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企画参加 〜#あなたの温度に触れていたくて 「あの日あの時あの場所で」

川沿いを彼が歩いていた。

私は少し足早にその姿を追うように。

風が私達の間を通り過ぎてく。


何か……
世界に二人だけみたい。 



今日は
校外学習の日。

6人くらいのグループに別れて、美術館や博物館等、それぞれ行く所を決めて電車やバスを使って行って帰ってくる。

私はウキウキしていた。

何故なら葛西君が同じグループにいるから。

去年、同じクラスになって、いつの間にか好きになってた。

今年、同じクラスって分かって、すごく嬉しかった。


始まって早々に

「正直、平均的な中学生って……
そんな美術館とか興味ないんじゃねーかな」

つまんなさそうに葛西君が言う。

私も答える。

「うん、意味が分からんし」


なーんて。


嘘なのに。

本当はすっごく楽しい。
だって、普段と違う所いっぱい見られるんだよ。
普段と違う話が出来るんだよ。
電車に乗って、距離感もいつもと違うんだ。

私だけかな。
楽しいのは。

結構、好かれてると思ってるんだけど。


そして、帰り道。

「電車代使いたくないし、歩いて帰ろう」

誰が言い出したのか、結構な道のりを歩いて帰る羽目になった。

6人それぞれのペースで歩いていると、気づけば先頭に葛西君。

次いで私。

その後は、大分離れてのんびり歩いている。

ふと。
葛西君が土手の斜面をざざーっと滑り降りる。

私も躊躇なく同じように滑り降りた。

「女子なのに、スゲーな」

「そっかー?」


何だかドキドキしてしまう。


あ。
左のほっぺたが膨らんでる。

「何食べてんの?」

「アメ。いる?」

「うん」

差し出されたアメを受け取る時に手が触れる。

はちみつレモン。

口に入れると甘酸っぱさが広がった。


「私もあげる」

リュックの中からチロルチョコを手渡した。
また手が触れた。

葛西君と目が合う。

笑った顔、カワイイな。

少し傾いた太陽に照らされて。
ちょっと眩しそうに目を細める。

細くて少し釣り上がった目が
とてもキレイ。


えっ……

これは……

アレかな?
告白する感じ?
好きって言う?

うわ。
どーしよう。

好きって言って……
告白して……

もしフラれたら?
 
え……

どうしよう。

心臓が飛び出そう。
 


「えっと……あのさ……」  

「やっと追いついた!」

後ろの子達だった。
 
「二人、はやいよー」


あー……
時間切れ。

「告白した?」

友人が耳元でささやく。

「してない!」

顔が赤くなる。

「えーっ?めっっっちゃ良い雰囲気だったのに!」


やっぱり?

勇気……
出せなかった。

後もう少し。
足りなかったな。


あの時、告白してたら
どんな風になってたかな……


とある冬の思い出。


おしまい


xuさんとゆずさんの企画に参加しました!

何とか……
間に合いました!

正直……
間に合わんかと……



めっっっちゃ楽しかったーっ!
ありがとうございますっ!!












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