『鳥の笛のみる夢』37:プロット100本できるかな。

 タロットカード6枚引いて小説のプロット100本作る創作訓練やってみた記録です。


◆引いたカード◆
1主人公の現在:愚者(逆)計画性の無さ、非協調的
2主人公の近い未来:審判(逆)こだわる、遅延
3主人公の過去:塔(正)急なトラブル、損失
4援助者:隠者(正)思慮分別、良き相談相手
5敵対者:死神(正)終止、悪い変化
6結末:節制(逆)不毛、忍耐力の無さ

『鳥の笛のみる夢』37/100

 ひょんなことから不思議な笛を手に入れたウカイは、それを見世物にして稼ぎを得ていたが、ある時、笛を失くしてしまう(塔・正)。そもそも他に仕事をしておらず、家族からは穀潰し扱いのウカイ、笛を探しまわるも、あてもなくあちこち歩き回るばかりだ(愚者・逆)。
 そこへ武僧姿の男が笛の噂を聞いて訪ねてきて、笛の本来の持ち主だと言う。失くしたことは秘密にしていた。幼なじみのクレに相談すると、亡くしたことを正直に話し、一緒に探すことで礼金をもらうのが一番だという。武僧は粗暴な集団で知られる。渡すのを拒めばどうなるか分からない。しかし単独行動ということは、人に知られたくないのだろうから、そこをうまく使えというのだ(隠者・正)。
 最初のうちこそクレの言うとおり、男に協力して笛を探していたウカイだが、探すのに鳴り物を禁じられたのがどうにも不服だ。笛は太鼓を鳴らすと勝手に音楽を奏でる不思議な笛だった。周囲に失くしたと知られないよう控えていたが、太鼓を鳴らして歩けば笛が応えるのではないか。武僧の読経にでも合わせているふりをすれば、太鼓を使って探せるではないかと提案する(審判・逆)が、却下された。自分を出し抜いて笛を見つけ、礼金を払わず持ち去る気ではとウカイに疑いの心が生まれる(死神・正)。
 とうとう太鼓を叩くと、見覚えのある笛が宙を飛んでいくのが見えた。太鼓をやめさせようとする男の懐から、ざらりと長い黒髪の生首がまろびでる。ギョッとして太鼓の手が止まるウカイの前で、生首は妙なる声で歌い始めた。笛が戻ってきて、男の手におさまる。
「申したとおりでしょう。粗末なものばかり聞かせるから逃げ出したのだと」
 冷ややかな美貌の生首は、笛をひとのみにした。
「だからといって、おまえが出張らなくとも見つけてみせると言ったのに……腑が無いと気短になるものなのか?」(節制・逆)
 男は生首と夫婦喧嘩のような言葉を交わしながら、約束どおりの礼金を置いて立ち去った。
 ウカイは失禁していた。 (了)

 幼なじみと、もそっと絡ませたかった……。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?