見出し画像

面麗良落研入会期

みなさんこんにちは。
落研会員の瓦家面麗良(かわらや・つらいよ)と申します。
本noteでは、面麗良が落研に興味をもった日から現在までを振り返ります。
なお、面麗良を名乗る前の話が含まれているので、その際は「天野」という仮名を使用します。予めご了承ください。それではしばしお付き合いください。

序章:天野(仮名)が落研ねぇ~


「落語研究会に入ってみたいと思ってるんです!」
「そぉ~か、そりゃいいな。向いてるかもな(笑)」

筑波大への進学が決まった日、職員室でお世話になった日本史の先生とこう話した。
長くしゃべると口の両隅につばがたまるタイプの人で、その時もたまっていた。
溶いたばかりのメレンゲのように泡立っていたことを覚えている。
忘れることはないだろう。
きっと。

そのメレンゲをぼんやりと見ていたわけだが、そんなとき隣の席に座っていた世界史の先生がひょっこりと顔を出し、

「天野が落語ねぇ~ふふふふふ」

と言いながら、もぐらたたきのもぐらが穴に隠れていくぐらいのスピードで、ゆっくりと物陰に沈んでいった。

学生時代よくやっていた彼の物まねは、成人式でやっても結構ウケた。

私が筑波落研のことを考えるようになったのはこの時だったような気がする。
かすかに覚えていた記憶を手繰り寄せてみた。
愉快な先輩、同期たちと落語だけじゃなくへんてこりんなことをしたいと思っていた。
だが、それがだいぶ後になることは知る由もなかった……。

第一章:陸の孤島で遠のく落研


「新1年生はしばらく筑波にこないでください」。

新年度スタートの2020年4月1(2日?)、たしかこんな感じのメッセージが大学から来た。新型コロナウイルスが感染し始めた時期だから、まぁ仕方ない。
そのとき実家に居れば、引っ越しを一時踏みとどまったかもしれない。
“実家に居れば”ねっ!

もう時すでに遅しだったのよ…。
そのメッセージをつくばの新居で受信したんだから。

あの日は“しとしと”と雨が降ってた気がする。
「噂通り独房みたいだね」と宿舎をけなし、当の本人は近くのきれいな新居(アパート)に向かった。今思うと、例のメッセージは、宿舎を罵った罰かもしれない。ごめんなさい。

私は、4月1日の10時ごろ、つまりメッセージを受け取る数時間前、
期待に胸を膨らませ、筑波に上陸した。
「上陸」と表現したのは、私が海兵だからではない。
筑波は「陸の孤島」と言われているからだ。そんなこたぁはどうでもいい。

でも確かに「孤島」だった。
入学式も新歓もなく、授業はオンライン。土曜授業だってある。
誰とも会わず、ずーーーーっと部屋に籠っていた。
というのも一人は嫌なタイプなのに、Twitterコミュニティが苦手だった。
そんなことだから友達もできるわきゃあない。
わんわんランドに行って犬と触れ合ったり、近所のホームセンター(後のバ先)でお花を買って育てたりして孤独をしのぐ日々じゃった。

そんな感じで、生活するのに精一杯。
落研に入るということがどんどんどんどん頭から遠のき、記憶の片隅に追いやられていったのであった。

第二章:落研に声を掛けてみたよ!?!?!


再び落研が頭をよぎるようになったのは、入学してから5か月後の9月。
授業にも段々慣れてきて、生活に若干の余裕が出てきた。

「何か始めてみようかな」。

そう思った瞬間、頭の中に「落研」という2文字がよぎった。
そういえば、落研に入りたいと思ってたっけ。
急に胸がワクワクしてきたのを覚えている。

だが、同時に不安も襲い掛かって来た。
入会するのだいぶ先送りにしちまった。
今頃、何人も1年生が入ってて、落語ばりばりやってんだろうな。
そんでもうコミュニティとかできてんじゃねーの?
「今頃入って来たなコイツ。ケッケッケ」とか思われるかも??

<一旦思考を停止し、トイレへ。トイレから戻ってきて思考再会>

うわー、声だけはかけときゃよかったな。
ケロロ軍曹全巻買ってアニメまで見てる場合じゃなかったぜ。
まじてしくったなぁー。

ベッドにダイブし、しばらくくるくると転がっていたが、疲れてきたのでやめた。
もうすぐ夏休みが終わる。
声を掛けるには絶好のタイミング。今しかない。
恥ずかしいけど、後悔だけはしたくない。うおーーーーーーーーーー。

そんで秋学期が始まると同時に落研のTwitterに声をかけてみることにした。

第三章:いざ、落研!


「実は天野さんが今年度初めて入部希望者です」。

ん?え?はい?

入部希望のメッセージをTwitterのDMに送ったら、こんな返信が帰ってきた。
うそやん笑?!(自分は関西出身ではないが、こういう時は言いたくなるものである。)

最初は困惑したが、少し安心した自分もいた。
既に新入生のコミュニティはできていなかったのだ!
疎外感0で参加できるうれしさ!くぅ~しびれるぜぇ。

そう思うのにもわけがある。
余談だが、秋学期になり初めて同学類の大勢の人々と交流する機会があった。
自分はほとんどの人と「はじめまして」だったが、そうではない人もいたようだ。
「○○(Twitter名)君おっす~ぅ」。
「○○○(Twitter名)ちゃんこの前“えんか”した時と髪色違うね、染めた笑?」

“えんか”だとぉ?何語?
後から聞いた話だが、Twitterコミュニティで旅行もしたそうだ。
ますますTwitterコミュニティが嫌いになった(SNSを使いこなせていないひがみでもあるので、お許しいただきたい)。

少々話が脱線しすぎた。失敬失敬。
まぁ、とにかく、Twitterコミュニティの中にいる方々にまれにいる、
古参の優越感を持った人がいないということを言いたかったのである。
そんなこたぁどうでもいっか。

気を取り直して、話しを進める。
初めて落研のミーティングに参加することになった。
コロナのせいで対面開催するわけにはいかず、Zoomでの開催だった。

18時30分、送られてきたリンクを踏む。
すぐにZoomのウィンドウが開く。

「天野さん、こんにちは~」。

画面上には4人の先輩がいた。
なぜか、全員ニコニコしていらっしゃる。

「普段はカメラをオフにしていてね」。

少し照れくさそうな様子だった。

これも余談だが、案の定、
次のミーティングでカメラをオンにしたのは私だけだった。
前回の会議は無理して作り笑いをしてくださったんだろうなと一瞬で察した。
画面は、真っ黒。
先輩方の名前だけがきれいに並び、発言するとその人の枠が黄色く光る。
まるでそれは、テレビアニメ「エヴァンゲリオン」の会議みたいな感じだった。
時より、黒い画面上から、金属スプーンがガラス製の皿の上をすべる音が聞こえる。
たぶん、誰かがライスカレーを食べているに違いなかった。
つまり、鼻をほじっていようが、ガンプラを組み立てていようが、
声だけピシッとしていればいいのである。
カメラオフの沼にハマる者が続出するのも無理のない話しだ。

時を戻そう(ペコパ風)。
先輩方は、私が新入生ということで、いろいろ根掘り葉掘り質問してくださった。

「どうして落研に興味もったの?」。
「落語は見たことあるの?」。
「出身は?」。
「学類では何を学びたいの?」。

最初はポンポン進んだ。
でもそれにも限界がある。
いくつか質問されるごとに、魔の沈黙タイムが訪れる。
気まずいったらありゃしない。
私は、こういう時間が一番堪えられない。
そもそもどういう顔をしていたら良いのか分からない。
ただニコニコしていれば良いのか。
それとも真面目な顔をしてへの字口をしていれば良いのか。

あれは4,5回目くらいの沈黙タイムだった。
たぶん先輩たちが考えていた質問集が尽きたのだろう。
沈黙がやけに長かった。

耐えられなくなった私は、とうとう自分から先輩方に質問をしだした。
「しだした」というと何か他人事のようだが、感覚的にそうだった。
口が勝手に動き出した。

またまた余談を挟みたい。
今私は就活をしている。
就活の面接で1,2を争うほどやっかいなのが逆質問だ。
聞くだけ聞いて、今度は逆に聞いていいよというやつだ。
程よい質問を考えることはまぁ~難しい。
過去、「なぜそれを今聞くの?」と言われ背筋が凍ったこともある。

私はそんな“逆質問”を、初めてのミーティングで連発した。
今の私からすればほめてやりたい。
これから就活をする皆さま、逆質問をする力は大事ですよ、本当に、いやマジな話よ。

それからあとは全て私の逆質問タイムだった。
そこから「天野君=おしゃべり」というラベルが付いた。

もちろん、先輩方にいろいろお話を聞けてとても勉強になったし、楽しかった。
個性的で、自分にはない着眼点を持った方々ばかりで、人間的な魅力を感じた。

「落語をやってると、たまに普段話す言葉が江戸っ子っぽくなるんだよ」。
『うっそだぁ~』って思ったでしょ、あなた。
「そうなんですか!?!?」と言いつつ、心の中で『なわけw』と私も思ってた。
でもね、落研として活動するようになるとあら不思議。
『なるほど』とうなずける日がやって来る。
...自分は来た。

習いたての英語のフレーズを話せるようになるとうれしいでしょ。
一時期ずっと“That’s funny !”っていってた。何に対しても。
それと同じで、普段話すことのない“江戸っ子”的日本語を話せるようになるとうれしいのである。

まぁ、そんな感じ。

「この人たちの落語をもっと見てみたいし、自分も落語をやってみたい」。
そう思い、私は入会を決めた。

でも分かっていただきたい。
私はおしゃべり好きではない。
沈黙が耐えられないから話すのだ。
それだけ分かってもらえれば、このnoteを執筆した意味があったと思える。

第四章:落研での生活


ここから私の落研lifeについて話したい。
だいぶ、ここに来るまでの道のりが長くなってしまった。
たぶん、新入生の方々はここを一番知りたいのであろう。

では話そう。

・2020年10月に入会
・2021年3月に初高座
・同年12月に会長就任
・2022年12月に会長引退
・落研自体は引退せず、自由気ままに活動

以上(完)。

え?これだけ?って思ってるでしょ。
話は簡潔の方が良いんですよ。

もちろん、それぞれにたくさんの思い出はある。
学内のコーヒー屋さんで落語をしたり、敬老会に呼ばれて落語をしたりしたこともあったっけ。ムネアツのストーリーだってある。

例えば、文化祭終了後の打ち上げ。
会員一同、2日間大勢の前で落語をした。
お客さんからたくさん笑ってもらい、最高の2日間だった。
文化祭のしめくくりは何といっても打ち上げ!うまいもん食おう!
ってなことになってみんなで焼肉パーティー!
……面麗良を除いてねっ!!

ぼっち・ざ・つらいよ★

友達から「はぶられ記念日」という名誉ある祝日をいただきました。

そんな話どーでもいいからもっと落研での活動を教えろって?
そらぁ、新歓に来てくれたらたっぷり話す予定である。
何でも聞いておくれ(黙秘権を行使する可能性もあり)。

その話を聞いてから新歓に来るか判断するって?
そんな人は、こちらを読んでいただきたい。

https://futureship.sec.tsukuba.ac.jp/files/common/edb0f9073ee71c1a88f904414540a6a4e1e3c0c4.pdf

これは、私が代替わり寄席に出たときの感想みたいなのを書いている。
そこでちゃっかり、落研lifeを振り返っている。
時間があったらぜひ読んでほしい。

まぁ、こんな感じだ。

私として、落研に対して言えることは一つ。
会員みんな味がある。個性がある。
秘めたる面白さを持っている。

中には
真面目な人もいる。
変わった人もいる。
中国の人もいればスペインの人もいる。
おばQが好きな人もいれば、寺で修行していた人もいる。

落語について知識がなくちゃいけないとか、推しの落語家さんがいなくちゃいけないとか、
そんなことは一切気にする必要はない。
スタートは「落語知りたいな」「落語やってみたいなー」とかでいいと思う。
少なくとも自分はそうだった。

前述の通りであるが、
入会時の新入生は0人。
入会した時から次期会長が確定していた。

だがそこから、少年ジャンプの漫画みたいに次々と仲間が加わり同期が4人になった。
そして後輩もたくさん入ってくれた。
これは感無量である。

現在新2年生が1人。
その子も“次期会長”という文字がちらついている。
でも大丈夫。私の時のようにたくさんの同期と後輩たちが入会してくれると信じている。

これを読んで落研に入りたいと思ってくれる人がいたらこれほどうれしいことはない。
興味があれば、ぜひ落研に声をかけてくれ。

これで終わりだと思ったでしょ。
だが、もう一章あるのだよ。
フフフフフ……

終章:求む協力者


ここまで、よくぞたどり着いた。
もし私が読者ならば以下のパターンであっただろう。
パターン1:読む前に下までスクロールし、その長さ故に読む気がうせる。
パターン2:途中で寝落ちして最後までいきつかない。
パターン3:面白くないので別の人のnoteを読む。

そんな選ばれし読者にお願いしたいことがある。
それは、それは、それは、一緒にアルゴリズム行進をしてほしい。

口をポカーンと開けないでいただきたい。
あの「アルゴリズム行進」である。
一歩進んで前ならえして、一歩進んで偉い人して、ひっくり返ってぺこりんこして、横に歩いてキョロキョロして、ちょっとここらで平泳ぎして、ちょっとしゃがんで栗拾いして、空気をシュウッシュウと入れて、空気がピュウッピュウと入って……を繰り返すやつである。

これを一の矢宿舎からつくばセンターまでやるのである。
どうかね?壮大な計画だろう。

私が落研に入って約2年と5カ月。
好きな落語をやれた。
素晴らしい同期・後輩にめぐまれた。
本当に良い落研lifeだったと思う。

だがしかーーーーし!
アルゴリズム行進をやれていないことがずっと心残りである。
1年生の時からの夢。
これをやらずして卒業すれば、悔やんでも悔やみきれない。

だからこそ、卒業までのこの1年間で達成したいのである。
どうか、みなさんに協力していただきたい。

我こそはというそこの君。
大歓迎だ。

皆様の落研への入会を心より楽しみにしている。

以上。これで終わりにする。

瓦家面麗良

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?