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おしまい

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私が以前書いた物語を添削しながら連載しております。 完全なる不定期更新なので期待しないでください。 昔話をイメージした物語、いつも喧嘩ばかりの狐と狸がお爺さんとお婆さんのために… もっと読む
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おしまい「4話」

 幸夫郎は、いつも通りお爺さんのお手伝いをする為に畑に来ていました。幸夫郎の足取りは軽く、時々大粒が見える霧雨を捕まえようとしたり、いつの間にか出来ていた小さい水溜りを蹴ったりしていました。……しかし、畑に着くと、その足は重くなったようにゆっくりになり、やがて止まりました。

「なんだ……こりゃあ」

 今まで頬を上にあげて、遊びに行くのが楽しみな子供の様だった顔が一転。瞳全体が見える程に目を見開

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おしまい「3話」

 それから幸せな日々が、何年か続きました。幸夫郎と豊は、動物だった時と変わらずよく喧嘩をしました。お爺さんとお婆さんは、そのたびに態々止めに入っているのですが、止めるとどちらかが拗ねる。お決まりの流れ……そう思われたのですが、お爺さんとお婆さんは、どちらを責めることなく、

「二人とも元気が良いねえ。そしたらその元気を、喧嘩に使うんじゃなくて、畑に分けてやっておくれよ。今年はどうも育ちが悪くてなぁ

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おしまい「2話」

 お爺さんとお婆さんは、二人を見て、大変驚きました。こんな山奥に、こんな子供達など居ただろうか。何故自分達の所へ来たのだろうか。お手伝いしに来たと言うのは、どう言うことなのだろうか。

 驚いて、心配しました。この子達の親は何をしているのだろうか。この子達に仕事を手伝ってもらうのは良いが、それはこの子達にとって酷ではないか。手伝いを承諾した途端から、この子達の自由を奪いはしないだろうか。この子達の

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おしまい「一話」

 昔、お爺さんとお婆さんが、低くも高くも無いような、山の奥深くに住んでいました。深くと言っても、薄暗い訳でもなく、朝は日の出が見え、昼は日差しがあり、夕方には、真っ赤な夕日が、毎日のように見えていました。

 そこは、都にも買い出しに行けずに自給自足。山で野菜が取れなければ食料危機になるような、不便な場所ではありますが、それでも、不便さに負けぬ程、良き動物達に囲まれて暮らしていたため、それもそこま

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