菌根の世界―おわりに──菌根共生の進化を考える(小川真)
この本の編者、齋藤雅典さんから送られてきた原稿を読ませてもらって、書かれた内容の新鮮さと著者たちの熱意に、ある種の感動を覚えた。「なぜこれほど大切なテーマが、長い間放っておかれたのか」「あそこにもここにも、おもしろいタネが埋もれているのに」「この考える楽しさを、次の世代に伝えなければ」という著者たちの声が聞こえてくる。菌根の仕事に取りかかった1960年以来、半世紀以上、私も同じ思いを抱いて能力以上に働いてきた。この本が出ることで、ようやく重荷をおろして、バトンタッチできるよう