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イマジン

想像力ってなんだろう。

最近は家にいる事が多くて、お昼ご飯を自分で作らなければないから、冷蔵庫にあるもので何が出来るかっていう実験をしてる。これが意外に楽しくって、毎日冷蔵庫と睨めっこして今日はこれが作れるかもしれないと思う。大したもの作れるわけじゃないんだけど、うまく作ろうとしないでこれとこれ混ぜたら美味しくなるかもしれないっていう楽しさのまま作ると意外と美味しいものができる。

料理をしてて思った。「これは才能でも知識でもなく想像力と実践だ!料理は想像力!(偉そうな事言えるほどの腕じゃない)」

牛乳と生姜って意外と合うんじゃないか、この工程はプライパン汚れて絶対後々めんどくさいから省こう、糸唐辛子と胡麻乗せたら可愛い、とか。人に作る料理なら尚更だろう。これ好きかなとか、これ取ってあげたら食べやすいかなとか。まさに私が世界一好きなラーメン、サッポロ一番のキャッチコピー、「このひと手間がアイラブユー」。相手のことを想像するって、思いやりだし、愛だもんな。

こんな風に想像力って何だろうって考えてると、何でも想像力な気がしてきた。昔からセンスが良い人って料理も上手だよなって不思議に思ってたんだけど、おそらく想像力が豊かなんだろう。料理も想像力、曲に合わせて踊る事もリズムを創る事も想像力、人に伝える言葉も想像力、今日一日何をしたいかも想像力。人は自分の見たいように世界を見ているとするならば、個人個人からみえている世界もそれぞれの想像力。想像できたら、あとは想像通りになるように実行するだけ。本当はこんな簡単で単純な世界のはずなんだ。もちろん自分一人だけで生きている訳ではないから、何でも想像通りに物事が運ぶことはない。だけど、想像通りにいかなかった時こそまた新たな想像力が養われるし、その繰り返しで自分の世界が広がる事が人生を楽しくするのかもしれない。だって何をするにも、想像が出来始めた瞬間から楽しくなってくると思うから。

人はどうしても先の見えないことには不安になる。つまり想像できない事には挑戦しづらい。「今この瞬間だけを考えて生きろ」ってよく言うけど、わたしにはこれは出来ない。ついつい先を想像してしまう。多分今生きるか死ぬかっていう限界の状態に追い込まれてる訳じゃなくて、ある程度未来を自分の力で選ぶ事が出来る恵まれた環境だからだろう。もちろん明日が約束されている訳ではないんだけど、死が確定している訳でもない。

ここで、冒頭の問いに戻る。
「想像力ってなんだろう?」

私は小さい時から妄想癖がすごくて、想像が妄想に押しつぶされてしまう事が多々ある。ここで、妄想と想像をそれぞれ定義してみる。

「想像」;現実に起こり得る様々な事柄を心の中で巡らせる事

「妄想」;ストレス発散や願望から、根拠のないありえない事を事実のように確信してしまう事

定義からわかるように私は根拠のないありえない事を、ストレスのままに妄想してそこに囚われる事がよくある。

まだ行動してない事を行動した程にして自分がどうなるのか想像したり、行ったことのない場所なのに行ったと仮定してその後の自分がどうなるか想像したり。将来のこともまだ何もしていないのに、仕事が無くて一人で露頭に迷う想像をして勝手に恐ろしくなって不安になったり。何か行動をしなければ何も起こるはずはないのに、こんな風に根拠のない妄想を繰り広げては満たされたり不安になったりしてる。

わたしの中では、これは妄想癖と呼んでいる。
想像だったら、きっと何か行動を起こしたあととか行動する前提の段階でこれからのイメージを膨らませるはず。わたしは少しやりたいと思った事でも心の底では実践する気が無いのか、妄想だけして満足したり不安になったりして勝手にやめてしまう。

料理だって、作る前からあれを作ったら美味しいかな、不味いかなと考えてそれで終わらせてしまったら何も生まれない。作ってから、どんな味かなって想像して、食べてみて初めて一歩進む。そこで想像の味と違ったら、何を足せば良いんだろうとか何か余計だったかなって少しずつ成長する。

これは踊りでもそう。小さい頃から人に教わった振りをこなすばっかりだった私は、自分の想像力だけで一から曲も振りも作る事が正直苦手だった。こんなに長い間習ってるんだから頭の中には相当な数のアーカイブがあるはずなのに、いざ曲を選ぶってなるといつもやる前からこれで本当に大丈夫かなとか、作っても無いのに踊り終わった後の自分の感情とかを想像しちゃってなかなか作り始める事ができない妄想ループに入る。でも最近自分で曲を選んで振りを作ったりタップでリズムを考えたりする事をやらざるを得ない状況が増えて、やっと克服できてきた。一回決めたらもう迷わずにそれで作り始めるっていう事を自分の中の縛りにしたら、大分楽になった。曲なんて世の中に五万とあるんだから、いつまでも迷えてしまう。でも「もうこれで作るしかないんだ」って決めちゃえば、頭の中のアーカイブから何とかしてでも捻り出す事ができる。つまり想像の段階に入る事が出来る。客観的に見たらこんな簡単な事が、妄想人間にはむずかしかった、、、

長々と書いてきたけど、結局何が言いたいかと言えば

「妄想癖をやめて、想像力を豊かにしたい!」

妄想癖を想像の段階に持っていくために心掛けていく事を決めた。 

①指標となる物・人を探す事
②とりあえずやってみる事
③瞑想(被害妄想やストレスを溜めて妄想に走らないように感謝する事)

やっぱり何事も白紙の状態から何かを始めようとすると、行き先がわからなくなって妄想だけで終わりがち。だから何かをしたくなったら、指針となる物や人を見つけてまずはそこを目指してとりあえず何かを始めてみよう。そしてストレスや不安が溜まると言うことは、現状に対する感謝が足りないという事。だから朝は今日も新しい一日を迎えられた事に感謝して、夜は暖かいベッドで眠れる事に感謝しようと思う。

長くなったけど最後にジョン・レノンの名曲《Imagine》の歌詞を、私が大好きな忌野清志郎の日本語訳バージョンで。

天国は無い ただ空があるだけ
国境も無い ただ地球があるだけ
みんながそう思えば
簡単なことさ

夢かもしれない
でも その夢を見てるのは
きみ一人じゃない
仲間がいるのさ 

天国はどんなところか妄想するより、今ある空の下でどんなことが出来るのか想像しよう。
あるはずのない国境を妄想して人と人とを隔てるより、今ある繋がりに感謝しよう。

戦争も誹謗中傷も自殺も宗教も、世の中のあらゆる思考の偏りは、妄想の肥大化の延長にあるのかもしれない。


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