月の科学と人間の歴史―訳者あとがき
月を見上げたことのない人はいないだろう。1歳か2歳の幼い子どもでも、夕闇が迫る雲のない空に浮かんだ美しい三日月や満月をじっと見つめるし、大人になっても、ふと見上げた空に月があれば目にとめる。
だが著者が言うように、「望遠鏡越しに月を見て息をのむような経験をした人は、ましてや月のリズムを理解するために時間を割いたことがある人は、いったい何人いるだろうか。月旅行が現実味を増しているにもかかわらず、現代人は月との触れ合いをなくしてしまった」。もちろんアマチュア天文家やカメラ愛好家