ぶら美を見て知った好きな画家3選

「ぶらぶら美術・博物館」というBS日テレで放送されていた番組がありまして、私はこの番組がとても好きでした。

NHKの美術番組「日曜美術館」よりフランクに、テレビ東京の「新美の巨人たち」よりも体系的に、展覧会を紹介してくれる。あまり新しいものに手を出さない私にとって、新しい見識を広げてくれる、良い美術番組でした。
特に、おぎやはぎが出ているというのが私にとってはポイントが高かったです。おぎやはぎはどこでも、どんな番組でもおぎやはぎなので、難解な作品には「よく分からねえな」「あんま好きじゃない」と言うし、国宝・重要文化財贔屓の小木さんは美術品の値段をばんばん聞くし。『元祖ヘタウマ画家』ことアンリ・ルソーが出たときの番組の盛り上がり方が好きで、展覧会でアンリ・ルソーを見かけると、おぎやはぎの突っ込みを思い出してニコニコしてしまうようになったし、ぶら美で培ったおぎやはぎの美術知識が、普通のバラエティ番組でみられたときは、凄くワクワクしたものでした。
そんなぶら美が、2023年9月末をもって終わってしまったのは本当に残念でなりませんが、13年半続いた番組(私が見ていたのは12年くらいだったと思いますが)への感謝を胸に、番組で取り上げた展覧会を見て画家のことを知り、好きになるきっかけになった画家を3人、羅列してみたいと思います。(※画家の歴史を紹介するのではなく、あくまでも月嶋の好きという感情の風呂敷を広げるだけです)

○ジョルジュ・バルビエ
20世紀フランスで活躍した、アール・デコ様式の美しいグラフィックデザイン的な画面構成が魅力の画家です。
ぶら美との関連で言うと、2012年5月1日放送、練馬区立美術館「バルビエ×ラブルール」展を見てバルビエのことを一目で好きになり、展覧会にも行って図録も買った思い出深い回でした。
ミュシャやクリムトのような、ジャポニスム・シノワズリに影響を受けた絵画作品が好きな月嶋の心に刺さるのは必然でした。
ファッション画なのでとにかく華やかで、それでいて上品で優美な絵柄なのが好きなのですが、中でも好きな絵は『シェエラザードⅡ』。黒い背景にカーキ色を主軸に、赤色が差し色という色数の少ないながら、画面がパキッと決まっている感じが最高に好みです。

○ウィリアム・ターナー
イギリスの国民的画家にして風景画の巨匠。印象派前夜ともいわれる、光を描く空の絵画の評価が高い画家です。
印象派の人気から、影響を与えた絵画と言うことで、西洋絵画の展覧会にはよく登場するため、ぶら美でも何度も出てきましたし、2013年11月29日放送の東京都美術館「ターナー展」でも大々的に取り上げられていました。
ターナーは「印象派の前の風景画の人」というイメージで、最初はそんなに好きでもなかったのですが、番組内で何度も見るうち、光の表現や空の色の美しさに魅了されていきました。
特に晩年の作品の空気感が好きで、一番好きなのは「ノラム城、日の出」。朝の光と霧に包まれたノラム城(かどうかもわからないぐらい、輪郭線がなくおぼろげ)が青く浮かび上がっているのが、朝のしっとりした空気感を吸い込むようで好きです。
 
○フィンセント・ファン・ゴッホ
「ひまわり」の連作があまりにも有名な、その破滅的な人生と爆発するような色彩が魅力の言わずと知れたオランダの超有名画家です。
SOMPO美術館がひまわりの一作を所有していることもあって日本でも大変な人気で、ぶら美でも何度も取り上げられていました。
いろんな時代の、いろんな画家の作品を集める展覧会にもゴッホの作品がよくあるし、ゴッホ単体の展覧会も度々開催されています(最近で言うと2021年11月16日放送の東京都美術館「ゴッホ展」)。私自身、「星月夜」や「夜のカフェテラス」は元々好きだなと思っていたのですが、番組を見、展覧会に行く中で、ゴッホの花の絵がとても好きだということに気がつきました。
「ひまわり」もいいのですが、「バラのある花瓶」「アイリス」「花咲くアーモンドの木の枝」・・・・。
花の絵が元々好きなこともありますが、はっきりとした輪郭線と集団でこれでもかと主張してくる画面、破綻しない絶妙な色彩構成の、マネできないゴッホらしさがとても魅力的です。
有名すぎる画家にも、いろんな作品があって、その中には自分の琴線に触れる作品があると知れた体験でした。

ご紹介した画家は図らずも、19~20世紀の西洋絵画・イラストレーションに偏ってしまいましたが、日本人画家で言えば円山応挙や藤田嗣治の魅力に気づき、鈴木基一・佐伯祐三・渡辺省亭を知り、あまり興味のなかった仏像も興味深く見ることができるようになりました。クリムト、ミュシャ、北斎、モネなど元から好きだった画家の絵を番組で見て、改めてその魅力を再認識したことも多くありました。
番組で見て興味を持ち、展覧会に行ったことも多くて、ホキ美術館や足立美術館は番組がなければ行かなかったと思います。
自分の行った美術館・博物館の展覧会が紹介され、番組の解説を聞くと、また違った目線で見ることができたのも楽しかったです。
とても良い経験をさせていただきました。13年半、お疲れ様でした。ありがとうございました。

にしても終了は残念でなりません。またアンリ・ルソー展とかあったら特別に復活してくれないかな・・・・。

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