マガジンのカバー画像

3
運営しているクリエイター

記事一覧

糸を点てる

写真よりも遠くに見た姿を
熱よりも熱いざわめきに
息は吸うことを許されて
息は吐くことすら許される

降りかかるけむりは
私のところまで漂い落ちて
色を削がれて身を潜める
私は潔くそれを飲み込む

その輪郭に熱がかかるたびに
私の眼のふちは赤く染まり
私の眼のなかは溶けて膨らむ

どんどんと溶けだしたものを見て
花びらみたい
だれかに言われた気がした

いつからか
私を包む
ろうは忘れられていて

もっとみる
幽霊と郵便的世界 スーパーフラット

幽霊と郵便的世界 スーパーフラット

見えたり、見えなくなったりするもの 幽霊
宛先が飽和し、文字が地に足をつけられなくなった世界 郵便的世界
遠近法の廃止、あらゆる象徴が不能になっていく現実 あらゆる視点 スーパーフラット

アノマリーなサンリオ DID 増殖
クローンは 服の身纏い スクリーンに 登壇
鳴り物は 黒で白の膜に覆われ 機械的でかわいく 抉り切らなむ範奏
DIDは 召し上がる 如き発火の着床 血は流れず恍惚せしめる

もっとみる
造花

造花

下をむくと、行き場を失った足とその影が、ただ覗いていた

きみは、空の孔にしがみつくきみが
”ゆらゆら”と辺りを広げ、息をつくっていたのに
ぼくは、”それ”を思い出せずに
空の孔から溢れた亡霊の言葉を、溺れてしまった

伸び続ける葉と茎は
決して夜にならず
いつも空の孔と繋がった痕だけが
ぼくの影に見せていた

蓄え続ける芽は、ついに焼き焦げ切れ落ちて
震えることも閉じることもできなくなった

もっとみる