手紙
"ヴァージニア・ウルフの
メノウのボタン
セロハンのバスの
シートに揺れている
捻れた夜に
鈴をつければ
月に雪が降る
水平線の見える場所は
もう春だ"
THE BLUE HEARTS
[手紙]
最後に手紙を書いたのは
いつだろう。
スマホやパソコンが無かった時代。
文章ツールは手紙だった。
中学生の頃は
針飛びに恐れながらレコードから
慎重に録音したカセットテープを便箋に入れて
あの娘に送ったり。
社会人になってからも友達に
[うらぁぁーー!ミッシェルの最高傑作じゃ!]
の手紙と共に発売されたばかりの
GEAR BLUESのテープを送ったり。
会社の後輩が退職して
移住先のオーストラリアから届いた手紙は
輸入盤のレコードみたいに異国の香りがした。
今じゃスマホ1つで
こうして変換された文章を入力できるが
恐らく文字を書く能力は
確実に衰えていると思う。
便利になった分の代償で
確実に何かを失っている。
たまにはアイツに
手紙でも書いてみようか。
お久しぶりです。
元気にしてますか?
もう今年の3分の1が終了し
スライダーズの武道館から
もうすぐ1年ですね。
あの時。あなたは九段下から
御茶ノ水まで歩くのすら面倒で
タクシーを拾いましたね。
足腰は弱っていませんか?
[驚かせんなよ!なんで敬語なんだよ!]
と即効LINEが届くのが予測できる。
この本を読みながら
そんな事を思う。
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