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岩石と文明―はじめに

どんな岩石にも化石にも物語がある。多くの人びとにとって岩石はただの岩石でしかないが、経験を積んだ地質学者には、方法さえ知っていれば岩石は、そこから明確に読み取ることができる貴重な証拠に満ちた謎解きの手がかりだ。私は地質学とはテレビのCSIシリーズ[訳註:科学捜査班。アメリカの人気テレビドラマシリーズ(2000~2015年放送)]のようなものだと学生に言う。地質学者と古生物学者は科学捜査官を演じ、ちょっとした証拠のかけらを集めて、過去の「事件現場」を――しばしば信じられないほど詳しく復元してみせるからだ。

「化石が語る生命の歴史」シリーズ全3巻のスタイルにならって、私は一般読者また論理的続編として専門家にも、正確だが魅力的で、読みやすくて面白い本を執筆しようと努めてきた。「化石が語る生命の歴史」シリーズと同じように、章ごとにある特定の岩石や有名な露頭、または重要な地質現象に焦点をあてている。私はこれらの岩石や地質現象が秘めている魅力的な歴史的・文化的背景と、岩石や地質現象が人びとの地球に対する考え方をどのように変えたのか、またどのくらい確かに地球の営みが機能するのかを関連づけて説明しよう。

これに加えて、私はこれらを発見した魅力あふれる人びとのこと、そして彼らがどのようにしてそれらを発見したのかの物語を紡ぎ上げてみようと思った。ほとんどの場合、パズルの一つひとつのピースのように働く、予期しなかったずっと小さな発見とともにゆっくりと最終的な理解が訪れた。全体像はピースが組み合わさったときについにはっきりしたものになったのだ。多くの章で、説明がついていないパズルのピースとその答えというテーマに読者は出会うことだろう。

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