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月影 羽
2021年6月21日 22:25
幸夫郎は、いつも通りお爺さんのお手伝いをする為に畑に来ていました。幸夫郎の足取りは軽く、時々大粒が見える霧雨を捕まえようとしたり、いつの間にか出来ていた小さい水溜りを蹴ったりしていました。……しかし、畑に着くと、その足は重くなったようにゆっくりになり、やがて止まりました。「なんだ……こりゃあ」 今まで頬を上にあげて、遊びに行くのが楽しみな子供の様だった顔が一転。瞳全体が見える程に目を見開
2021年2月17日 17:08
それから幸せな日々が、何年か続きました。幸夫郎と豊は、動物だった時と変わらずよく喧嘩をしました。お爺さんとお婆さんは、そのたびに態々止めに入っているのですが、止めるとどちらかが拗ねる。お決まりの流れ……そう思われたのですが、お爺さんとお婆さんは、どちらを責めることなく、「二人とも元気が良いねえ。そしたらその元気を、喧嘩に使うんじゃなくて、畑に分けてやっておくれよ。今年はどうも育ちが悪くてなぁ
2021年2月5日 22:25
お爺さんとお婆さんは、二人を見て、大変驚きました。こんな山奥に、こんな子供達など居ただろうか。何故自分達の所へ来たのだろうか。お手伝いしに来たと言うのは、どう言うことなのだろうか。 驚いて、心配しました。この子達の親は何をしているのだろうか。この子達に仕事を手伝ってもらうのは良いが、それはこの子達にとって酷ではないか。手伝いを承諾した途端から、この子達の自由を奪いはしないだろうか。この子達の
2021年1月29日 20:38
昔、お爺さんとお婆さんが、低くも高くも無いような、山の奥深くに住んでいました。深くと言っても、薄暗い訳でもなく、朝は日の出が見え、昼は日差しがあり、夕方には、真っ赤な夕日が、毎日のように見えていました。 そこは、都にも買い出しに行けずに自給自足。山で野菜が取れなければ食料危機になるような、不便な場所ではありますが、それでも、不便さに負けぬ程、良き動物達に囲まれて暮らしていたため、それもそこま