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#037 退院させることについてのそれぞれの気持ち

4月13日(火)

妻は今日「あまりお腹が空いていない」らしい。

「便が出てなくて、座薬の下剤を入れている」があまり効果がないとのこと。

「胃もムカムカしている」ようだ。

妻は寝たきりなので、どうも重力で便が下に降りないらしい。

さらに、体幹に力が入らないため、便がうまく流れていかないという。

お昼頃「吐き気止めを飲んだら、少し食べられるようになった」と連絡があった。


夕方になると、少しお腹が空いてきたようだ。

今夜も息子と病院へ。

今日の夕飯は、野菜たっぷり豚汁にマイタケとエリンギをトッピングして、主菜はコンビニのカレー。

6割くらいは食べられた。

便は出てないけど、食欲は問題なさそうだ。

あとは、お風呂とか車椅子とかベッド外のことが進んでいけば、退院を目指せるのだろうか。

妻とバイバイして家に帰ると、お義母さんから今後について話があった。


お義母さんの姉、つまり妻の叔母さんなんだけど、叔母さんが看護師をしているらしく

「姉が仕事を辞めて娘の看病をしたい」と言っているようだ。

だから「娘を実家に連れて帰り、姉に実家に来てもらって、そこで看病しようと思っている」とのこと。


ここで「思っている」というワードに引っかかる・・・

妻の実家は、うちから車で2時間以上かかるところにある。

当然、これまでの闘病生活は私が支えてきたし、仕事をしながら、子育てだって誰の手も借りずにやってきた。

妻の身の回りの世話は全て私がやってきているのに、私に相談なく話を進めようとしているということ?

少しポカーンとなった。


お義母さんの本音としては、義理の息子の家に寝泊まりする今の生活も気を遣うし、実家の方が気が楽ということなのかな・・・

まあ、その気持ちは分かりますけどね。

私も今の生活で気疲れするし。


だた、現状を考えれば、車椅子に乗せるにも4人がかりだし、持続皮下注もしている。

また、妻は足が動かなくなってしまってから、完全に寝たきりになってしまったので褥瘡もできてしまっている。

褥瘡(じょくそう)とは、寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうことです。 一般的に「床ずれ」ともいわれています。

日本褥瘡学会(http://www.jspu.org/)

褥瘡の悪化を防ぎ、治すため定期的に体位交換が必要で、深夜も看護師さんが体位交換をしてくれている。

体位変換とは、自力で体の向きを変えられない方の体の位置や向きを変える介助のことをいいます。

ヤマシタ、シマシタ(https://www.ycota.jp/)

さらに自力での排泄ができないため、摘便もしなければいけない。

摘便は、直腸に指を入れて便を排出させるケアです。

ナース専科(https://nurse-senka.jp/)

つまり”24時間体制”でケアをしなければいけないということ。


まだまだやることはあって、退院しても通院は必要。

病院までどうやって移動するのかも考えなければいけないし

ベッドから車椅子かストレッチャーかへの移乗方法なども考えなければならない。

病院では4人がかりでやっているんだから。


お義母さんには毎日面会するにあたって

「妻の髪をとかしてあげたり、背中をさすってあげたり、背中のしわを伸ばしてあげたり、足をマッサージしてあげたり・・・差入れする以外にもできることは沢山あるので、やってあげてください」

とお願いしていた。


だけど、お義母さんに「最初にお願いしたことやってくれていますか?」と聞くと。

「だって、可哀そうで触ったりできないし、足なんか見られないよ・・・」とか。

(※足は力が入らないため、骨と皮だけのような状態。さらにかかとは褥瘡(床ずれ)で真っ黒になっていて痛々しいからだと思う)

「看護師さんがケアに来ると、見てられなくて部屋の外に出ているんだよ」と言うだけ。

食べ物の差入れをしたり、冷蔵庫から飲料をとってあげたりはしてくれているが、それ以外は何もしていないみたい。


先日購入した免疫力を高めるレシピ本をリビングにおいているが、手もつけていない。

毎日3食、栄養バランスを考えた食事を作れると思えない。

病院でやっているような体制でケアできるとは到底思えない・・・


お義母さんと話をしていると、最後はいつも退院の話になる。

だけど、いつも「入院しているのが可哀そうだから退院させたい」というだけ。

具体的に「自分が何をするか」という話はしてこない。


正直なところ、風邪の娘を看病するくらいの軽いノリしか感じられないのだ。

とりあえず、叔母さんも来るし、誰かがやってくれると思っているのかな。


うちに滞在するようになってからも、私に対して

「掃除機のゴミ捨てておいて」とか、

「ガレージから自転車出しておいて」とか、

「自転車のサドル下げておいて」とか・・・

「そこまで私がやってあげないとダメなの?」ということをお願いされることが多かった。

この人は、誰かが面倒見てあげないとダメな人なのかもしれない。


これまで溜まっていたものもあって、今日は

「今の状況で、病院で看護師さんがやっていることを、お義母さんは毎日できると思いますか?」

「俺はかなりケアしているつもりです。」

「だけど、それでも俺には自信がないですよ。」

と思わず言ってしまった・・・


でも、お義母さんは「だけど病院では可哀そうだから・・・」としか言わない。

「私がやるから大丈夫」とは決して言わなかった。


お義母さんは妻にも同じ話をしたみたいだった。

だけど妻には「退院するのが不安」と言われたようだ。

だから私の方から妻に言って説得して欲しいみたい。


「妻が不安なのは私が考えているのと同じ理由じゃないかな?」と思った。

だけど、そこまでは言わなかった。


実は退院のことについては、妻と普段から話をしている。

だけど、今のところ妻はお義母さんを当てにしていない。

私が介護することをベースに、私の負担を減らすには、どのようなサービスを使えば良いかという方向で、考えているみたいだ。


だけど、私は妻が人生の最期を迎えるにあたって「母親なら娘の最期を看取ってあげたいんじゃないかな」と思っている。

だからお義母さんにも携わってもらいたいのだが・・・

他力本願な感じが気になっている。


あとは、妻が病気になってからお義母さんと話をしていて気づいたのだが

お義母さんは妻のことをあまり分かっていないようだ。

なので、妻のことをちゃんと分かってもらう時間も作ってあげたいという気持ちもある。


だけど、どうもお義母さんとは話がかみ合わない。

「可哀そうだから」と言うんだけど、それは自分の気持ちであって、妻の気持ちが全く入っていない。

妻は前向きな性格なので「早く退院して家に帰りたい」という気持ちで頑張っているが、「自分が可哀そう」なんて1ミリも思っていない。

病院は「安心」だけど、実家では「不安だ」と言っているのだ。

なのに「なんで不安なのか?それを解消しよう」という話にはならないのが、かみ合わない原因。


ただ可哀そうなんて軽い気持ちで退院したら悲惨な結果を招くのは目に見えているんだけど、そこにまで考えが至っていないみたい。

その人の考え方なので気持ちは尊重したいと思う。

心配している気持ちはわかるし、とてもありがたいお話ではあるんだが・・・

何か自分の気持ちだけが先行しているのが、ちょっと気になっている。


なんか、今後もめそうな気がするな・・・

嫌だな・・・

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