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「存在しない恋バナ」を喋ろうか

〈4004字〉

たまにはいいでしょう。


存在しない恋バナ

①音痴な人

昔好きだった人が若干音痴で、周りの友達からいつもいじられてたんですね。そんな彼にも十八番がありまして。それもやっぱちょっとずつ音がおかしい。けどいつもめちゃくちゃ気持ちよさそうに歌ってるからそれ聞くのが好きで、今でもその曲はその時の変な音程で脳内再生されます。

考えてみたらなんかめっちゃいい感じの「存在しない恋バナ」ができたので、量産してみました。


②漢字が苦手な人

現代文の授業で丸読みさせられたんですね。で、彼はあんまり漢字が得意じゃなかったらしく、よく読むときに詰まってたんですよ。だからよく先生から読み方を小声で教えてもらってて。その度に毎回丁寧に「ありがとうございます」って言って読み進めるところがけっこう好きでした。

こういう人が好きというか、こういう理由で人を好きになれる人が好きかもしれない。


③テストの点数を競ってた人

毎回座席が出席番号順で前後になるからテスト期間だけひたすら点数を競ってた男子。そいつに関して知ってるのは、数学はいつも私よりも出来て、英語はとんとん、古文が苦手ってことだけで。何度もテスト勉強を一緒にしようって誘おうとしたけど結局誘えないまま卒業した。

ちなみにこの2人はモデルがいる。けど別に恋ではなかったので「存在しない恋バナ」です。


④振られた人

当時の恋人に振られて、一番の親友に愚痴を聞いてもらった。もう終わったことやしネタにしたかったから笑って喋ってたのに終始親友の機嫌が悪くて。おかしいな心配やなと思って理由聞いたら「照れ隠しが下手なあんたの惚気が好きやったのにな」とか言われてどうしようかと思った。

性別、どっちでもいいね。


⑤字にクセがある人

ひらがなの「ふ」の1画目と2画目を一筆で書いたり、ひらがなの「そ」を2画で書いたり、木へんの2画目をはねて書いたり、これ全部昔好きだった人の字から受けた影響。

ちなみにみゆ3情報、「ふ」と「そ」の書き方はガチです。しかし恋愛は一切関係ありません。


⑥ミステリアスな人

恋人、陰キャというかまあ寡黙な人で。自分の好みのタイプが「ミステリアスな人」だったからまあ付き合えてラッキーって感じだったけど、2人きりのときに喋ってくれた話が「夜中の赤信号は渡っちゃう」だったから、あまりに人間味があって、その瞬間もっかい好きになってしまった。

このへんから主人公の人格を意図的に自分ではない人物にしてみた。私はミステリアスな人別に好きではないので。


⑦理系の人

好きな人が理系に進むからって理由で理系を選ぼうとしていた時期が一瞬だけある。担任との二者面談で、数学の成績見て止められた。

似た話は実際あった。


⑧放送委員の人

まあ昔から朝は弱かったから学校に着く時間もわりとギリギリだったんですけど、あるタイミングで好きな人が金曜日に朝の放送をするようになったんですよ。その人の声が好きだったから毎週金曜日は気合いで早起きしてました。親への言い訳、めっちゃ下手だっただろうな。

存在しない恋バナだけど主人公の人格はけっこう私。


⑨共感しない人

よく「女は問題解決より共感を求める」なんて言われるけど。いつも私が「おなかいたい~薬嫌い~」ってうだうだしてたら「飲めば治るんやから飲みなさい!」って感じで一方的に言いつけてきた当時の彼氏のことはけっこう好きだった。

主人公の人格はけっこう私シリーズ。


⑩映画を見たい人

とある映画、一緒に行く約束したのに私のせいで予定が合わず結局公開終了してしまって。「しゃーないね~」って気にしてなさそうやったけど、この前アマプラで見られるようになったからまた一緒に見ようって誘ったら「ほんまは一緒に見たかってん」って。心の底からごめんってなった。

これ全部ツイートで書いてるから字数が限られててなかなか苦しいことも少なくない。けどツイートくらいの長さに収めるのが様式美だよなとも思う。


⑪イヤホンと小声な人

よくイヤホンつけてる時の呼びかけが聞き取れずに「ごめん何て?」ってやっちゃうけど。この前たまたまイヤホンの音もノイキャンもつけ忘れてる状態で過ごしてたら小声で「けっこう好きなんですけど」って言われてた。とりあえず「けっこう」がなくなるまでは気づかんふりしよ。

しばらく音楽聞かないんでしょうね。


⑫お姫様抱っこの人

他校の友達が体育大会で彼氏にお姫様抱っこされてる写真をSNSで見た。「よくやるよな、恥ずかしくないんかね」って若干引いてたら、「えっ!」って思いのほか大きい声でびっくりされたけど、えっ、そんなキャラじゃなかったやん。

「全ては語らない」に味を占め始めた。


⑬カメラが好きな人

付き合う前、カメラが趣味の彼が撮った写真をよく見せてもらってた。自然とか電車が多かったかな。何も詳しくないなりに写真見るのけっこう好きだったのに、そういえば付き合ってからはほとんど見せてくれない。

今度見せてもらいましょう。


⑭バカップル世界1位の人たち

「世界幸福度ランキングってあるやん。あれ自分が国作ったら1位になれたりするかな」 この人に国を治める能力はなさそうだけどなと冷静に考えてたけど、国民は私とこの人だけらしい。なるほど?たまには妥当なことを言うんだな。

「私」はいたって冷静です。


⑮ドルオタの彼女な人

付き合う前からこの人がドルオタであることなんて分かってたし、「推し活も許容できない恋人なんて余裕なさすぎ」って思ってます。けどそんなに「かわいい〜」って言うなら、それ私には言わないでね。言われても信じないからね。

かわいいって言うな、でもないし、私にもかわいいって言って、でもない人。


⑯ドルオタの友達な人

友達に彼女が出来たらしい。けどまあ俺らの関係性が変わるわけでもないし、いつもみたいに推しの可愛さを共有してた。で、珍しく今日はこいつめっちゃ真剣に写真探すやんって思って。あれ今思ったら絶対彼女見てたやん、うわなんか腹立ってきた。

真相はいかに。


⑰ドルオタな人

推しっていいよな、いつでも可愛い。この可愛さは自分が知ってるだけでは勿体ない。とりあえず友達にも見せよう……あー、この写真は前一緒に帰ったときか。この後手繋いだ時の表情、また見れたらいいな。けど手繋いだら写真撮れない。まあ誰にも見せることないし、いいか。

これ個人的にトップクラスに気に入ってるやつ。フィクション書けない代表の私がよくこんなの書けましたね。


⑱同じ本の上下巻を読む人たち

ぜんっぜん本なんて読まないのに、好きな人が委員会の仕事してるから図書室来てしまった。何を選べばいいか分からないから、カウンターで聞いてみた。彼女が読んでるのは下巻らしかったから、上巻を借りてみた。数週間前には彼女がこれを読んでたのか……自分のキモさに引いた。

思春期男子を書いてみたかったやつ。


⑲貸出期限を延長する人たち

好きな人と話すためだけに本を借りたけど、読書に慣れてないから読み切る前に期限が来てしまった。仕方がないから返しに行ったら好きな人がいて。「こっそり期間延長しちゃう?」なんて、優等生はそんなことしちゃいけないんじゃないのか? 一瞬葛藤した後、首を縦に振った。

これも字数が苦しかった。


⑳ご飯を食べる人

毎日お弁当を食べてるあの子の表情をこっそり見るのが日課であり、1日のクライマックスです。と思ったら、5,6時間目の調理実習でもう1回クライマックスを迎えてしまいました。けど隣の奴から「見すぎ」って言われました。打ち切りです。

「美味しそうにご飯を食べる人が好き」な人が好きです。


㉑いっぱい食べてる人

「少食な女の子よりも幸せそうにいっぱい食べてる女の子のほうが好きなんやろ?」ってめちゃくちゃドヤ顔してくるけど、付き合う前は少食やったやん。

大食いの女の子を書こうとしたやつ。多分この2人は長続きする。


「フィクション」の難しさ

全部ここまで、「ない」ですよ。

ないですけど、どうしてもフィクションを書くことに慣れてなさすぎて1人称の人物が自分になってたり自分っぽかったりします。だんだん慣れてくるのでフィクションっぽくなってきます。どっちのほうがフィクションとしての面白みが強いのでしょうか。せっかくならみなさんに刺さる「存在しない恋バナ」がしたいですけどね。みんなどれが好きなんだろうね。

恋バナって言うと当たり前ですけど主語「私」になることが多いじゃないですか。だからこの「存在しない恋バナ」という遊び自体、方向性が2択あるんですね。

①主語「私」で、存在しない話をする
②登場人物から全部架空の、存在しない話をする

①のほうが、自分の好みの文章は書きやすい。けど自分好みの「存在しない話」を作るのってけっこう難易度が高い。
その点、②は全部自由なので、べたべたに甘い話でもあんまり羞恥心を刺激されずに済むし、男子が主人公でもいい。

今までのnoteもそうですけど、私はほっとんど毎回「事実」や「本当の感情」を書いてきたので、この「ない恋バナ」を通じてフィクション生産力が増せばおもしろいな~とか思います。

自分の調子がよかったら第二弾あるかもしれないし、ないかもしれません。


おまけ

〇絶対にない恋バナ

付き合う前、カメラが趣味の彼が撮った写真をよく見せてもらってた。桜とか猫とか電車とか。誰がアルツハイマーや。

⑬の派生。これ有名になりすぎて最近は「桜、ねこ、電車」じゃなくなってたりするらしいですね。


〇本当にあった恋バナ

元カレから物理基礎を教えてもらってて。もう全然分かんないまま話を聞いてたんですけど、シャーペンで書いてくれた「動滑車」って字を見て、こっそりずっと書き留めていた「好きなところリスト」に「さんずいへんが綺麗」を書き足しました。

絶妙にフィクションっぽくて気に入ってます。
あと正直「さんずいへんの綺麗さを好きだと思える私」が好きというのは大いにあります。


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