「その日TSUTAYAで彼と出会った」の話
あれは、5年程前だっただろうか。
MAN WITH A MISSION(マン ウィズ ア ミッション)というバンドがYou Tubeのオススメ動画に、いつも出てきていた。
(そんなに?そんなにオススメ?)
まあ、一度聞いてみるか…
と、オオカミの被りものを身に纏い、歌う彼らのMVを見て
(ぐはぁっ……コレは……何て好みの音楽なんだ……オオカミのビジュアルも何だかカッコいいぞ……好きだ!)
当時乗っていた中古のミラは、CDしか聞く事が出来ないタイプの子だった。
(これはCDを買わねばなるまい)
在庫の確認をせねば、と最寄りのTSUTAYAに電話した。
欲しいアルバムのタイトルは
「Tales of Purefly」
テイルズ オブ ピュアフライ
(ふむ。電話では伝わりにくそうな事この上もなし)
「もしもし。CDの在庫の確認をお願いしたいんですが……」
「ハイ(ちっさい声)」
「マンウィズアミッションのテイルズオブピュアフライなんですけど……」
「ハイ?」
(やはりな)
「マンウィズアミッションの」
「はぁ……マン?」
(想定内だ)
「えっと……マンウィズアミッションです」
「はぁ……」
(あれ?全然ピンときてない……新人さん?いや、それより何より……受け答えがおじいちゃんみたいなんじゃけど、この人)
「人間のman
一緒にのwith
アルファベット一番目のa
使命のmissionで、
マンウィズアミッションです。」
「あー……」
「……」
ゴクリ。
思わず唾を飲む。
「ワンオクロック?」
工エエェェ(´д`)ェェエエ工
ダメだ、残念だが、話にならない。
「あの……申し訳ないんですけど、音楽に詳しい方と代わってもらってもいいです?」
「ハイ……」
しばらくして。
「お待たせいたしました、〇〇です!」
(声が若い!頼りになりそう!)
「あの……マンウィズアミッションのテイルズオブピュアフライというアルバム、在庫ありますか?」
「はい。マンウィズアミッションの……」
「テイルズオブピュアフライです」
「はい。テイルズオブピュアフライ……少々お待ち下さいね……。えーと……在庫、ございます」
うわぁーーー!
女神!!
「今から取りに伺います!」
イェー!
そして、TSUTAYAに到着。
車を停めて、店の中に入る。
ふと、レジを見ると……
(おじいちゃんおる!)
マジか……リアルおじいちゃんだったとは……。
おじいちゃん、何故かような店へ……
TSUTAYAにおじいちゃんって、見たことないけど?
私にしか見えてないヤツ……?
まさか……
心がざわつきなからも、アルバムを入手すれば、どこ吹く風。
すっかり頭から消えた。
あれ以来、あの人を見かける事はない……
あれは恐らく、春の夕暮れに見た幻だったのだろう……
気が向けばサポートして下さると、大層嬉しいです!頂いたサポートは私自身を笑顔にする為に、大事に大事に使わせてもらいますゆえ、以後よしなに(๑•̀ㅂ•́)و✧