映画『パフューム』を鑑賞しました
前々から気になっていた作品でようやく観ました。
18世紀のパリの殺人調香師の一生を描いた映画です。
字幕版を見たのですがパリの街に英語が飛び交っているのがちょっとシュールで面白いです。
香りをテーマにした作品のため、冒頭の貧富の差の描き方が生々しいカットで描かれています。
良い意味でも悪い意味でもにおい立つような絵が多いので苦手な方もいるかもしれません。
香りを表現する画面のカットがものすごく鮮やかです。
セットによる世界観の作り方、ワンカットワンカットの印象的な画面作りが鮮やかです。
そして、ギフテッドと言われる人の特徴的な性質を一例とはいえ丁寧に観察しているなというのが最初の感想。
主人公である調香師 ジャン=バティスト=グルヌイユ。
彼の才能と行動の異常性。
そしてその無神経さは規則性さえ分かっていればロジカル極まりなく、一片のブレもありません。
ただ一般的に見れば本当に気持ち悪いを通り越して不気味だと思います。
常識を超越し、様々なものを度外視した才能。
無邪気で一途で、異常と呼ばれるまでに達する執着。
ギフテッドとしてはかなりノーマルなタイプだと思いますが一般的に見れば才能のある者の異常な執着の姿を描いた映画に映るのだろうなと思います。
話の中で、彼に関わった人があっさり死んでいくさまがシュールです。
無情にもあっけなくサクサク死んでいきます。
殺人もサクサクしてます。完全に流れ作業です。流れるようにサクサク殺されていきます。
ジャン=バティストの無邪気さは筋金入りです。
行動が一貫しているので目が曇らない。驚きの無邪気さ。
そして彼の養父となる素直系クズのバルディーニさん。
天真爛漫なヒロイン ローラちゃんとローラちゃん大好きで心配性なローラのパパ リシーさん。
私としては三大癒しキャラクターでした!
ちなみにリシーさんはアラン・リックマンさんなんだ。
私、彼の演技好きです。良い役者さんでした。ご冥福をお祈りいたします。
殺人に絡んだ狂乱。閉鎖的な街でのパニック発生の仕方や恐怖の描き方がわかりやすくて大変明快です。
映画で香りを表現するための画面の使い方、また最後の最後まで小道具の使用がとても上手いなと感じる作品でした。
娯楽と化した処刑シーンがド丁寧に描かれている辺りなんかは本当におフランスだなと思います。
見物客の多さよ……。
容赦がないほど一貫性のある明快な映画です。
また、並外れた才能における理想の完成の末路を描いた作品だと思います。
皮肉なことに主人公のジャン=バティスト。
彼が能力値の高めの平均的な特性を持ったギフテッドであるところがまた面白い。
簡単に言えばこの狂乱って現実にはもっと大きな規模で起こしていて。
そういった才能の方が現実の世界で起こしている類のものからすれば、とっても小さな狂乱の一つにすぎないんですよね。
よくもまぁドラマティックにまとめたものだと思います。
容赦がなくて。明快で。分かりやすい風刺作品だなと思います。
私はこの映画、とても好きです。
2016.03.24 ツキノベ