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講座 「どんぐりの草木染」レポート

みなさんの着ている衣服などに使われる布は、化学染料やカラーインクを使って染色やプリントを行っているものがほとんど。しかし、今から150年ほど前まで、たいていの布は自然の草木でつくった染料で染められていました。今回行った講座「どんぐりの草木染」では、昔ながらの染色方法「草木染」について学び、実際に染色体験を行いました。この記事では、当日のレポートをお届けします。

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ずっと好きでいられる、自分にしかつくれない、自然のもの

今回の講座は遠野市附馬牛町に住み、草木染の工房で10年ほど働いていた経験を持つ、千葉 敦子さんを講師に開催。千葉さんは、遠野の情報誌「パハヤチニカ」で草木染に関する連載も執筆されています。


最近は自宅で家事と夫の千葉 和さんの仕事の手伝いが中心の生活を送っているという千葉さん。最近は草木染から遠ざかっていたとのことですが、つくる大学事務局スタッフからの「自然のものを使って、ずっと好きでいられる、その人にしか生み出せないモノをつくれませんか?」という相談に共感していただいたことで、今回の講座が実現しました。


イベント当日・どんぐり染めを体験

当日は、千葉さんのご自宅のまわりで収穫した、たくさんのどんぐりを使って草木染に挑戦しました。

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草木染とは、草木を煮出してつくった染液に、綿や羊毛、絹などの天然素材の布や糸などを入れて染めること。化学染料で染めたものに比べ、日光による色あせや摩擦に弱く、同じ植物を使ってもその季節や条件などによって色の具合が変わるなど、弱点もあるようですが、繊細な行程で生まれる自然な色合いや自分が手をかけて染め上げる体験が、草木染ならではの楽しみです。
今回使った”どんぐり”も、基本は秋らしい「どんぐり色」に染まるのですが、媒染液(アルミニウム、鉄、銅など)の違いや染液の違い(1番煎じ、2番煎じなど)によって、深い茶色や桃色に近い茶色になったりします。

◎どんぐり染めの手順
 1.どんぐりを洗い、汚れを落とします
 2.鍋でどんぐりを煮込み、染め液をつくります
 3.染め液に毛糸を入れてコトコト煮込みます
 4.好みの媒染液につけます
 5.4~5を染めたい濃さに合わせて2~3回くりかえします
 6.水ですすぎ洗いし、日陰で干して乾かします

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5名の参加者みんなでテーブルを囲みながらの染色作業。毛糸が自分の好みの色に染め上げられるように、温度や刺激に気を配りながら作業をしました。
長い時間どんぐりと毛糸に向き合いながら、千葉さんから草木染の原理の話、染料となる植物の話などを聞き、終始おだやかな雰囲気の中、おしゃべりの絶えない時間になりました。
参加した方々からは、
「初めて草木染を体験し、新鮮でおもしろかった。草木染というものの奥深さを知った」
「また違う染料を使った草木染の講座を企画してほしい」
「千葉さんの人柄もあり、ゆったりとした時間で草木染に向かうことができて心地良かった」
といった感想をいただきました。

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とても繊細で、多くの工程を丁寧に重ね、「今、自分が染めた」からこそ生まれる色合い。草木染めの奥深さと楽しさにみなさんとても感動していました。
また次回、今度は違う季節の草木を使って、草木染の講座を開催したいと思います。

<講座詳細>
どんぐりの草木染
日時:2019年11月16日(土)10:00~15:00
場所:小上がりと裏庭と道具U
参加費:1,500円
必要なもの:お昼ごはん、軍手、ゴム手袋、(カセットコンロ)       
 <講師プロフィール>
千葉 敦子
遠野暮らし歴30年。2001年まで伝承園や遠野ふるさと村の工房で染め物に取り組む。遠野の情報誌「パハヤチニカ」で”草木染工房日誌”を連載。
現在は附馬牛町の山の麓で、夫の仕事を手伝いながら暮らしている。          

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