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小説「小春日和のセーラムドライブ」

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拙著『それぞれの夕暮れ』からスピンオフした短編小説。主な舞台はオグリキャップが駆け抜けた昭和最後の年の東京競馬場。
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記事一覧

小春日和のセーラムドライブ 1

【登場人物】 ■ 省吾 ・・・ 45歳。競馬好き。新卒入社の会社で美里と出会った ■ 美里 …

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小春日和のセーラムドライブ 2

 省吾は、支店からは約5キロ程離れた場所にアパートを借りていた。美里の実家がそこから500…

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小春日和のセーラムドライブ 3

 翌朝早くにアパートを出た省吾は、在来線の特急と京王線を乗り継いで、東京競馬場に向かった…

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小春日和のセーラムドライブ 4

 レースがスタートした。南井騎手を背にしたタマモクロスは、ライバルと思われるオグリキャッ…

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小春日和のセーラムドライブ 5

 11月に入り、爽やかな晴天が続いていたが、朝晩はぐっと冷え込み、山あいの盆地はめっきり秋…

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小春日和のセーラムドライブ 6

 暦は先日の天皇賞より冬に向かって2週間進んでいたが、東京競馬場は小春日和の穏やかな空気…

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小春日和のセーラムドライブ 7

「例えば、省吾の配属先が東京になったとするじゃない? しばらくは遠距離恋愛も続けられると思うよ。でも、その先は?  私は結局、両親を置いてついていけないんだよね。じゃぁ、そうかといって、省吾はせっかく入ったばかりの会社辞めて、あの街で仕事探して、私と暮らせる?」  美里は生来の小さな声ではあったが、それでも一息に捲し立てた。省吾が黙っていると、更に続けた。 「だから、仮配属で来た省吾を好きになっちゃいけないって、最初は心にブレーキかけていたんだよ。でも、人間の感情なんてそんな

小春日和のセーラムドライブ 8

 窓口で買い目を伝えている美里の姿を離れた位置から見守っていると、馬券を受け取った美里が…

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