこそ、私も申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


だが、情熱はある。
この姿勢は絶やさぬように。

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