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人類を熱狂させた鳥たち―編集部より

新石器時代の壁画に描かれた鳥、古代エジプトの孵化技術、中世におけるタカと鷹匠の奇妙な関係、ダーウィンの自然選択とカッコウの托卵をめぐる一悶着、1500 年代の「害鳥」駆除法、?製ブーム、栄養源としての海鳥と保護運動など、1万年に及ぶ人類と鳥の関係史を世界的に著名な鳥類学者がまとめ上げたBirds and Us(2022)の翻訳版です。

鳥は栄養源、信仰・芸術・科学の対象として、人類の歴史に深く関わってきました。
その味や神秘的な姿はいつの時代も人類を夢中にさせ、収集・乱獲によって多くの種が絶滅に追い込まれてきたことは言うまでもありません。

バードウォッチングの誕生や渡り鳥追跡技術の発展などにより、いまでは鳥を殺さずに観察・研究することがふつうになっています。しかし、鳥を単なるモノではなく「生きている」存在として捉え、敬意を払うようになるまでには、長い年月が必要でした。
本書では、娯楽としての狩猟や美しい羽を使用したファッションがステータスとしてもてはやされた鳥と人にとっての暗黒時代から、鳥類保護意識が芽生えはじめた共存の時代への流れをたどります。ニワトリの交尾を観察したアリストテレス、キツツキの長い舌に興味をもったレオナルド・ダ・ヴィンチ、自然選択説で科学界を混乱させたチャールズ・ダーウィンなど、かの有名な偉人たちも登場。その他、鳥にまつわる事件や筆者自身の研究成果も語られます。

約50年にわたり鳥を研究してきた著者が語る、鳥と私たちの切っても切れない関係。感染症や気候変動などの問題が山積するいまこそ、私たちを魅了してやまない鳥類との関わり方を見つめ直してみませんか。愛鳥家にはたまらない、鳥愛をいっそう深めてくれる一冊です。

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