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レインボーシックスシージを初心者に理解してもらうには

 9月25・26日に、X-MOMENTが主催するRainbow Six Siege Japan League(通称:RJL)の最終節が行われた。3月に行われた第3節以来、実に半年ぶりのオフライン開催となった今節では、人気ストリーマーによるミラー配信や、公式による初心者向けサブ配信、豪華プレゼントが当たるTwitterでのRT企画などコンテンツが目白押しだった。

 特にミラー配信によって、シージを初めて見る人の目にこのゲームの存在が知られることになったのは運営側の狙い通りだっただろう。それと同時に、シージを初心者に理解してもらうことがいかに難しいのか、というのも明らかになった。

 シージは5vs5のタクティカルFPSゲームで、攻撃側・防衛側に分かれて攻撃側は防衛側を殲滅するか、指定されたポジションにある爆弾を解除することが勝利条件となる。逆に防衛側は攻撃側を殲滅するか制限時間内に爆弾を解除させなければ勝利する。このゲームの最大の魅力はいかに爆弾を解除させないか、あるいは攻略するかの戦術幅にある。建物の壁を破壊したり、補強したりすることによってマップを自由にアレンジすることが可能で、平面だけではなく上下での戦いも行われる。どこを「工事」(マップのアレンジのこと)するかによって、防衛側はいくらでも守り方を変えることができる。一方で攻撃側もそれぞれのオペレーター(シージ内でのキャラクターの呼称)の持つガジェットによって、防衛側のガジェットを破壊しながら攻め方を自由に決められる。

 FPSの魅力である純粋な撃ち合いに加え、限られたガジェットをどう使用しどう攻める・守るのかという作戦を組み立て実行する、まさに特殊部隊vsテロリストのような戦いを実際に体験できるのがこのゲームの醍醐味だ。そしてこれを可能にしているのが豊富なオペレーターの存在でもある。仮に防衛側がAというオペレーターを用意した場合、それに対抗するアンチピックのような存在として攻撃側がBというオペレーターを用意する。さらに防衛側はそれに対抗してCを……というように、相手の作戦を読んだ上でのオペレーター選びがカギになる。さらに、ラウンドごとにオペレーターを変更できるため、毎ラウンドその読み合いが発生するのだ。

 しかし、これが初心者へのハードルを上げる最大の要因の一つでもある。オペレーターは現在攻防合わせて61体存在する。彼ら一人一人に固有アビリティがあるため、これらを覚えなければ「訳も分からないうちに殺された」というシチュエーションが起きてしまう。さらにここにマップ構造の要素が加わる。シージは立体的なマップ構造であることもあり、ミニマップが存在しない。そのため、現在20あるマップ(ランクでも12マップ)の構造をなんとなくでも把握する必要がある。よく「シージは覚えゲーだ」と言われる所以はこのあたりにある。

 シージにはニューカマーモードという、クリアランスレベルが低いプレイヤーだけが集められるモードもある。また勝ち負けもこだわらないのであればカジュアルモードもある。でもまずプレイをしてもらうには、プレイ動画を見て「面白い」と思ってもらう必要がある。

 私がこのゲームを知ったのは、ゲーム実況者「ペリカン」がきっかけだった。元々は彼のポケモン実況動画を見ていたのだが、シージをプレイしている様子をたまたま見かけた。彼がこのゲームを楽しそうにプレイする様子を見て、そして作戦立案というこのゲームの醍醐味を感じることができて、PS4でシージを始めた。今ではゲーミングPCも購入してプレイするようになった。

 自分がよく見る実況者、配信者がやっているゲームをやってみたいと思うのは視聴者の心の常だろう。もちろん実際に初めてみるとハードルは高いのだけれど、それでもそのための一歩を踏み出せるかどうかに大きな違いがある。そういう意味でも、RJL最終節のようなミラー配信や、ストリーマーカップ「ロイヤルフラッシュ」のような企画はもっと行われるべきだろう。「大手配信者頼りかよ」というコメントは配信でよく見かけるが、それの何が悪いのか。テレビCMや企業広告も人気女優・俳優を起用していて、それと同じではないだろうか。有名人にやってもらって面白さを実感してもらう、それができなければ初心者にやってもらって面白さを感じてもらうことも難しい。有名人にプレイしてもらい、彼らにいかに楽しいかを伝えてもらうか、そのための企画が求められる。

 それと同時に文字コンテンツが不足しているという実感もある。これはシージ以外のタイトルにも当てはまることなのだが、ゲームの魅力はもちろんのこと、競技シーンで活躍するプロ選手たちの素顔や、インタビューといったものが現状ではかなり足りない。選手たちにとってみれば「プレイを見てください」ということもあるだろうが、それでも応援するファンにとって少しでも喜ばれるコンテンツをと考えるとやはり彼らのことがわかる記事はもっと増えてもいいのではないか。

 そういう部分の一助となれたらいいなと思って、このnoteを書いている。魅力的な選手が世の中にはたくさんいるんだということも含めてなんとか発信していけないだろうか。


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