見出し画像

ネガティブ、ネガティブ、ネガティブの森

〈3011字〉

私はよく病むのですが、病むとツイートが饒舌になるという特徴があります。文脈とかを完全に無視できるようになります。

結果、いろんな作家っぽさをインストールして、元気な私にはちょっと書けないよな、みたいな気持ち悪い文章を書くようになります。

昼までぐっすり寝て起きた私が、冷静に振り返ります。

ネガティブ、ネガティブ、ネガティブの森

未来、未来、未来シャッター

胡乱、胡乱、胡乱……

昨晩午前0時15分、ここから始まりました。
何でしょうね、3回同じことを繰り返す3つのツイート、うーん、3部作3部作とか呼んでおきますか。

どうでもいいけど胡乱って熟語の響き好き。やけどなんか言葉の響きから想像する意味が若干ズレてる気がして気持ち悪い。


ソイラテをぐびぐびと飲み干しながら乾ききった笑顔でドライアイスの煙みたいに高らかに響く声で誰かを呼ぶその、目頭から明るめのビームを出せるよというようなその、登場人物全て私の遠い親戚だと言わんばかりの、その、影を、ずっと必死に追いかけてみると辿り着いた桃源郷の、露

なにこれどうしたらいいんこれ

本格的におかしくなってきた。
多分ここから続く一連のツイートも、今読んでる『夢で会いましょう』(村上春樹・糸井重里)に影響をかなり受けている気がするんだよな。


選民思想にアカデミックな反論を叫ぶマトリョーシカの民族衣装が風のたなびきを赦したときに初めて生まれ落ちる甘美な収斂の分、膨張しうる定義の汎用性を、思い浮かべるきみの心に浮かぶ笹舟

選民思想ってユダヤのやつでしょ。マトリョーシカはロシアで、笹舟は日本。めちゃくちゃです。
ちなみに笹舟が浮かぶ前に方舟が浮かんで頭から消しました。明らかにミステリ小説の影響を受けそうになっていますが、最近私にミステリが向いていないことを自覚したので読まないと思います。


ああ〜

お前も大変ね。


手に汗握る橙の羽化を見つめ続ける星々だって、本当は自身の誕生から消失までを、誰かに、御母に、見守られたかっただろうに、瞼を失ったばかりに涙ひとつ流せやしない

橙は羽化しません。鏡餅の上で突然羽化なんてされたらたまりません。
あと私ポエマーになるとき「~(可能)やしない」って表現を使いがちなんですけど音の響きは別にそんな好きじゃない。


液晶に幽閉されたその棘から逃れられた安堵を隣人に譲ろうとして躓くローファーの、澄んだ輝きと抑えられない情欲

「ローファー」以降の言葉選びは悔しいけど好きだ。


みなさんこれが認知シャッフル睡眠法、睡眠抜きです

鬱の寝かしつけに忙しい人、みゆ3

認知シャッフル睡眠法。全く関係のない言葉を思い浮かべていくと眠気がやってくるやつですね。


啜る羊水の叡智、泉と湖面に揺蕩う乳白色のアルカリ土類金属に手を、足を、かざし、読み取る神経回路と盗用試金石の傷口、水晶と金剛石が見つめる先に咲く花

すごい、冒頭4文字でもうキモい。
これ朝になって読み返したら思った以上に文意が通りそう(私目線)になっていて驚きです。もっと意味分からんものとして書いたのに。

まず「アルカリ土類金属」は完全に語感だけで選んだけど、なんとバリウムはアルカリ土類金属らしい。手足をかざしているという文脈はレントゲンを連想させますが(ちなみにこれも偶然)、妊娠中はレントゲンを受けるな。そしてバリウムを飲むということは胃かどっかだろ。
繋がりはあるけど依然として支離滅裂です。でも構いません。文脈なんてないほうがいいのです。ここはネガティブの森ですから。


分かった、何の世界観がよぎるのかと思ったら、平沢進だ、やめろ脳内に平沢進を飼うな

「えんとろぴーやん」と、ご丁寧につっこんでいただきました。八百万の谷を越えています。


こんな支離滅裂でも自分のツイートちょっと好きなのむかつくな

せやな。


精神を痛めつけて産んだ我が子は可愛いですか

せやな。


明日冷静になった時にでもnoteにしよう、キモすぎやろとか言ってるんかな

ちょっとだけな。


先生、植え方はどのようですか
天に届くほどの深ささ
先生、虫が出てきてはたまりません
案ずるな、きみもきっと一昨日の夢では虫より恐ろしい何かだったのさ
先生、もう掘り返してもいいですか
こらこら、分割しなさい
先生、落ち葉が足りません
吹けばとぶようなものは、いずれ吹いてくるさ

この前に、さつまいも食って嬉しそうな私の写真を見たので、さつまいも→甘藷→甘藷先生(青木昆陽)の連想ゲームから書いたものです。文字数が足りたのなら、焼き芋を食べるところまで書いたでしょうね。当社比ですが、このあたりから徐々に文脈が生まれ始めています。元気になってきたのでしょう。意図が生まれるとだめですね。ここから勢いは下り坂。

「一昨日の夢」以降はカフカの『変身』、「分割しなさい」は『握手』(井上ひさし)に登場するルロイ修道士の教え「困難は分割せよ」の影響を受けていると思います。(今調べたら、デカルトの教えであるというのが正確らしい)


とんでもないってことは、キロでもないってことですか。
もしそうであるならば我々はもう懐かしい場所に還ることはできないのだろうね。
仕方がないから般若心経を唱えながら銀河を巡る旅をしようか。コラーゲン状の生物が返事をしてくれるかもしれない。

実はこれ普通に反則をやってる

こんなことを書くと、渾身のネタを自分で説明しているような無粋さと羞恥を無視できませんが、1文目は「トン(t)」と「キロ(kg)」ですよね。
で、調べたんですけど、なんとトンより大きい重さの単位って存在しないんですね。知らんだけであると思ってました。
ので仕方なく、キログラムではなくキロバイトということにしてやりました。
帰路だし、寺だし、ぎ(ん)がだし、ペタ(グー)ですね。
普通にダジャレを言うおじさんになってきました。
なんか、いろいろと、不死鳥の指揮者を思い出してしまって癪です。


谷川俊太郎と宮沢賢治もおる気がする

せやな。
銀河って聞くだけで宮沢賢治が思い浮かぶようにプログラミングされてるし、宇宙人が返事をするという発想はめちゃくちゃ谷川俊太郎っぽい。


たのしくなってきた

よかったな。
ネガティブの森の出口は近い。
楽しくなってしまったらもういい文章は書けない。惜しい。


心ゆくまで賛美歌を浴び、顔を洗って靴下を履いて暮らしましょう。
前髪が揺れるたび、口角を2ミリ上げて歩きましょう。
眠くなったら、思い当たる嫌なことを4つほどトイレに流して差し上げましょう。
伝説のマナー講師はそう言いながら、道に落ちている涙を全て拾い上げて天寿を全うしたそうです。

若干村上春樹を感じないでもない。いやまあ、平沢進か。
実在する記憶をもとに書いてしまっている時点で、もうだいぶ正気です。正気の私が狂人をやろうと無理をしています。


ガンジス川で沐浴をしたら人生が輝き出したよ。と語る赤ん坊を羨ましく感じたインディアンは、セーヌ川に寄り道をしながら宇宙へと葬られたようでした。アムステルダムでは風車が全てを見つめていました。

「インディアン」は『インシテミル』(米澤穂信)。
「セーヌ川」「アムステルダム」は合唱曲「思い出すために」(作詩:寺山修司・作曲:信長貴富)。歌ったことないです。もうだいぶ自力で文章を書けなくなっている。


出口

お疲れさまでした。お帰りの際は足元にご注意ください。蜘蛛とネンジュモに気を取られないように。

……だめだな。回復してしまった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?