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2022年10月の記事一覧

糸を点てる

写真よりも遠くに見た姿を
熱よりも熱いざわめきに
息は吸うことを許されて
息は吐くことすら許される

降りかかるけむりは
私のところまで漂い落ちて
色を削がれて身を潜める
私は潔くそれを飲み込む

その輪郭に熱がかかるたびに
私の眼のふちは赤く染まり
私の眼のなかは溶けて膨らむ

どんどんと溶けだしたものを見て
花びらみたい
だれかに言われた気がした

いつからか
私を包む
ろうは忘れられていて

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造花

造花

下をむくと、行き場を失った足とその影が、ただ覗いていた

きみは、空の孔にしがみつくきみが
”ゆらゆら”と辺りを広げ、息をつくっていたのに
ぼくは、”それ”を思い出せずに
空の孔から溢れた亡霊の言葉を、溺れてしまった

伸び続ける葉と茎は
決して夜にならず
いつも空の孔と繋がった痕だけが
ぼくの影に見せていた

蓄え続ける芽は、ついに焼き焦げ切れ落ちて
震えることも閉じることもできなくなった

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